明光グローバルが注目する、外国人雇用や特定技能制度の最新動向を毎月まとめてお届けします。法改正や基準見直し、運用変更など、採用現場に直結する重要ポイントをわかりやすく整理して解説します。「知らなかった」で後れを取らないために、ぜひ毎月チェックして外国人採用・雇用の戦略にお役立てください。
【7月】「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-自動車運送業分野の基準について-」の一部改正
特定技能制度の「自動車運送分野」について、「特定の分野に係る特定技能外国人受け入れに関する運用要領」が一部改正されました。具体的には、欠格要件が禁固刑以上の刑に処せられたこと等でしたが、改正により拘禁刑以上になりました。
拘禁刑とは、改正刑法により懲役刑(刑務作業の義務有り)と禁固刑(刑務作業の義務なし)が一本化されたものです。改正刑法の施行に伴い、「特定の分野に係る特定技能外国人受け入れに関する運用要領」も一部改正された形です。
【6月】第4回特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議が開催
特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議が開催されました。特定技能制度及び育成就労制度の受入れ対象分野(新たに追加等を行う分野等)の詳細と、バス・タクシー運転者に係る日本語能力要件について話し合われました。
新たに追加を行う分野としては、リネンサプライや物流倉庫、資源循環があげられました。また、業務区分の追加を行う分野として、工業製品製造業を細分化する案が出ました。
バス・タクシー運転者の日本語能力は、N3以上の日本語力が条件とされていましたが、今後はN4でも可能とする案が出されました。N4の場合、原則として日本語サポーターの同乗を条件としますが、離島や半島など利用者が限られる場合は単独乗務ができるというものです。
なお、分野・業務区分の追加、日本語能力の条件について、内容は現段階ではあくまでも「案」であるため、今後の続報が待たれます。
参照元:第4回特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議(出入国在留管理庁)
【6月】「特定技能外国人受入事業実施法人」の登録が実施される
経済産業大臣によって、「一般社団法人工業製品製造技能人材機構(略称「JAIM」)」の登録が行われました。今後、工業製品製造業分野の特定技能外国人を受け入れる際は、すべての受入れ事業所がこの法人に加入することになります。
政府は、2025年3月11日に民間団体の設立方針を閣議決定し、2025年5月26日の経済産業省告示等の改正により、特定技能制度の運営を担う民間団体(特定技能外国人受入事業実施法人)の経済産業大臣登録制度を整備しました。JAIMは、特定技能外国人受入事業実施法人のうちの一つです。
今後、工業製品製造分野の1号特定技能外国人の受け入れ人数見込み数が伸びる中で、スムーズに特定技能外国人を呼び、働いてもらう必要があります。今夏の登録は、1号特定技能外国人の増加に伴う施策です。
参照元:特定技能外国人の適正かつ円滑な受入れ推進を担う「特定技能外国人受入事業実施法人」の登録を行いました(経済産業省)
【5月】特定技能制度の工業製品製造業分野に特有の事情に鑑みて定める基準が改正
特定技能制度の工業製品製造業分野に特有の事情に鑑みて定める以下の基準が改正されました。
特定技能所属機関について、特定技能外国人受入事業実施法人の構成員となることが求められます。工業製品製造業分野にて、1号特定技能外国人を雇用したい場合は、この特定技能所属機関に所属していることが必要です。
参照元:特定技能制度の工業製品製造業分野に特有の事情に鑑みて定める基準の改正について(出入国在留管理庁)
【5月】「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」が発表
出入国在留管理庁から、「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」が発表されました。「入国管理」「在留管理・難民審査」「出国・送還」の3つの段階における対応策をまとめ、公表することで「不法滞在者ゼロを目指し、外国人と安心して暮らせる共生社会を実現する」とのことです。
不法滞在者ゼロプランによって期待される当面の効果としては、難民認定申請の標準処理期間を6ヶ月にすることや、護送官付き国費送還を3年後に倍増させることなどがあります。日本の法律を守らない外国人を強制送還することで、不法滞在者ゼロを目指す計画です。
参照元:「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」について(出入国在留管理庁)
【5月】「共生社会の実現に向けた適正な外国人雇用推進月間」が実施
出入国在留管理庁は、6月を「共生社会の実現に向けた適正な外国人雇用推進月間」とし、事業主、事業主団体、関係行政機関、地方公共団体等に向け啓発活動を行います。令和7年(2025年)6月1日から同月30日までの1ヶ月間、共生社会実現に向けた適正な外国人雇用推進に係る様々な啓発活動が行われる予定です。
参照元:「共生社会の実現に向けた適正な外国人雇用推進月間」の実施について(出入国在留管理庁)
【5月】特定技能制度の工業製品製造業分野に特有の事情に鑑みて定める基準が改正
「特定技能制度の工業製品製造業分野に特有の事情に鑑みて定める基準」が改正されました。
主な内容として、「特定技能外国人受入事業実施法人の登録」が新設されました。工業製品製造分野において、特定技能外国人を受け入れる企業は「特定技能外国人受入事業実施法人」の構成員となることが必要になります。
詳細は、出入国在留管理庁のホームページをご覧ください。
参照元:特定技能制度の工業製品製造業分野に特有の事情に鑑みて定める基準の改正について(出入国在留管理庁)
【5月】特定技能制度の外食業分野に特有の事情に鑑みて定める基準が改正
「特定技能制度の外食業分野に特有の事情に鑑みて定める基準」が改正されました。
特定技能外国人に「風営法第二条第三項に規定する接待」を行わせないことに加えて、接待を行わせないための必要な措置が求められるようになりました。具体的には、性風俗関連特殊営業を営む営業所において就労させないこと等があります。
参照元:特定技能制度の外食業分野に特有の事情に鑑みて定める基準の改正について(出入国在留管理庁)
【4月】外国人の訪問介護系サービス従事 解禁へ
技能実習生(4月1日~)と特定技能外国人(4月21日~)が、訪問介護等訪問系サービス業務に従事可能となりました。ただし、介護職員初任者研修課程の修了や介護事業所などでの1年以上実務経験が必要などの要件があります。厚生労働省は、受け入れ事業所に利用者・家族への事前説明に加え、以下の事項を遵守するよう求めています。
- 外国人介護人材に対し、訪問介護等の業務の基本事項等に関する研修を行うこと
- 外国人介護人材が訪問介護等の業務に従事する際、一定期間、責任者等が同行する等により必要な訓練を行うこと
- 外国人介護人材に対し、訪問介護等における業務の内容等について丁寧に説明を行いその意向等を確認しつつ、キャリアアップ計画を作成すること
- ハラスメント防止のために相談窓口の設置等の必要な措置を講ずること
- 外国人介護人材が訪問介護等の業務に従事する現場において不測の事態が発生した場合等に適切な対応を行うことができるよう、 情報通信技術の活用を含めた必要な環境整備を行うこと
また、一定の条件の下で訪問系サービスへの従事を認めること等が話し合われました。外国人の訪問介護系サービス従事が事実上解禁の方向に議論が進みつつあります。
参照元:外国人介護人材の訪問系サービスへの従事について(厚生労働省)
【3月】閣僚会議 既存3分野(介護分野、工業製品製造業分野、外食業分野)の改正を決定
去る令和7年(20225年)5月20日に、第3回特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議が行われました。特定技能外国人につき、以下の内容が議論されました。
(1)介護分野
現行は認められていない特定技能外国人の訪問系サービスへの従事を認める。
(2)工業製品製造業分野
特定技能外国人の適正かつ円滑な受入れ推進を担う民間団体を設立し、受入れ機関には当該団体への加入を条件付ける。
(3)外食業分野
現行は認められていない風営法の許可を受けた旅館・ホテルにおける特定技能外国人の飲食提供全般に係る就労を認める。
まだ案の段階ではありますが、今後の改正情報に注意していきましょう。
参照元:第3回特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議(出入国在留管理庁)
【2月】育成就労制度の基本方針案が公表される
政府は詳細を定める関係省令の素案を令和7年(2025年)2月6日の有識者懇談会で発表しました。
人材を受け入れる産業分野は人手不足の状況を踏まえて定めつつ、大都市圏に過度に集中しないよう配慮に努めます。育成就労制度は、国内の労働人口の減少も背景に新たに設けられました。
育成就労制度とは、外国人材を各産業分野で受け入れ、原則3年で専門的な技能を有する「特定技能」の水準まで育成を図るしくみです。今後の制度改正に注意しましょう。