特定技能外国人を受け入れる企業にとって、「定期届出」と「随時届出」は法令に基づく必須の手続きです。これらの届出は、外国人材の適正な雇用と支援体制の維持に欠かせないものであり、対応を怠ると行政処分や罰則の対象となるリスクもあります。
とはいえ、「提出すべき書類は何か」「期限はいつか」「定期と随時の違いがわからない」といった疑問を抱く企業担当者も少なくありません。
今回は、定期届出と随時届出の違い、必要な書類、提出方法までを体系的に解説しています。読了後には、制度の全体像を理解したうえで、適切に届出を行うための実務的な知識が身につきます。最新の出入国在留管理庁のガイドラインに基づいた正確な情報をもとに、法令順守を徹底し、スムーズに手続きを進められるようサポートいたします。
届出に関する不安や誤解を解消し、安心して特定技能外国人を雇用・定着させる体制づくりにぜひお役立てください。
特定技能制度における「定期届出」の概要
特定技能制度を活用して外国人材を受け入れている企業にとって、「定期届出」は制度の適正な運用を支えるために欠かせない重要な義務の一つです。外国人材の適正な雇用や生活支援の実施状況を出入国在留管理庁に報告することで、制度の健全性と透明性を保つ役割を果たしています。ここでは、定期届出の概要を解説します。
定期届出とは
特定技能制度における「定期届出」とは、外国人材を受け入れている企業や団体が、就労状況や支援実施状況などを四半期ごとに出入国在留管理庁へ報告する法的義務です。これは、制度の適正な運用を維持するために不可欠な手続きであり、外国人材の労務管理状況を行政が適切に把握するための基礎資料となります。
届出の内容には、特定技能外国人の氏名や国籍、所属機関の情報、労働条件、支援実施状況などが含まれ、期限内の正確な提出が求められます。届出を怠ったり、虚偽の内容を報告した場合には、是正指導や罰則の対象となることもあるため、十分な注意が必要です。
参照元:特定技能所属機関・登録支援機関の皆様へ(出入国在留管理庁)
定期届出の必要書類
定期届出に必要な主な書類は次のとおりです。
- 受入れ・活動状況に係る届出書(参考様式第3-6号)
- 特定技能外国人の受入れ状況・報酬の支払状況(参考様式第3-6号 別紙)
- 賃金台帳の写し(特定技能外国人のもの)
- 賃金台帳の写し(比較対象の日本人のもの)
- 報酬支払証明書(報酬を現金で支払っている場合のみ、参考様式第5-7号 別紙)
さらに、支援計画を自社で実施している場合は、次の書類も併せて提出が必要です。
- 支援実施状況に係る届出書(参考様式第3-7号)
- 1号特定技能外国人支援対象者名簿(参考様式第3-7号別紙)
- 相談記録書(参考様式第5-4号)
- 定期面談報告書(参考様式第5-5号、5-6号)
これらの書類に加えて、必要に応じて以下の書類が求められる場合があります。
- 理由書:提出期限内に定期届出ができなかった場合(任意様式)
- その他:出入国在留管理庁が別途指示する書類
上記の様式は以下の出入国在留管理庁のホームページからダウンロードできます。
定期届出の提出先
定期届出の提出先は、所属機関の所在地に応じた地方出入国在留管理局またはその支局です。
- 法人の場合:登記上の本店所在地を管轄する地方出入国在留管理局または支局
- 個人事業主の場合:事業主の住民票上の住所を管轄する地方出入国在留管理局または支局
提出先の所在地や担当部門などは、下記のページを参照してください。
定期届出の重要性と注意点
定期届出は、特定技能制度の適正な運用を支える重要な手続きの一つであり、企業が外国人材を適切に雇用・支援していることを行政庁に報告する重要な役割を担っています。
届出を確実に行うことで、外国人材の安定就労と支援体制の透明性が確保され、企業の社会的責任の遂行にもつながります。
定期届出の重要性
定期届出を適正に実施することで、企業は次のような成果を得ることができます。
まず、届出を履行することによって、法令に即した運用が可能となり、外国人材を受け入れるうえで必要な雇用・支援体制を確実に整えることができます。また、届出を通じて労務管理上の課題を早期に発見・対応でき、リスクマネジメントの観点でも有効です。さらに、整備された労働環境の証明が、企業ブランドの強化にも寄与します。
定期届出の注意点
届出を怠る、または虚偽の報告を行った場合、行政処分や罰則の対象となる恐れがあります。具体的には、罰金処分、特定技能外国人の受入れ停止、さらには在留資格の取消しといった措置が課される可能性もあります。
定期届出は単なる書類提出ではなく、企業が適正な外国人雇用を継続するための義務であり、制度運用の透明性と公正性を支える重要な役割を担っています。企業担当者はその意義を正しく理解し、確実な実施を徹底しましょう。
特定技能制度における「随時届出」の概要
随時届出は、特定技能制度の透明性と適正な運用を支える重要な仕組みです。特定技能外国人の雇用状況や支援体制に変更が生じた際には、出入国在留管理庁への報告が義務付けられており、制度を利用する企業・支援機関にとっては、日常的なコンプライアンス対応の一環といえます。ここでは、随時届出の概要を解説します。
随時届出とは
随時届出とは、特定技能外国人の雇用や支援に関して変更があった場合に、所属機関や登録支援機関がその内容を出入国在留管理庁に届け出る手続きです。定期届出とは異なり、状況が発生した都度、速やかに報告する必要があります。
随時届出が必要となるケース
随時届出が必要なケースは、所属機関と登録支援機関とで異なります。それぞれの立場で想定される主な事例を以下に整理します。
特定技能所属機関が提出する随時届出
所属機関においては、次のような場合に随時届出が求められます。
- 雇用条件の変更: 特定技能外国人の給与、労働時間、業務内容などが変更になった場合
- 雇用契約の終了:特定技能外国人が退職または解雇された場合
- 新たな雇用契約の締結:新たな特定技能外国人を雇用した場合
- 受け入れ困難な事由の発生:雇用を継続することが困難な事由(例:事業縮小、倒産など)が発生した場合。雇用契約が終了していなくても、届け出が必要です
- 支援計画の変更:特定技能外国人に対する支援計画の内容を変更した場合(支援を登録支援機関にすべて委託している場合でも、特定技能所属機関から提出する必要があります)
- 不正行為の発生:不正な在留資格取得、虚偽報告、違法な労働環境の提供などが発覚した場合
登録支援機関が提出する随時届出
登録支援機関に関する変更も、以下の場合には随時届出の対象です。
- 登録事項の変更: 登録支援機関の名称、所在地、役員などが変更になった場合。
- 事業の休止・廃止・再開: 登録支援機関としての活動を休止、廃止、または再開した場合。
参照元:特定技能所属機関・登録支援機関の皆様へ(出入国在留管理庁)
随時届出の提出期限
随時届出は、変更や事由が発生した日から14日以内に行う必要があります。遅延した場合でも速やかに届出を行い、あわせて遅延理由書を添付すれば、罰則の適用を回避できる場合があります。
随時届出の必要書類
届出に必要な書類は、変更内容や発生した事由により異なります。ここでは、主要なケースごとに求められる書類を整理します。
雇用契約・受入れ困難に関する届出
1. 雇用契約の変更 | ・特定技能雇用契約の変更に係る届出書(参考様式第3-1-1号) ・変更後の雇用契約書の写し |
2. 雇用契約の終了 | ・特定技能雇用契約の終了又は締結に係る届出書(参考様式第3-1-2号) |
3.受入れ困難な事由の発生 | ・受入れ困難に係る届出書(参考様式第3-4号) ・受入れ困難となるに至った経緯に係る説明書(参考様式第5-11号) |
支援計画変更・委託契約・不正行為に関する届出
1. 支援計画の変更 | ・支援計画変更に係る届出書(参考様式第3-2号) ・変更後の1号特定技能外国人支援計画書(参考様式第1-17号) |
2. 支援委託契約の締結・変更・終了 | ・支援委託契約に係る届出書(参考様式第3-3号) ・支援委託契約書の写し(締結・変更の場合) |
3. 不正行為 | ・不正行為に係る届出書(参考様式第3-5号) |
様式は、以下の出入国在留管理庁のホームページからダウンロードできます。
提出する際の注意点
届出書類は正確に記入し、漏れのないように添付資料を準備してください。複数人に関わる変更がある場合には、別紙で個別記載が必要です。電子届出システムを活用すれば、より迅速で確実な提出が可能です。
随時届出の提出先
随時届出の提出先は、原則として所属機関の本店または主たる事業所の所在地(個人事業主の場合は住民票上の住所地)を管轄する地方出入国在留管理局または支局です。
参照元:提出先となる特定技能所属機関の住所(出入国在留管理庁)
随時届出の重要性と注意点
随時届出は、外国人材の適切な就労と特定技能制度の信頼性を守るために不可欠です。ここでは、その意義と注意点を整理します。
随時届出の重要性
随時届出を適切に実施することで、外国人労働者の権利保護、不当労働の予防、制度の健全な運用が可能となります。また、企業が法令を順守していることを行政機関に対して示す手段にもなります。随時届出の注意点
届出を怠ったり、虚偽の報告を行った場合は、次のような行政処分や刑事罰を受ける可能性があります。
- 特定技能外国人の受入れ停止
- 罰金などの刑事罰
- 在留資格の取消し
参照元:特定技能所属機関からの随時届出に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)(出入国在留管理庁))
随時届出は、企業の信頼性と制度利用の継続性を確保するために重要な役割を担います。最新情報に基づいて正確かつ迅速に対応し、制度全体の信頼維持に貢献しましょう。
定期届出と随時届出の提出方法
定期届出および随時届出は、特定技能制度を適切に運用するうえで欠かせない手続きです。届出方法は複数あり、状況や利便性に応じて選択できます。ここでは、主な提出方法について解説します。
- インターネット
- 郵送
- 窓口
インターネットによる提出
出入国在留管理庁が提供する「電子届出システムポータルサイト」からオンラインで届出が可能です。24時間365日対応しており、時間や場所に縛られずに提出できる点が最大の利点です。
参照元:出入国在留管理庁電子届出システムポータルサイト(出入国在留管理庁)
郵送
必要書類を郵送で送付する方法です。窓口に出向く必要がないため、遠方の事業者や時間に制限のある場合に適しています。
窓口
管轄の地方出入国在留管理局または支局の窓口へ直接持参する方法です。その場で職員から説明を受けたり、書類の不備をその場で修正できるため、初めて届出を行う事業者や複雑な案件の際に有効です。
可能であれば、オンラインでの届出が最も効率的であり、業務の負担軽減につながります。ただし、制度に不慣れな場合や書類の不備が懸念される場合は、窓口での相談も積極的に活用することが望まれます。届出内容や企業の状況に応じて、最適な手段を選びましょう。
特定技能の人材紹介は明光グローバルへお任せください
特定技能人材は、日本の労働市場において重要な役割を果たす人材です。しかし、その受け入れには専門的な知識や手続きが必要であり、スムーズに進めるためには「登録支援機関」のサポートが欠かせません。
明光グローバルは、特定技能人材の導入から定着までを一貫して支援する登録支援機関として、多くの企業様をサポートしてきました。初めて特定技能人材を採用する企業様にはゼロからの支援を提供し、既に活用されている企業様には現状の課題解決やさらなる成長を伴走します。
当社のサービスには、人材紹介、在留資格変更支援、生活サポート、日本語教育や特定技能試験対策などが含まれており、企業様が安心して外国人材を受け入れられる環境を整えます。
最後に、明光グローバルの概要と提供するサービスを紹介します。ぜひ特定技能人材専門の人材紹介サービスを手掛ける明光グローバルにお問い合わせください。
明光グローバルとは
明光グローバルは、外国人材の就労機会の創出と育成を通して、日本企業の持続的な成長をサポートする教育系人材サービスです。
40年以上の個別指導の教育実績、そして10年以上の日本語教育の実績を持つ明光ネットワークジャパングループの知見を活かし、外国人材の育成と企業の人材課題解決に特化したサービスを提供しています。
JCLIや早稲田EDU日本語学校での豊富な教育ノウハウを活かし、特定技能試験対策から業界別の専門教育まで、幅広いニーズに対応しています。外務省からEPA事業を4期連続で受託するなど、高い信頼性と実績を誇ります。
明光グローバルの主要サービス
事業 | サービス |
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教育研修事業 | ・eラーニングによる日本語教育(スマホアプリに対応) ・対面/オンラインによる日本語レッスン ・外国籍人材と日本人に向けた各種研修プログラム ・外国籍人材に向けた各種試験対策講座 |
人材紹介事業 | ・特定技能人材の紹介 ・外国籍エンジニアの人材紹介 ・教育伴走型の登録支援サービス |
特定技能人材やエンジニアの紹介から、外国人社員向けの教育・研修サービスまで、幅広いノウハウを提供しています。単なる日本語教育にとどまらず、企業での実践力を重視した総合的な人材育成を行っています。
特定技能人材紹介サービスの概要
特定技能人材紹介サービスとは、特定技能人材の導入から定着まで、一気通貫したサポートが受けられるコンサルティングサービスです。
明光グローバルは、特定技能1号人材の登録支援機関として認定されています。登録支援機関とは、特定技能1号の人材への支援を適切に実施し、出入国在留管理庁への各種届出を滞りなく行うために設置されているサポート機関です。
企業が登録支援機関と委託契約を締結すると、必要に応じて特定技能人材への支援を登録支援機関に委託することができます。具体的には、ご契約いただいた企業においては、特定技能人材の紹介に加えて、次のサービスをご利用いただくことが可能です。
- 特定技能人材の採用に向けた各種申請書類作成のサポート
- 特定技能人材の生活サポート
- 特定技能人材の母国語での相談窓口
- 特定技能人材との定期面談
明光グローバルのサービスが選ばれている主な理由には、次の3つのサポート体制にあります。
サポート内容 | 概要 |
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採用支援 | ・SNSを活用した独自の採用ルート ・提携教育機関との連携による人材確保 ・母国語スタッフによる適性評価 |
充実した入社前後のサポート | ・在留資格申請の手続き代行 ・住居やライフラインの整備 ・銀行口座開設など初期手続きの支援 |
効果的な定着支援と能力開発 | ・定期的な面談によるフォロー ・母国語による相談窓口の設置 ・独自開発の外国人向けオンライン日本語学習ツール「Japany」による日本語学習 |
こうした包括的なサポートにより、半年で100名以上の紹介実績を持つ企業様もいます。特定技能人材の採用をお考えの企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。
明光グローバルの強み
明光グローバルの強みは、「集客力」「教育力」「専門性」の3点です。
明光グローバルは、SNSや各種メディアなどを通じて外国人材を数多く集客しています。また、グループ会社のネットワークを通じて、各種教育機関からも優秀な人材を獲得しています。潤沢な候補者情報を獲得しているからこそ、企業にぴったりの人材を選抜し、推薦することが可能なのです。
まとめ
特定技能制度を活用して外国人材を受け入れる企業にとって、定期届出や随時届出は法令に基づく重要な義務であり、適切に実施することが企業の信頼性やコンプライアンスの維持に直結します。届出を怠った場合には、行政処分や罰則の対象となる恐れがあるため、制度の内容を正しく理解し、確実に対応することが求められます。
とはいえ、届出には提出期限の厳守や煩雑な書類の作成・管理といった負担が伴い、実務上の対応に悩む企業も少なくありません。そうした中で、登録支援機関である明光グローバルは、制度に精通した専門スタッフによる総合的な支援を通じて、企業の法令遵守と業務効率化を両立させます。
具体的には、定期届出や随時届出に必要な書類作成から提出代行、スケジュール管理までを一貫してサポートし、企業の労務管理の負担を大幅に軽減します。その結果、企業は本業に専念しながら、安定的かつ継続的に外国人材を受け入れ、定着を促進する環境を整えることができます。
特定技能制度に関する実務対応に不安がある場合は、ぜひ明光グローバルのサポートをご検討ください。確かな実績と専門性を活かし、貴社の外国人材活用を力強く支援いたします。