外国人人材はなぜ辞める?働く意欲を低下させる要因とは


■今回のお悩み

入社して間もない頃は、仕事上でのミスはあるもののやる気もあって、仕事のこともどんどん質問してきてくれてました。いつの間にかそれも減って、指導員も「慣れてきたのかな」と思い、忙しくてあまり気にしなくなっていました。
ところが一向にミスが減る様子もなく、最近は仕事にもあまり身が入らないようで、ついには辞めたいとまで言い出して…。

最初は「日本で頑張って仕事します!」と張り切って来日した外国人人材。そして、新たな仲間・戦力を迎え入れて、心を新たにする企業。
外国人人材も企業もやる気に満ちていたはずなのに…いつの間にか、外国人人材のやる気が失せ、辞めて帰国をしてしまったり、最悪な場合は失踪に至ってしまうことも。
そこには、一体どんな要因があるのでしょうか。

受け入れや育成にもコストがかかる分、外国人人材のモチベーションの低下は企業にとって非常に悩ましい問題です。
せっかく受け入れた外国人人材が定着し、長く活躍してもらうために、外国人人材の働く意欲が低下してしまう要因と、意欲低下を防ぐポイントについて見ていきましょう。

■実際の外国人人材の声 ~どうして働く意欲が低下してしまったのか~

まずは、どうして働く意欲が低下してしまったのか、実際の外国人材の声を見てみましょう。

社長も日本人の同僚もいい人だが、自分より上の人だし、自分も日本語が下手だし、仕事の愚痴なんか言うことができない。最初は小さかった不安や不満が、今はどんどん大きくなり、仕事したくないと思うようになってきた。

このケースでは、何か大きなきっかけがあって働く意欲を失ってしまったというわけではなく、普段のコミュニケーションがうまくいかず、最初は小さかった不安や不満が段々と大きくなり、最終的に意欲がなくなってしまったようです。

こうしたケースでは、受け入れ側は外国人人材から何も言ってこないので、企業側は外国人人材が不安や不満を抱えていることに気づかず、いつの間にか問題が大きく膨れ上がってしまっていることがあります。

目に見えない分、普段から気をつけておかないと、ある日突然…ということになりかねません。

他のケースも見てみましょう。

他の会社の実習生より仕事をしているのに、給料が少ない・給料があがらない。会社に交渉したのに、会社のルールだからと上げてもらえない。それならこんなにがんばって働く必要ないのではないかと感じるようになった。

このケースでは、外国人人材(技能実習生)が業務量と待遇に不満を持っており、それが意欲の低下を招いてしまいました。より高い収入を希望する外国人人材は多く、特に他社や他の外国人人材の状況と比較して、自分の待遇に不満を抱いている場合には、それが離職や帰国に直結してしまう恐れもあります。

また外国人人材同士のネットワークによって情報が共有されている場合もあり、今後の外国人人材の採用活動に影響を与える可能性もあるため、待遇についての不満には注意が必要です。

■課題の解決方法

ここまで見てきた事例に対して、どうしたら予防できたのでしょうか?どう対処したらよいのでしょうか。

受け入れた外国人材の働く意欲の低下を防ぐためには、次ようなポイントを意識すると良いでしょう。

●積極的にコミュニケーションをとる(話を聞く・ほめる)
●評価基準を明確にする(昇給等)

では、それぞれのポイントについてもう少し詳しく見ていきます。

解決策① 積極的にコミュニケーションをとる(話を聞く・ほめる)

まずは、積極的に外国人人材とコミュニケーションをとることが大切です。日本語がわからない外国人と話すのは、周囲の日本人もかなりの労力を要します。しかし、そこを避けていたら、いつまでたっても彼らの気持ちは理解できず、外国人人材は孤立し、相互に理解しあえず喧嘩別れになってしまう可能性もあります。

普段から些細なことでも、話題がなくても、少しずつコミュニケーションをとることで、相手の気持ちや状況を知ることができ、理解できるようになっていきます。

何気ないコミュニケーションをとることが重要ですが、その中で余裕があれば、できるだけその人の良いところを認めてほめていけると良いですね。ほめられて悪い気がする人はいないですし、俄然やる気になる外国人人材が出てくることも間々あることです。

また、外国人と意思疎通ができるようになるには時間がかかるということを念頭に置いておくと、多少の日本語力不足でも、仕方ないと大目に見ることができるのではないでしょうか。 入社後だけでなく、ゆっくり時間をかけて理解を深めていきましょう。

解決策② 評価基準を明確にする(昇給等)

最初は仕事を覚えるだけで精一杯だった外国人人材も、次第に業務に慣れてくると、少しずつ自信を持って仕事をするようになってきます。しかし、自信を持って仕事できるようになったのに、自分の評価を表す給与や賞与に反映されないと、自分がこの会社で働く意義があるのか…と思うようになってしまいます。

そうならないためには、定期的にその人の仕事ぶりを見たり、話を聞いたりしながら、評価を伝えていきましょう。
また、今は給与に仕事ぶりが反映されなくても、「○○ができるようになったら昇給する」「〇〇のレベルに達したらインセンティブが出る」などの具体的な目標を示すことでやる気になるのは、外国人だけではないはずです。評価を明確に、可視化することで、意欲が増すのは間違いないでしょう。

■まとめ

せっかく受け入れた外国人人材の働く意欲の低下は、受け入れ側の取り組みによって防ぐことができることもあります。それどころか、意欲をもって来日した外国人人材のやる気を低下させずに、むしろさらに上昇させることで、企業にとっても外国人人材にとっても良い結果につながっていくのです。

ぜひ、外国人人材が意欲を保ち、長く活躍できる企業を目指してください。

 【外国人人材の働く意欲が低下してしまう要因】

  • 周囲の日本人とコミュニケーションが取れず不安や不満がたまってしまう
  • 業務量と待遇が見合っていないと感じてしまう

 【意欲低下をふせぐために気をつけるべきポイント】

  • 積極的に外国人人材に話しかけ、話を聞き、コミュニケーションをとっていく
  • 外国人人材の仕事を定期的に評価すると共に、評価の基準を明確につくる