2023年に拡大予定!特定技能2号とは?〜基礎知識と業種〜

熟練した技能を持つ外国人への「特定技能2号」の在留資格について、業種を大幅に拡大する案が政府から発表され、注目が集まっています。この記事では、そんな「特定技能2号」について、1号との違いも含め解説していきたいと思います。

特定技能とは何か?

特定技能は、深刻化する人手不足に対応するため、労働力が特に不足している特定産業分野において人材を確保することを目的に創設された在留資格です。2019年4月に導入され、1号と2号があります。

特定技能の特徴は、就労可能な範囲が広いことです。他の就労可能な在留資格では、単純労働に従事することができず、ビジネスマンやオフィスワークのような仕事(ホワイトカラー)でなければなりません。その一方で、特定技能では単純労働を含む幅広い業務が可能です。

例えば、「技術・人文・国際業務」の資格で飲食業界に就職する場合、可能な業務は経理やマーケティング等の事務系の職種に限られます。単純労働とみなされる業務(ホールやレジ打ち、調理補助など)に従事することはできません。一方「特定技能」では、基礎的な知識さえ学べば、 接客からキッチンの仕事まで幅広く飲食業全般の仕事に従事することが可能です。

特定技能1号と2号がある!その違いとは?

特定技能1号には12種類、2号には2種類の職種があります(2023年5月現在)。

1号の在留外国人数は約14万人いるのに対し、2号は10人のみです(2023年2月)。2号は職種も人数も少ないため、一般的に「特定技能」というのは、「1号」のことを指している場合が多いです。

特定技能1号と2号の違いとは?

1号と2号の違いを見ていきましょう。

  • 在留期間

1号は通算で上限5年までですが、2号は更新される限り上限はありません。つまり、2号の場合は更新の継続により事実上無期限に滞在することができます。

  • 技能水準

1号も2号も技能試験が必要です。1号は特定産業分野において「相当程度の知識または経験」を持つ外国人に与えられる在留資格ですが、2号は「熟練した技能」を持つ外国人に与えられる在留資格です。そのため、1号よりも2号の方がより高度な技能水準が求められます。例えば、同じ業務に従事する場合でも以下のような違いがあります。

1号・・・指導者の指示・監督を受けながら作業をする

2号・・・作業工程を管理し、複数の従業員を指導・監督しながら作業する

特定技能2号では、「管理者、指導者」としての技能も求められていることがわかります。

  • 日本語能力水準

1号では「生活や業務に必要な日本語能力」が必要とされ、日本語能力試験N4取得や国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)の判定(A2以上)によって確認します。2号は、求められる日本語能力水準はありません。

  • 家族の帯同

1号では、家族の帯同は基本的に認められていません。それに対し、2号は配偶者(妻・夫)や子であれば、要件を満たすことで帯同が可能です。帯同した家族のビザは「家族滞在」と呼ばれ、「結婚が成立していること(配偶者の場合)」「扶養する能力があること/扶養を受けること」などの要件があります。

  • 外国人支援

1号特定技能外国人を雇用する機関は、受け入れる外国人の生活上の支援に関する計画を作成し、それに基づいて支援を行わなければなりません。これらの義務は、登録支援機関に委託することもできます。一方、2号の場合は支援計画の策定および実施は義務付けられていません。

特定技能2号は2023年6月以降に拡大予定!

特定技能2号は「建設」と「造船・舶用工業」の2職種しかありませんが、今後業種を大幅に拡大する案が政府から発表されました。現在の2職種に「農業」や「飲食料品製造」など9業種を増やし、1号とほぼ同様の分野で外国人材を受け入れるとしています。

なお、介護については、他の13分野にはない「在留資格:介護」という別の長期就労制度がすでにあるため、2号の創設は見送る方向で進んでいます。

まとめ

いかがでしたか?

今回は拡大案が発表された「特定技能2号」の基本情報や業種についてご紹介しました。

2号の分野拡大は「人材定着」にもつながり、人手不足に悩む業界にとって大きな可能性がありますね。

今後、要件や試験についてなどの情報が公開されていくことが予想されるため、2号の外国人を採用したい企業や、1号の外国人を2号へ移行させたいと考えている企業の方は特に注視しておきましょう。

【参考】

外務省HP『在留資格 特定技能』https://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/fna/ssw/jp/index.html

出入国管理局『特定技能ガイドブック~特定技能外国人の雇用を考えている事業者の方へ~』