中国人に根付く「発展空間」という概念

日本人にも中国人にも限らず、社員や部下をマネジメントするためには、その人の仕事に対する価値観や将来に対して求めるものを把握することが大事です。特に相手が外国人の場合は、元々の文化の違いなどから、価値観や将来に対して求めるものについての話がかみ合わず、マネジメントがうまくいかなかったり、退職につながってしまったりすることが多くあります。

今回はその一例とも言える中国人に根付く「発展空間」という概念についてご紹介したいと思います。

 みなさんは「発展空間」と聞いてなんのことか分かりますでしょうか?

中国人はほとんどの方がこの発展空間という言葉を知っており、また発展空間が大きい会社で働きたいと思っています。

 発展空間とは、その会社において、自分の収入や役職を発展させていくことができる余地のことです。中国人には、日本人が大事にしがちな、仕事内容や職場の人間関係よりも、発展空間が大きい会社であるかどうかを大事にしている方が多いです。

 その特徴は下記の日本人と中国人のキャリア観の比較を行った調査からも見てとることができます。

出所:リクルートワークス研究所「Global Career Survey」

 よく日本人をマネジメントする時に、「会社の為に」や「仲間と一緒に」ということを、日々のコミュニケーションや定期的な面談で話すことがあると思います。もちろんそれも大事な一方で、中国人は「この会社に発展空間があるかどうか」「自分はどうすればその空間にたどりつくことができるか」ということをとても気にしているということを頭に置いておくとマネジメントがうまくいくことがあります。

 またその時のコツは、発展空間を、「頑張ったら昇格できるかも」や「目標達成したら賞与が増えるかも」という漠然としたものとして伝えるのではなく、「次に昇格できるポジションは○○で、そのポジションにおいての給与は△△円で、□□の条件を達成すると昇格対象となる」というように、できるだけ具体的な形で伝えられるとなお良いです。

 会社の人事評価・給与制度などとも結びついてくる部分ですので、会社一丸となって、外国人も働き続けたいと思える人事制度や、外国人のモチベーションを高く維持することができるマネジメントスタイルを築いていくことが、外国人の定着・活躍を促していくために必要となってきます。