2024年度「外食業及び飲食料品製造業の特定技能1号・2号測定試験」の合格率は50%前後で、比較的難易度の高い試験といえます。その要因として、広範な試験範囲や独学の難しさ、高度な日本語能力を求められる点などが挙げられます。
今回は、2024年度の試験結果(合格率、国籍別内訳など)を分析し、受験者が苦戦するポイントを解説します。特定技能外国人材の採用・育成をご検討中の企業様は、ぜひ最後までご覧ください。
2024年度「外⾷業及び飲⾷料品製造業特定技能1・2号測定試験」合格発表結果
2024年度に実施された「外⾷業及び飲⾷料品製造業特定技能1・2号測定試験」の合格率は、区分によって差はありますが50%前後で推移しています。ここでは、各試験の合格率、受験者数、合格者数の国籍別内訳など、最新の試験結果を解説していきます。
参照元:2024年度外⾷業及び飲⾷料品製造業の特定技能測定試験 国内試験実施状況(⼀般社団法⼈外国⼈⾷品産業技能評価機構)
外食業特定技能1号技能測定試験結果
2024年度外食業特定技能1号技能測定試験は、第3回の合格率が58.5%と、第2回(67.7%)、第1回(64.4%)と比べて低い結果となりました。2024年度全体では、23,546人が受験し、14,983人が合格、合格率は63.6%です。
2024年度外食業 特定技能1号技能測定試験 国内試験結果
会場 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
---|---|---|---|
第3回 | 8,126 | 4,754 | 58.5 |
第2回 | 9,009 | 6,102 | 67.7 |
第1回 | 6,411 | 4,127 | 64.4 |
2024年度合計 | 23,546 | 14,983 | 63.6 |
国籍別合格者数では、ベトナムが7,936人と最も多く、次いでミャンマー(2,965人)、中国(2,125人)となっています。上位3ヶ国で全体の8割以上を占めていることから、特定の国からの受験者が多いことが見て取れます。
2024年度外食業 特定技能1号技能測定試験 国内試験合格者数の国籍・地域別の内訳
国籍 | 合格者数(人) |
---|---|
ベトナム | 7,936 |
ミャンマー | 2,965 |
中国 | 2,125 |
インドネシア | 415 |
ネパール | 403 |
韓国 | 277 |
台湾 | 174 |
タイ | 119 |
スリランカ | 87 |
フィリピン | 75 |
モンゴル | 58 |
バングラデシュ | 48 |
香港 | 48 |
ロシア | 45 |
カンボジア | 26 |
イタリア | 21 |
マレーシア | 19 |
フランス | 17 |
アメリカなど | 16 |
外食業における人手不足が深刻化する中、特定技能1号資格取得を目指す外国人材は今後も増加すると予想され、試験対策の重要性がますます高まると考えられます。
外食業特定技能2号技能測定試験結果
2024年度外食業特定技能2号技能測定試験は、第3回の合格率が56.9%という結果となり、第1回(受験者数112人、合格率47.3%)から比較すると、第3回は受験者数・合格者数ともに増加傾向にあります。2024年度の合計では、1,353人が受験し、780人が合格、合格率は57.7%となりました。
2024年度外食業 特定技能2号技能測定試験 国内試験結果
会場 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
---|---|---|---|
第3回 | 629 | 358 | 56.9 |
第2回 | 612 | 369 | 60.3 |
第1回 | 112 | 53 | 47.3 |
2024年度合計 | 1,353 | 780 | 57.7 |
合格者の国籍別内訳を見ると、ベトナムが563人と全体の7割以上を占めており、圧倒的に多いことが特徴です。次いで、ミャンマー(51人)、中国(47人)、ネパール(42人)と続いています。
2024年度外食業 特定技能2号技能測定試験 国内試験合格者数の国籍・地域別の内訳
国籍 | 合格者数(人) |
---|---|
ベトナム | 563 |
ミャンマー | 51 |
中国 | 47 |
ネパール | 42 |
韓国 | 16 |
台湾 | 13 |
インドネシアなど | 10 |
外食業におけるキャリアアップや、より安定した在留資格を求める外国人材が増加していることから、今後も特定技能2号試験の受験者数は増加傾向が続くと予想されます。
飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験結果
2024年度飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験は、第3回の合格率は46.6%という結果となりました。第1回から第3回まですべての回で合格率が50%を下回っており、難易度の高い試験であることがわかります。2024年度合計では、34,888人が受験し、16,502人が合格、合格率は47.3%でした。
一方、受験者数はいずれの回も1万人を超えており、他の技能測定試験よりも高い関心がうかがえます。
2024年度飲食料品製造業 特定技能1号技能測定試験 国内試験結果
会場 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
---|---|---|---|
第3回 | 11,319 | 5,274 | 46.6 |
第2回 | 13,056 | 6,279 | 48.1 |
第1回 | 10,513 | 4,949 | 47.1 |
2024年度合計 | 34,888 | 16,502 | 47.3 |
国籍別合格者数では、ベトナムが11,221人と全体の約7割を占め圧倒的に多く、次いでインドネシア(2,100人)、ミャンマー(1,377人)、中国(953人)となっています。
2024年度飲食料品製造業 特定技能1号技能測定試験 国内試験合格者数の国籍・地域別の内訳
国籍 | 合格者数(人) |
---|---|
ベトナム | 11,221 |
インドネシア | 2,100 |
ミャンマー | 1,377 |
中国 | 953 |
カンボジア | 195 |
タイ | 117 |
フィリピン | 112 |
ネパール | 93 |
台湾 | 85 |
韓国 | 81 |
バングラデシュ | 59 |
スリランカ | 26 |
モンゴル | 23 |
香港 | 14 |
ラオス | 12 |
試験の難易度と受験者数の多さから、試験対策の必要性が高まるものと考えられます。
飲食料品製造業 特定技能2号技能測定試験結果
2024年度飲食料品製造業特定技能2号技能測定試験は、第3回の合格率は57.3%という結果となりました。第1回から第3回まで、すべての回で合格率が50%を上回っています。特に第2回、第3回は受験者数が1,000人を超え、関心の高さがうかがえます。
2024年度飲食料品製造業 特定技能2号技能測定試験 国内試験結果
会場 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
---|---|---|---|
第3回 | 1,619 | 927 | 57.3 |
第2回 | 1,463 | 817 | 55.8 |
第1回 | 181 | 94 | 51.9 |
2024年度合計 | 3,263 | 1,838 | 56.3 |
また、特定技能1号試験と同様に、ベトナムの合格者数が圧倒的に多い傾向にあります。その理由として、日本の飲食料品製造業での就労を目指す方が多いことが背景にあると考えられます。
2024年度飲食料品製造業 特定技能2号技能測定試験 国内試験合格者数の国籍・地域別の内訳
国籍 | 合格者数(人) |
---|---|
ベトナム | 1,506 |
中国 | 144 |
ミャンマー | 90 |
インドネシア | 49 |
ネパールなど | 10 |
飲食料品製造業において、より高度な技能を持つ外国人材へのニーズが高まる中、特定技能2号の取得を目指す動きは今後さらに活発になるでしょう。
「外⾷業及び飲⾷料品製造業特定技能1・2号測定試験」で受験者が難しいと感じるポイント
外食業及び飲食料品製造業の特定技能1号・2号技能測定試験は、いずれも合格率が50%台前後で推移しています。この厳しい結果の背景には、主に次の要因が考えられます。
- 試験範囲が広い
- 独学だけでは難しい
- 高い日本語能力が求められる
- 計算問題の難易度が高い
ここでは、各要因について解説します。
苦戦するポイント1:試験範囲が広い
外食業、飲食料品製造業ともに、特定技能1号・2号試験では、学習しなければならない試験範囲が広いです。各試験で求められる主な知識は、以下のとおりです。
外食業特定技能1号試験
- 接客全般(接客、食物アレルギー、店舗管理、クレーム、緊急時対応など)
- 飲食物調理(食材、下処理、調理方法、調理器具、労働安全など)
- 衛生管理(食中毒の基礎知識、一般衛生管理、HACCPなど)
参照元:外食業技能測定試験学習用テキスト(一般社団法人 日本フードサービス協会)
外食業特定技能2号試験
- 接客全般(接客、食物アレルギー、店舗管理、クレーム、緊急時対応など)
- 飲食物調理(食材、下処理、調理方法、調理器具、労働安全など)
- 衛生管理(食品衛生法、食中毒予防、HACCP、一般的な衛生管理など)
- 店舗運営(店舗運営、計数管理、発注・検収管理、販売管理、顧客管理、雇用管理、人材育成、防災管理など)
参照元:外食業技能測定試験学習用テキスト(一般社団法人 日本フードサービス協会)
飲食料品製造業特定技能1号試験
- 飲食料品製造業全般(飲食料品製造業の現状、必要な技能など)
- 食品衛生(食品衛生、危害要因、一般衛生管理、HACCPなど)
- 労働安全(労働災害、労働災害防止策、労働災害発生時の対応、ヒヤリ・ハット、災害事例など)
参照元:特定技能1号 飲食料品製造業技能測定試験 学習用テキスト(一般社団法人外国人食品産業技能評価機構)
飲食料品製造業特定技能2号試験
- 製造管理(食品製造の全体像、職場環境、管理記録など)
- 安全・安心な食品製造(一般衛生管理、HACCPなど)
- 安心・安全の管理(労働安全衛生法、労働災害、安全意識など)
- 品質管理(標準作業、歩留り監理、作業後の点検など)
- 納期管理(生産計画、目標の達成度、在庫の確認など)
- コスト管理(コスト管理の基本、設備の稼働率、作業後の管理点など)
- より良い管理のために(食品ロス、リスクアセスメント、改善活動など)
参照元:飲食料品製造業特定技能2号 技能測定試験学習用テキスト(株式会社 日本能率協会コンサルティング)
このように、外⾷業・飲⾷料品製造業ともに非常に広範囲な知識が求められるため、実務経験だけでなく、計画的な学習が欠かせません。
苦戦するポイント2:独学だけでは難しい
外食業及び飲食料品製造業の特定技能試験は、試験範囲の広さから、独学での合格は難しいとされています。多くの受験者が直面する独学の難しさは、主に次のとおりです。
学習計画が立てられない | ・広範囲な試験範囲を前に、どこから手を付けて良いかわからない。 ・各分野の重要度や難易度が分からず、学習の優先順位をつけられない。 ・仕事をしながら学習しないといけないため、学習時間を確保できない。 |
モチベーションが維持できない | ・独学だと学習の進捗や成果が見えにくく、達成感を得づらい。 ・孤独な学習で行き詰まった時に相談できる相手がおらず、挫折しやすい。 ・試験への不安や焦りから、集中力が続かない。 |
過去問が公開されていない | ・過去問がないため、出題傾向や問題レベルを把握できない。 ・自分の弱点や対策すべきポイントが明確にならない。 |
これらの要因が重なり、独学での合格を一層難しくしています。
苦戦するポイント3:高い日本語能力が求められる
特定技能試験では、単に日常会話ができるレベルではなく、次のように高度な日本語能力が求められます。
専門用語への理解が必要になる | ・外食業、飲食料品製造業それぞれに特有の専門用語が多数出題される。 例:顧客満足(CS)、一汁三菜、上座・下座、HACCPなど ・用語の意味を正確に理解していないと、問題文の内容を把握できない。 ・2号技能試験ではルビが振られない。 |
問題文の意図の理解が必要になる | ・問題文が何を求めているのかを正確に理解する必要がある。 ・日本語特有の言い回しを理解する必要がある。 |
高度な日本語能力とは、単に日本語を話せるだけでなく、「読める」「書ける」「理解できる」というスキルを保持していることを表しています。
苦戦するポイント4:計算問題の難易度が高い
外食業・飲食料品製造業の特定技能2号試験の試験範囲には、高度な計算問題も含まれるため、多くの受験者が苦戦しています。日本人でも難しい計算を、外国人材が日本語で理解し、解答しなければならないため難易度は高いです。主な計算例は次のとおりです。
外食業特定技能2号
人時売上高 | 1日の売上高 ÷ 1日の総労働時間 |
人時接客数 | 客数 ÷ 総労働時間数 |
客単価 | 注文点数 × 一品平均単価 |
参照元:外食業技能特定2号 技能測定試験 学習用テキスト(一般社団法人 日本フードサービス協会)
飲食料品製造業
原材料の生産性 | 工程で製造した製品や仕掛品の送料 ÷ 工程投入した原材料の総量 |
人の生産性(人時生産性) | 工程から製造された製品や仕掛品の総量 ÷ 作業者が働いた労働時間の総量 |
設備の稼働率 | 設備停止時間 ÷ 負荷時間 |
計算自体が難しいことに加えて、問題文が日本語で書かれているため、問題文の読解というハードルもあります。そのため、受験者が難しいと感じるポイントについて学習を進める場合、独学よりも専門的なサポートを検討すると良いでしょう。
参照元:飲食料品製造業特定技能2号 技能測定試験学習用テキスト(株式会社 日本能率協会 コンサルティング)
外⾷業及び飲⾷料品製造業特定技能試験対策なら「明光グローバル」にお任せください
外食業及び飲食料品製造業の特定技能試験は、試験範囲の広さ、独学の難しさ、高い日本語能力などが求められる難関試験です。そのため、試験に合格するには、専門家によるサポートが重要になります。
明光グローバルでは、課題克服に向けて、外国人材の合格を強力にサポートする体制を整えています。ここからは、サービス内容について詳しく解説します。
明光グローバルの概要
明光グローバルは、長年培ってきた教育事業のノウハウを基盤とし、外国人材の就労支援と企業の成長を促進する「教育系人材サービス」を提供しています。
また、JCLIや早稲田EDU日本語学校での豊富な教育経験を活かし、特定技能試験対策から各業界に特化した専門教育まで、多様なニーズに対応できる点が強みです。さらに、外務省からEPA事業を4期連続で受託するなど、その信頼性と実績は高く評価されています。
明光グローバルの主なサービスは、次のとおりです。
明光グローバルの主要サービス
事業 | サービス |
教育研修事業 | ・eラーニングによる日本語教育(スマホアプリに対応) ・対面/オンラインによる日本語レッスン ・外国籍人材と日本人に向けた各種研修プログラム ・外国籍人材に向けた各種試験対策講座 |
人材紹介事業 | ・特定技能人材の紹介 ・外国籍エンジニアの人材紹介 ・教育伴走型の登録支援サービス |
明光グローバルは人材紹介だけでなく、外国人材の日本語能力向上、日本の企業文化への適応など、総合的な人材育成サービスを提供しています。
特定技能2号試験対策講座(外食分野)の概要
外食分野の特定技能2号試験対策として、高い合格率(第1回50%、第2回77.7%)を誇る講座を提供しています。特定技能2号試験対策講座の主な特長は、次のとおりです。
- 自社のeラーニング(Japany)を活用した「反復学習」の実現
- 全10課のカリキュラムで基礎から応用までをカバー
- 模試と解答解説を実施
また、受講者の日本語レベルに応じて、2つコースを用意しています。
コース | 内容 |
---|---|
集中特訓コース | ・対象:初めて受験する方 ・レッスン総時間:20時間 ・レッスン回数:全10回 ・カリキュラム:模擬試験・解答解説を含む全10課で、基礎から応用まで幅広くカバーしている ・受講人数:5名以上で120分レッスン、5名未満で90分レッスン ・自主学習:Japanyで反復学習を行う |
直前対策コース | ・対象:基礎知識をお持ちの方、受験経験がある方 ・レッスン総時間:4時間 ・レッスン回数:全3回 ・カリキュラム:模擬試験と解答解説、試験当日までの学習方法指導、Japanyを活用した自己学習指導してくれる ・受講人数:5名~10名 ・自主学習:Japanyで反復学習を行う |
明光グローバルは、eラーニングと実践的なレッスン、模擬試験を組み合わせることで、外食業特定技能2号試験の短期合格に向けて強力にサポートします。
飲食料品製造分野:特定技能2号試験対策講座の概要
明光グローバルでは、飲食料品製造業の特定技能2号試験対策として専門講座を提供しています。主な特長は次のとおりです。
特徴 | 概要 |
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専門知識を持つ日本語講師によるカリキュラム | 飲食料品製造業に精通した日本語講師が、全8回のカリキュラムで、基礎から応用まで、幅広くカバーしています。 |
模擬試験の実施 | 講座時間外も、eラーニングシステム「Japany」で日本語学習をサポートし、自主学習の質を向上させます。 |
日本語eラーニングの併用 | 講座時間外も、eラーニングシステム「Japany」で日本語学習をサポートし、自主学習の質を向上させます。 |
飲食料品製造分野の特定技能2号試験対策講座は、模擬試験・解答解説を含む全8回(各回120分)で構成され、「飲食料品製造での管理」など実践的な内容が含まれています。また、日本語eラーニングの併用により、2ヶ月間で知識のインプットから実践練習まで行うスケジュールです。
まとめ
2024年度の外食業及び飲食料品製造業の特定技能1号・2号測定試験について、合格発表結果、合格率の推移、国籍別の内訳、受験者が苦戦するポイントを解説しました。
両試験ともに合格率は概ね50%前後で推移しています。その要因として、試験範囲の広さ、独学の難しさ、高い日本語能力、そして計算問題の難易度が挙げられます。特に特定技能2号試験は、高度な計算問題や日本語能力が求められます。
明光グローバルでは、教育事業で培ったノウハウを活かした特定技能試験対策講座(外食・飲食料品製造分野)や、総合的な人材育成サービスを提供しています。外国人材の採用・育成にお悩みの企業様は、ぜひ一度明光グローバルにご相談ください。