今回は、日本語を外国語として学んだ外国人の方の、【日本語学習のプロセス】をお話しします。そもそも日本語の学習は何から始めるのか、英語のように「This is a pen?」から?など、文法的な側面から日本語学習を解説していきたいと思います。
英語学習を思い出してみましょう
多くの方が中学1年生から英語を学習し始めたと思います。
アルファベットの習得から始まり、「This is a pen」「I am Tanaka」などの現在形、その後過去形や現在進行形を学んでいきましたね。同時に、「at」や「on」などの助詞が出てきたり、日本語にはない複数形の概念に戸惑った人も多いでしょう。
また、【eat-ate-eaten】といった現在形・過去形・現在完了形の3つの活用に苦労した記憶はありませんか。リズムよく覚えてみたり、書いて覚えてみたり、テストのときはスペルを間違えないように書いたり・・・日本語とは違う言語を学ぶ難しさを体感した人も多いのではないでしょうか。
日本語を学ぶ第1ステップー文字
では、英語学習の経験を少し思い出したところで、日本語学習の第1ステップを見てみましょう。
まずはなんといってもひらがなとカタカナです。46個のひらがなに加え、同じ数のカタカナも覚えなければなりません。カタカナの優先度は低いようにも思えますが、外国人の名前はほとんどカタカナで表記するので、名前や国名を書くためにも早い段階でカタカナを習得する必要があります。
漢字については、ある程度文法を進めた段階で習い始める人が多いです。
第2ステップー文法
簡単な挨拶を学んだ後、多くの日本語の教科書では、「わたしはスミスです」「学生です」のような文法から入り、「これはペンです」「ここはトイレです」などの指示語を含んだ表現を学びます。また、「は」や「で」「に」などの助詞も同様に学んでいきます。
ここまで、英語学習の手順と変わらないですね。
第3ステップー形容詞
英語の学習と大きく変わるのがこの形容詞です。
英語では、「It is cold」「It was beautiful」など、現在形や過去形、否定形でも形容詞自体には変化がないため、それほど難しくはありません。
一方で日本語の形容詞は少し違います。
【わたしはさむくないです】
【わたしはさむかったです】
【わたしはさむくなかったです】
このように、形容詞「さむい」自体が変化していることがわかります。
この変化だけ覚えればいいんじゃない?と思った方、こちらを見てください。
【わたしはまじめじゃないです】
【わたしはまじめでした】
【わたしはまじめじゃなかったです】
さきほどの「さむい」とは少し変化が違うことがわかります。
実は日本語の形容詞には2種類あり、「さむい」のように‘い’で終わる形容詞を「い形容詞」、
「まじめ」や「しずか」など、‘い’以外の音で終わるものを「な形容詞」と言います。
こちらは名詞を修飾した際に、
「さむい国」「まじめな人」「しずかな人」となることから、「い形容詞」「な形容詞」と呼ばれています。
しかもこの形容詞には例外も多く、「きれい」「きらい」などは‘い’で終わるにもかかわらず、「な形容詞」に分類されます。
日本語学習者の多くがこの形容詞に苦戦する理由がわかりましたか。
第4ステップー動詞の活用
冒頭で、英語の動詞にも活用があることを紹介しましたが、日本語の活用はさらに複雑です。こちらを見てみましょう。
・パンをかった
・パンをかわない
・パンをかって
・パンをかおう
文法によって動詞が変化していることがわかりますね。それぞれ「た形」「て形」などと呼ばれており、13種類ほどの活用があります。
また、これも形容詞と同様、動詞によって変化が違うのです。
日本語で様々な表現を行うためには、まずこの活用を動詞ごとに頭に入れなければなりません。
いかがでしたか。
外国人が日本語を学ぶことが簡単ではないことがわかると思います。このような複雑なルールを覚え、且つそれをスラスラと使いこなしている外国人を見る目がまた少し変わったのではないでしょうか。