日本の深刻な人手不足を背景に、日本で学び、日本の文化や就職環境に一定の理解を持つ外国人留学生は、多くの企業から強く求められている存在です。 グローバル化や海外展開を視野に入れる企業にとって、留学生は単なる労働力ではなく、将来の成長を支える重要な人材として位置づけられています。
一方で、日本企業への就職を希望する留学生は全体の半数以上にのぼるものの、実際に国内就職を実現できているのは約38%にとどまっているのが現状です。その背景には、日本独自の新卒一括採用スケジュールへの戸惑い、SPIなどの筆記試験への対応、日本人学生とは異なる就職活動の情報不足、さらに「専攻内容と業務内容の関連性」が厳しく問われる在留資格制度といった、留学生特有のハードルが存在しています。
多くの留学生を抱える大学・専門学校の担当者にとって、就職先の選択肢を正しく示し、適切な支援を行うことは避けて通れない課題です。
今回は、日本における外国人留学生の最新の就職状況を整理したうえで、実際に就職先として選ばれている業種や、企業側の採用傾向をわかりやすく解説します。 留学生一人ひとりが現実的なキャリアを描くため、また教育機関として効果的な就職支援を行うための基礎知識として、ぜひ最後までお読みください。
外国人留学生の就職状況
外国人留学生の就職支援を行ううえでは、まず「どの程度の留学生が日本で就職できているのか」「どの在留資格で就労しているのか」「実際に就職している業種や職務内容は何か」を正しく把握することが重要です。就職率や在留資格の実態、業種別の傾向を理解することで、留学生に対して現実的かつ効果的なキャリア指導が可能になります。
ここでは、最新データをもとに外国人留学生の就職状況を整理し、今後の支援に役立つポイントを解説します。
最新データでみる留学生の就職率
日本で学んだ外国人留学生の国内就職率は依然として高い水準とはいえません。日本学生支援機構(JASSO)および出入国在留管理庁の最新発表(令和6年・7年次報告)によると、日本国内の大学・大学院・専門学校等を卒業した留学生のうち、国内で就職した割合は約38%にとどまっています。
就職した留学生の出身地域を見ると、約90%以上がアジア出身者で占められており、特に中国、ベトナム、ネパールの3ヶ国が大きな割合を占めています。近年では特定技能制度の活用が進んだことで、東南アジア諸国からの留学生の就職実績も着実に増加しています。
政府は「未来を創造する若者の留学促進イニシアチブ〈J-MIRAI〉」において、2033年までに外国人留学生の受け入れ数を40万人とし、卒業後の国内就職率を60%まで引き上げる目標を掲げています。今後も就職支援策の拡充が見込まれており、教育機関における役割は一層重要になるでしょう。
参照元:
- 2023年度外国人留学生進路状況調査(日本学生支援機構)
- 令和6年における留学生の日本企業等への就職状況について(出入国在留管理庁)
- 未来を創造する若者の留学促進イニシアチブ<J-MIRAI>(文部科学省)
留学生が卒業後取得する在留資格
外国人留学生が卒業後に取得する在留資格で最も多いのは「技術・人文知識・国際業務」で、全体の約79%を占めています。次いで多いのが特定技能1号の約6%であり、大半の留学生がこれらの在留資格で日本企業に就職していることがわかります。
「技術・人文知識・国際業務」は、いわゆるホワイトカラーや専門職を対象とした在留資格で、自然科学・人文科学、または外国の文化に関する専門的な知識や技術を活かして働くことが前提となります。そのため、工場のライン作業や単純な現場作業のみを業務内容とする雇用は認められていません。原則として、留学生の専攻内容やこれまでの学修・経歴と業務内容との関連性が求められ、特に専門学校卒業生の場合は、その関連性がより厳密に審査されます。
一方、特定技能は外食、宿泊、介護、建設、製造業など、人手不足が深刻な特定産業分野において、一定の技能を有する外国人材を対象とした在留資格です。制度改正により対象分野は拡大しており、これまで「技術・人文知識・国際業務」では就労が難しかった業種でも働ける可能性が広がっています。分野ごとの技能評価試験や日本語能力試験をクリアする必要はありますが、留学生の就職先の選択肢を確実に広げる制度といえるでしょう。
在留資格制度は改正が重ねられており、最新情報を正確に把握することは容易ではありません。内定を得ても、在留資格変更申請が不許可となれば就労はできないため、留学生と教育機関が連携し、早い段階から計画的な指導と準備を進めることが重要です。
留学生が多く就職している業種と実務内容
実際に外国人留学生が就職している業種を見ると、製造業が約13%、非製造業が約86%を占めています。職務内容としては、通訳・翻訳業務、情報処理・通信技術分野、管理業務の順で多くなっています。
製造業では、電気機械器具や食料品製造などの分野において、設計・開発業務をはじめ、海外工場の管理、技術指導、生産管理といった役割を担うケースが多く見られます。情報通信業も留学生の就職が多い業種の一つで、ソフトウェア開発、システムエンジニア、ITコンサルタントなど、国籍を問わず専門性を評価する企業が増えています。
また、免税店や百貨店、量販店などの小売・卸売業では、多言語対応を活かしたインバウンド向け接客に加え、海外での買い付けやマーケティング業務に携わる例もあります。近年は都市部の大企業に限らず、地方の中小企業でも人手不足を背景に留学生の採用が進んでおり、地方自治体による就職支援の充実も相まって、留学生のキャリア選択の幅は広がりつつあります。
留学生に人気の業種・職種とは
留学生が希望する就職先として特に人気が高いのは、大手商社、グローバルIT企業、有名ホテルチェーン、航空業界などです。これらの業種が選ばれる理由としては、母国でも知名度の高い企業であること、福利厚生が整っていること、母国と日本をつなぐ役割を担えそうだというイメージが挙げられます。
一方で、実際には小売、飲食、介護などのサービス分野への就職も一定数存在しますが、留学生の希望先としては後回しにされがちな傾向があります。地方の中小企業にも優良な就職先が数多く存在することを伝え、業界研究を通じて選択肢を広げていくことが、留学生支援において重要なポイントとなります。
留学生の採用において企業が期待すること
企業が外国人留学生の採用に期待しているのは、単なる人手不足の解消ではありません。日本での生活や学業を通じて培った適応力や、日本企業では得がたい視点・役割を担える点に価値を見出しています。
ここでは、企業が留学生採用を進める背景を整理し、就職支援や指導に活かすために押さえておきたい「企業が求める留学生像」を解説します。
- 日本の環境に馴染んでいる
- 海外市場との橋渡し役となりグローバル化の力になる
- 職場に多様な視点をもたらして活性化する
日本の環境に馴染んでいる
企業にとって、留学生はすでに日本での生活経験を持ち、日本の文化や職場環境に一定程度適応していることが大きな強みです。海外から直接人材を採用する方法もありますが、留学生は留学期間を通じて日本の商習慣や価値観に触れているため、企業側としては受け入れに伴うリスクが相対的に低いと判断しています。
また、留学生は日本での住居や人間関係など生活基盤が整っているケースが多く、就労と同時に新しい環境へ適応する負担が少ない点も評価されています。母国出身者同士のコミュニティに既に所属していることも多く、企業としては業務に集中できる環境が整っている人材として期待できるのです。
海外市場との橋渡し役となりグローバル化の力になる
留学生を採用する企業は、日本人学生とは異なる役割を期待しています。
特に海外展開やグローバル化を目指す企業にとって、留学生は重要な戦力です。母国市場のニーズ把握や現地企業との交渉窓口など、海外販路開拓・拡大のキーマンとして期待されるケースも少なくありません。
また、ITリテラシーの高い若手人材として、DX推進の担い手として期待されることもあります。大企業においても、語学力に加えて異文化間での調整力やマネジメント能力を備えた人材として、留学生への期待は高まっています。
職場に多様な視点をもたらして活性化する
若手人材の確保という観点からも、留学生の採用は企業にとって大きなメリットがあります。異なる文化や価値観を持つ人材が加わることで、組織に多様性が生まれ、職場の活性化につながると考えられています。
外国人社員の率直な意見や疑問が業務改善のきっかけとなったり、異なるバックグラウンドを持つ人材同士の交流から新たな発想が生まれたりすることも期待できます。ダイバーシティ推進の一環として、将来的な事業拡大や競争力強化を見据え、留学生採用に積極的に取り組む企業は今後も増えていくでしょう。
今後の留学生の就職傾向と支援のポイント
外国人留学生の就職環境は今後さらに拡大していくと見込まれており、教育機関には制度を正しく活用した支援と、ミスマッチを防ぐ指導がこれまで以上に求められます。政府による受け入れ・定着支援は今後も強化される見通しであり、その動向を踏まえた支援体制の構築が重要です。
ここでは、今後の留学生の就職傾向を踏まえ、学校側が押さえておくべき支援のポイントを解説します。
- 政府の就職支援策を利用する
- 就職先のミスマッチを防ぐ留学生へのキャリア教育を行う
政府の就職支援策を利用する
政府はグローバル戦略の一環として、これまで「留学生30万人計画」を推進してきましたが、2019年に前倒しで達成しています。現在は2033年までに留学生受入数を40万人へ引き上げる新たな目標として、「未来を創造する若者の留学促進イニシアチブ(J-MIRAI)」を掲げており、文部科学省、経済産業省、厚生労働省が連携した支援体制が構築されています。
具体的には、全国4拠点(東京・名古屋・大阪・福岡)に外国人雇用サービスセンター等が整備され、専門アドバイザーによる求人紹介や在留資格に関する相談が可能となっています。また、文部科学省の「留学生就職促進教育プログラム認定制度」では、大学等が産業界と連携して実施するビジネス日本語やキャリア教育プログラムを認定しており、認定校の学生が就職活動において有利に働くケースも見られます。
このように、文部科学省「留学生就職促進教育プログラム認定制度」や厚生労働省「外国人留学生の就職支援のための連携協定」、経済産業省(JETRO)「高度外国人材活躍推進ポータル」など、既存の支援策を正しく把握し、留学生支援に積極的に活用していくことが重要です。
就職先のミスマッチを防ぐ留学生へのキャリア教育を行う
大学や専門学校の就職支援担当者が特に注意すべき点は、留学生が希望する就職先と、取得を想定している在留資格の要件が合致しているかどうかです。併せて、日本で就職することを前提とした早期からの意識づけも欠かせません。
留学生に人気の高い業種は商社やIT関連企業ですが、実際には必ずしも希望通りの職種に就職できるとは限りません。特に多く取得されている「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は、専門学校卒業生の場合、学んだ内容と実際の業務内容との関連性が厳しく審査されます。そのため、職務内容と専攻内容の関連性が在留資格取得の前提となることを、初年度から明確に伝える必要があります。
自らのキャリアを考える際には、業界研究や職種理解だけでなく、在留資格制度に関する知識も不可欠です。留学生に対しては、早い段階からキャリア教育の一環として在留資格の考え方を伝え、現実的な進路選択ができるよう支援していくことが重要です。
留学生の就労支援は明光グローバルにおまかせください
結論として、日本での就職を目指す留学生を支援するには、学校関係者だけで対応するには限界があり、専門的な知見と実務経験を持つ外部パートナーの活用が欠かせません。留学生の就職支援には、就職市場や業界動向の把握に加え、複雑な在留資格制度への理解、企業側が実際に求めている人物像の把握、そして学生一人ひとりの日本語力やキャリア志向に応じたきめ細かな指導が求められます。
最後に、明光グローバルの概要と、提供するサービスを紹介します。
明光グローバルとは
明光グローバルは、外国人材の就労機会の創出と育成を通して、日本企業の持続的な成長をサポートする教育系人材サービスです。
40年以上の個別指導の教育実績、そして10年以上の日本語教育の実績を持つ明光ネットワークジャパングループの知見を活かし、外国人材の育成と企業の人材課題解決に特化したサービスを提供しています。
JCLIや早稲田EDU日本語学校での豊富な教育ノウハウを活かし、特定技能試験対策から業界別の専門教育まで、幅広いニーズに対応しています。外務省からEPA事業を5期連続で受託するなど、高い信頼性と実績を誇ります。
明光グローバルの主要サービス
| 事業 | サービス |
|---|---|
| 教育研修事業 | ・eラーニングによる日本語教育(スマホアプリに対応) ・対面/オンラインによる日本語レッスン ・外国籍人材と日本人に向けた各種研修プログラム ・外国籍人材に向けた各種試験対策講座 |
| 人材紹介事業 | ・特定技能人材の紹介 ・外国籍エンジニアの人材紹介 ・教育伴走型の登録支援サービス |
特定技能人材やエンジニアの紹介から、外国人社員向けの教育・研修サービスまで、幅広いノウハウを提供しています。単なる日本語教育にとどまらず、企業での実践力を重視した総合的な人材育成を行っています。
留学生向けの就職支援サービス
明光グローバルでは、留学生一人ひとりの状況や課題に応じた実践的な就職支援サービスを提供しています。教育機関・企業の双方と連携しながら、就職活動の準備段階から内定後までを見据えた支援を行っている点が特徴です。
教育機関向け留学生の就職支援サービス
教育機関向けには、就職アドバイザーの派遣、無料求人案内、共同企業説明会の開催支援などを通じて、学内での就職支援体制づくりをサポートしています。
また、留学生の就職活動に必要となる筆記試験対策や面接実践講座、業界研究セミナーを学内向けに実施することも可能です。
加えて、多言語による就活セミナーや異文化理解講座、自己分析講座など、留学生特有の課題に対応したプログラムも用意しています。日本語学習についても、オンラインを中心とした多様なサービスを提供しており、就職活動と並行した日本語力向上を支援しています。
企業向け留学生の就職支援サービス
留学生の採用を検討している企業向けには、人材紹介サービスを提供しています。また、同じ目的を持つ企業が参加する共同企業説明会の開催についても提案しており、効率的な人材獲得を支援しています。
さらに、採用後の定着を見据え、外国人材向けの各種研修プログラムも用意しています。就労開始後の教育・育成まで含めて支援できる点も、明光グローバルの強みの一つです。
まとめ
外国人留学生の就職を取り巻く環境は、2026年現在、単に就職者数を増やす段階から、日本企業で継続的に活躍できる人材をいかに育成・定着させるかという段階へと移行しています。企業側は日本語力や専門知識といったスキル面に加え、日本の職場文化への理解や組織に適応する柔軟性を重視する傾向を強めています。
こうした中で、留学生が「日本で働きたい」という希望を実現するためには、就職率や業種動向、在留資格制度といった客観的なデータに基づいたキャリア教育と、企業ニーズを踏まえた現実的な進路設計が欠かせません。しかし、制度改正や支援施策が頻繁に更新される状況下で、個々の留学生に最適な支援を継続的に行うことは、大学や専門学校の就職支援担当者にとって大きな負担となっています。
そのような課題を解決するためには、教育と人材支援の両面に精通した外部パートナーの活用が有効です。留学生一人ひとりの特性を踏まえた支援体制を整えることで、ミスマッチを防ぎ、留学生と企業の双方にとって納得感のある就職を実現することができます。
明光グローバルは、教育・就職支援・入社後の定着までを一貫して支える体制を通じて、留学生と教育機関の双方をサポートしています。留学生の就職支援体制に課題を感じている担当者様は、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。



