近年、日本で働く外国人材の数が増加し続けています。2023年10月末時点では約205万人となり、過去最高を更新しました。全雇用者の約3.4%が外国人材となっています。一方で、「外国人材には定着率が低いイメージがあり、採用するのが心配」「外国人材の定着率を高める方法が知りたい」とお悩みの企業の経営者や、人事・教育担当者の方も少なくありません。
今回は、外国人材の定着率や、定着率を向上させるためのポイント、導入すべき教育研修などについて詳しく解説します。外国人材の定着率の向上に関心のある方は、ぜひ最後までご覧ください。
現状の外国人材の定着率
まずは、現状の外国人材の定着率を確認しましょう。
厚生労働省の公表しているデータによると、日本人・外国人を含む全雇用者の離職率と比べて、外国人労働者の離職率は高いことがわかります。限られた期間ではあるものの、外国人労働者の離職率は年々減少トレンドにあり、定着する傾向が強まっていると考えられます。
外国人労働者・全雇用者の離職率(半期別)

項目 | 2019年上半期 | 2019年下半期 | 2020年上半期 | 2020年下半期 |
---|---|---|---|---|
外国人労働者 | 18.0% | 17.7% | 15.4% | 14.0% |
全雇用者 | 9.1% | 5.9% | 8.5% | 5.8% |
※参照元:
※「外国人労働者」の離職率は、各年半期の月間離職者数の合計を各年1月の外国人労働者で除している
※「全雇用者」には日本人・外国人が含まれている。「全雇用者」における各年の下半期の離職率は、年間の離職者数から上半期の離職者数を減じたものを年初の常用労働者数で除している
また、外国人労働者の中でも、在留資格の種類によって定着率が異なることがわかっています。「高度専門職」や「技能・人文知識・国際業務」、「特定技能」などの在留資格を含む「専門的・技術的分野の在留資格」については、他の在留資格と比べて定着率が高いです。
他の在留資格と比べて離職率が高い「その他(資格外・特定活動)」には、ワーキングホリデーや留学生のアルバイトなどが含まれます。もともと雇用期間が短いこともあり、離職率が高くなってしまうものと推察されます。

項目 | 2019年上半期 | 2019年下半期 | 2020年上半期 | 2020年下半期 |
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専門的・技術的分野の在留資格 | 10.9% | 12.2% | 11.8% | 10.5% |
身分に基づく在留資格 | 15.9% | 16.8% | 15.7% | 14.0% |
その他(資格外・特定活動など) | 22.3% | 20.4% | 16.6% | 15.5% |
※外国人の労働移動の分析(厚生労働省)を参考に作成
※外国人雇用の状況について(厚生労働省)によると、「専門的・技術的分野の在留資格」には、「教授」「高度専門職」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「介護」「技能」「特定技能」が含まれる。「身分に基づく在留資格」には、「定住者」「永住者」「日本人の配偶者」「永住者の配偶者」が含まれる。「その他」には、「特定活動」「資格外活動」「技能実習」が含まれる。(「外交」「公用」「特別永住者」は対象外)
外国人材の定着率が低くなっている要因
では、外国人材の定着率はなぜ低くなっているのでしょうか?ここでは、外国人材の定着率が低い要因について分析します。
- 勤務している業界・業種が限定的だから
- 外国人材が若年層に偏っているから
- 外国人材が働きにくい職場になっているから
勤務している業界・業種が限定的だから
外国人材の定着率が低い要因の一つが、勤務している業界・業種が限定的であることです。
外国人材は、主に人手不足となっている業界・業種を中心に受け入れられています。人材難に陥っている企業では、一人ひとりに課される作業量が過大になってしまうことや、教育研修が行き届かないことも想定されます。
また、内閣府の調査では、日本人労働者と比べて外国人労働者の賃金水準が全体的に低いことが分かっています。日本においては、同一労働同一賃金が導入されているため、平均賃金の高い仕事に日本人労働者が多く従事しており、平均賃金の低い仕事に外国人労働者が多く従事していることになります。

画像引用元:我が国における外国人労働者の現状と課題(内閣府)
このような点から、人手不足ゆえのハードな労働環境に対して、労働条件や報酬が見合わないことによる離職も多いと推察されます。
外国人材が若年層に偏っているから
外国人材の多くが若年層である点も、定着率が低い要因になっています。
内閣府の調査によると、日本人労働者の年齢分布は40〜50代を中心に広く分散しているのに対して、外国人労働者の年齢分布は20〜30代に大きく偏っています。少子高齢化に伴って外国人労働者の受け入れが近年加速している点や、一定の在留経験を経て母国に帰国する外国人労働者がいる点が影響していると考えられます。

画像引用元:我が国における外国人労働者の現状と課題(内閣府)
結婚や出産などのライフイベントが多くキャリアが固定化しやすい中年層と比べて、若年層は転職へのハードルが低いです。外国人労働者の特徴的な年齢分布も、離職率の高さにつながっているのです。
外国人材が働きにくい職場になっているから
外国人材にとって、職場が働きにくい環境になっていることも離職率が高い要因です。
近年、外国人材の採用が急速に進んでいます。一方、中小規模の企業や事業者では、外国人材の受け入れに慣れていない日本人社員も多いです。中には、外国人材の採用に対して批判的な考えを持ち、差別や偏見によるハラスメントが発生してしまうこともあります。
「特定非営利活動法人 移住者と連帯する全国ネットワーク」の調査によると、次のようなパワーハラスメントやレイシャルハラスメントが発生しています。
- 上司から「外国人はお金のことばかり言う」と言われた
- 日本人社員から「国へ帰れ」などの暴言を浴びせられた
- 職場で日本人従業員と会話をすることを禁じられた
- 職場のトイレが「日本人用」と「外国人用」に分かれており、急を要して「日本人用」を利用した際に社長からひどく叱責された
日常的な差別や偏見に晒され続ければ、どんなに意欲的な外国人材もエンゲージメントが低下し、離職につながってしまいます。こうした働きにくい職場環境が、外国人材の定着率を下げてしまう要因になるのです。
参照元:外国人労働者が遭遇するパワーハラスメント(レイシャルハラスメント)事例(特定非営利活動法人 移住者と連帯する全国ネットワーク)
外国人材の定着率を向上させる方法
それでは、自社の外国人材の定着率を向上させるためには、どのような方法があるのでしょうか?ここでは、外国人材の定着率を向上させるための企業の取り組みについて解説します。
- より条件の良い在留資格を取得してもらう
- 外国人材の日本語能力を向上させる
- 働きやすい職場環境を整える
より条件の良い在留資格を取得してもらう
定着率を高める方法の一つが、自社で雇用している外国人材により条件の良い在留資格を取得してもらうことです。
そもそも、在留資格によって、日本に滞在できる期限や資格更新の可否が決まっています。たとえば、在留資格「特定技能1号」の場合、最長でも5年までしか日本に滞在することができません。ただし、在留期間中に「特定技能2号」の在留資格に移行すれば、在留期間の上限がなくなります。
日本に無期限で滞在できる在留資格を得られれば、外国人材が望む限り、自社に勤め続けることができます。企業としては、自社の外国人材により良い条件の在留資格を取得してもらうよう勧め、取得に向けたサポートを行うことが重要です。
サポートの一例としては、在留資格取得に向けたロードマップ作成を補助することや、在留資格の取得要件となる技能試験や日本語試験の合格に向けた支援をすることなどが挙げられます。
外国人材の日本語能力を向上させる
外国人材の日本語能力を向上させることで、定着率を高めることが可能です。
日本企業では、基本的に日本語のみを用いて業務指示や教育指導を行います。日本語での会話に不慣れな外国人材にとって、職場でうまくコミュニケーションが取れないことはストレスや孤立などの離職要因につながります。一方、日本語能力が高まれば高まるほど、周囲の日本人社員とスムーズに協働できるようになり、職場に対する愛着が生まれます。
実際に、日本語能力が高い外国人材ほど、仕事への満足度が高いという調査結果もあります。企業としては、教育研修や教材提供などを通して、外国人材に対して日本語学習の機会を与え、日本語能力を向上させることが重要です。
参照元:「アンケート調査結果からみる外国人材の生活や仕事の満足感」 かけはし 2024.4 Vol.157 8‐9ページ(国際人材協力機構)
働きやすい職場環境を整える
外国人材にとって働きやすい職場環境を整えることも、定着率を向上するために重要な要素です。
日本人社員の中には、外国人材に対して批判的な考えを持ち、直接的に暴力をふるったり、暴言を吐いたりする方もいます。また、外国人材と協働することに慣れていないため、無意識のうちに差別的な言葉や態度を取ってしまっている方も多いです。差別や偏見、ハラスメントが横行している職場では、外国人材の心理的安全性が担保されず、早期の離職につながる可能性が高まります。
外国人材の定着には、誰もがのびのびと働ける職場環境が不可欠です。企業としては、日本人社員に外国人材の採用の重要性を伝え、協働に必要な知識や技術を教育することが重要です。
外国人材の定着率を向上させるための教育研修とは
外国人材の定着率を向上させるには、外国人材と日本人社員の双方に対して教育研修を行うことが重要です。教育研修では、主に次のようなテーマを扱います。
研修の種類 | 概要 |
---|---|
外国人材に対する教育研修 | 日本語研修や日本語レッスンを通して、外国人材の日本語能力を伸ばします。また、職場にスムーズに適応できるよう、日本の文化やコミュニケーション手法を教える研修を実施します。 |
日本人社員に対する教育研修 | 円滑に外国人材を受け入れられるよう、異文化理解研修や異文化コミュニケーション研修を実施します。また、日本語能力が高くない外国人材に適切な声かけができるよう、「やさしい日本語」の研修を行います。 |
外国人材と日本人社員の双方に対して教育研修を行うことで、お互いが歩み寄り、気持ち良く働ける職場を作ることができます。
外国人材に対する教育研修プログラム
では、外国人材に対する教育研修としては、どのようなプログラムを実施すれば良いのでしょうか?ここでは、外国人材に対して実施すべき教育研修プログラムを紹介します。
- 日本語研修・日本語レッスン
- 日本の文化やコミュニケーション手法を学ぶ研修
日本語研修・日本語レッスン
外国人材に日本語研修・日本語レッスンを受講してもらうことで、定着率の向上につながります。日本語能力が高ければ高いほど、職場の日本人社員とスムーズに交流できるようになり、企業や仕事に対するエンゲージメントが向上します。
また、「特定技能」など、在留資格の要件として、日本語試験の合格が求められるケースもあります。日本語試験に合格し、より良い条件の在留資格にレベルアップすることで、長期的な日本への滞在が可能となります。
外国人材に対して日本語研修・日本語レッスンを行う主な手法としては、次のようなものがあります。
日本語研修・日本語レッスンの方法 | 概要 |
---|---|
自社で日本語研修を企画・運営する | 人事・教育担当者が中心となり、自社で日本語研修を開催する方法です。専門用語など、自社に特化した日本語をピンポイントで教える場合に効果的です。 |
プロの日本語講師と契約し、職場で日本語講座を実施してもらう | 企業や個々の外国人材に合わせてカリキュラムを調整することが可能です。スケジュール調整の手間がかかります。 |
日本語学校や日本語教室に通ってもらう | 総合的な日本語能力を高めることができます。企業や個々の外国人材にあわせてカリキュラムを調整することはできないため注意が必要です。 |
教科書や参考書などの日本語学習教材を活用する | 外国人材が自分のペースで学習することが可能です。外国人材にとって学習モチベーションを維持するのが難しく、企業側が学習状況を管理しにくい点にも注意が必要です。 |
オンライン日本語学習ツールを活用する | プロの日本語講師が解説する動画教材を観ながら、スキマ時間を活用して学習することができます。外国人材のモチベーション維持には工夫が必要です。 |
日本語レッスンを活用する | プロの日本語講師に1対1で教えてもらえるため、個々の学習進捗や課題にあわせた効率的な学びを得ることができます。金銭的なコストが高くなる傾向があります。 |
日本の文化やコミュニケーション手法を学ぶ研修
日本の文化やコミュニケーション手法を学ぶ研修にも、外国人材の定着率を向上する効果があります。
外国人材は、慣れない日本の企業文化やビジネスマナー、コミュニケーションに戸惑ってしまうことも多いです。入社当初に、外国人材に対して日本の企業文化やビジネスマナー、コミュニケーションの特徴などを学ぶ研修を実施することで、スムーズに職場に適応しやすくなります。
日本の文化やコミュニケーション手法を学ぶ研修としては、次のような研修があります。
研修の種類 | 概要 |
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日本人のコミュニケーションの特徴研修 | 「クッション言葉」や「本音と建前」、「謝罪の文化」、「婉曲的な表現」といった、日本人のコミュニケーション上の特徴について学びます。 |
日本企業の特徴研修 | 「稟議・承認」や「根回し」、「報告・連絡・相談」といった、日本の会社組織における一般的な企業文化やルールについて学びます。また、外国人材が日本企業で活躍するためのポイント・注意点も紹介します。 |
明光グローバルでは、外国人材向けの異文化理解研修や、新入社員ビジネスマナー研修、接遇・セールス研修などを実施しています。企業の要望に応じてカスタマイズも可能です。研修企画にお困りの際は、ぜひ明光グローバルまでお気軽にお問い合わせください。
日本人社員に対する教育研修プログラム
外国人材の定着率を向上させるには、職場の日本人社員に対して外国人受け入れ研修を行うことも重要です。ここでは、日本人社員に対して実施すべき具体的な教育研修プログラムとして、次の2つについて解説します。
- 異文化理解・異文化コミュニケーション研修
- 「やさしい日本語」研修
異文化理解・異文化コミュニケーション研修
外国人材の定着率を向上するには、日本人社員に対する異文化理解・異文化コミュニケーション研修が必要不可欠です。
はじめて外国人材と協働する日本人社員の中には「何に配慮したら良いのか」「どのような声かけが適切なのか」とお悩みの方も多いです。異文化理解研修や異文化コミュニケーション研修を実施することで、日本人社員が自信を持って外国人材と関わることができるようになります。そして、外国人材にとって居心地の良い職場が作られるようになり、定着率が向上します。
異文化理解・異文化コミュニケーション研修としては、次のような研修があります。
研修の種類 | 概要 |
---|---|
異文化理解研修 | 各国の文化や国民性、習慣の違いやその背景を学びながら、日本の文化的特徴を併せて理解します。また、よくある思い込みや差別などの事例を紹介し、ハラスメントを防止します。 |
異文化コミュニケーション研修 | 世界の言語における日本語の特殊性を知り、外国人材にとってわかりやすい言葉やコミュニケーション手法について学びます。 |
心理的安全性研修 | 心理的安全性について理解を深め、職場で孤立しやすい外国人材の心理的安全性を確保するための声かけの仕方や体制整備の方法を学びます。 |
異文化マネジメント研修 | 異なる文化的背景を持つ上司・部下の関係づくりについて学びます。また、評価・査定や業務指示、教育指導に必要なコミュニケーション手法を理解します。 |
明光グローバルでは、日本人社員に向けた異文化理解・異文化コミュニケーション研修を提供しています。研修企画にお悩みの際は、ぜひ明光グローバルまでお気軽にお問い合わせください。
「やさしい日本語」研修
職場の日本人社員に「やさしい日本語」研修を実施することも、外国人材の定着率向上に貢献します。「やさしい日本語」とは、難しい言葉を言い換えるなど、相手に配慮したわかりやすい日本語のことです。
日本人社員が「やさしい日本語」を身につけることで、職場における外国人材とのコミュニケーションが円滑になります。これによって、日本人社員と外国人材の双方にとって気持ちが良い職場づくりにつながります。
「やさしい日本語」研修としては、次のような研修があります。
研修の種類 | 概要 |
---|---|
「やさしい日本語」に関する理解の促進・意識啓発のための研修 | 「やさしい日本語」を知らない日本人社員に向けて、「やさしい日本語」の概要や使用に至るまでの歴史的背景、重要性、ポイントなどを伝えます。 |
書き言葉としての「やさしい日本語」研修 | 外国人材に向けてビジネス文書やマニュアルを作る日本人社員を中心に、「やさしい日本語」における書き言葉の使い方や作り方、注意点を学びます。 |
話し言葉としての「やさしい日本語」研修 | 外国人材に対して業務指示や教育指導を行う日本人社員を中心に、「やさしい日本語」における話し言葉の使い方や作り方、注意点を学びます。 |
なお、文化庁・出入国在留管理庁の公式サイトから、詳しい使い方に関するガイドラインや研修の手引きを確認することができます。
参照元:
- 在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン(文化庁・出入国在留管理庁)
- 在留支援のためのやさしい日本語ガイドラインほか(文化庁)
- 在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン 別冊 やさしい日本語の研修のための手引(文化庁・出入国在留管理庁)
外国人材の定着率向上に向けて教育研修を実施する際のポイント・注意点
外国人材の定着率を向上させるために教育研修を実施する際には、どのような点に注意する必要があるのでしょうか?ここでは、外国人材の定着率向上に向けて教育研修を実施する際のポイント・注意点について解説します。
- 最初に外国人材と日本人社員が協働する重要性を理解してもらう
- 教育研修の目標やゴールを設定する
- マニュアルや配布資料を充実させる
- 「NGワード」を使用しない
- 教育研修を実施したら効果測定を行う
最初に外国人材と日本人社員が協働する重要性を理解してもらう
外国人材の採用に慣れていない会社では、経営層・人事部門と現場の意識の乖離が問題となるケースが多いです。諸々の教育研修をはじめる前に、全社会議などの場を利用して、経営層が自ら日本人社員に外国人材を採用する重要性を説くようにしましょう。
具体的には、次のようなことを伝えておくことが必要です。
- 外国人材の受け入れを決めた経緯
- 外国人材の受け入れの自社にとっての重要性
- 今後どのように外国人材と協働すべきか
また、外国人材に対しても、あらかじめ日本の企業文化を理解してもらう必要があります。日本の組織におけるチームワークの重要性や仲間と協力することの大切さを伝えることで、職場に自然と適応できるようになります。
教育研修の目標やゴールを設定する
研修を企画する際には、自社が到達すべき目標やゴールを設定することが重要です。「あれもこれも」とやみくもに研修を実施した結果、本当に伝えたかった内容を伝えきれないまま終わってしまうことがあります。
従業員は忙しい業務の時間を割いて研修に参加するため、短い時間で効率的な学びを提供することが重要です。
目標やゴールを設定することで、本筋を意識した研修を企画できるようになります。個々の研修プログラムを企画する前に、しっかりと自社にとって到達すべき目標・ゴールを明文化しましょう。
マニュアルや配布資料を充実させる
外国人材を対象とした研修では、可能な限りマニュアルや配布資料を準備しましょう。日本語に不慣れな外国人材にとって、口頭だけでの説明はわかりにくいものです。重要な内容を聞き漏らしてしまい、事故やクレームにつながる危険性もあります。
マニュアルや配布資料を充実させることで、研修内容をより確実に伝えることができます。外国人材の日本語能力に応じて、次のような工夫をするようにしましょう。
- 図やイラストを活用する
- 漢字にルビを振る
- 母語への翻訳版を用意する
「NGワード」を使用しない
外国人材に対して教育研修を提供する際は、コミュニケーションを悪化させる「NGワード」に注意が必要です。具体的には、次のような表現を口にしないよう心掛けてください。
NGワードの例 | 概要 |
---|---|
「こんなこともわからないのか」「自分で考えなさい」 | 日本では「考える力を育てる」ために、曖昧な指示を出すことがあります。しかし、外国人材に対しては具体的に説明するようにしましょう。曖昧な指示はミスや誤解を招くうえ、ストレスやプレッシャーにつながります。 |
「前にも言ったでしょう」「同じことを何回も言わせないでください」 | 日本語に不慣れな外国人材に対して、一度で指示を伝えることは難しいものです。外国人材に対して教育指導を行う際は、重要なことを3回程度繰り返すことが基本です。それでも伝わらない場合には、「やさしい日本語」で言い換えたり、翻訳機や通訳を活用したりするなど、伝達方法を変えながら伝えましょう。 |
「日本人なら〜なのに」「だから〜人はダメなんだ」 | 「日本人が上」「〜人は下」といった上から目線の物言いは、不適切発言の代表格です。国籍や宗教、文化的価値観で人の優劣を比較するような言葉遣いは、外国人材との関係性を決定的に悪化させてしまいます。絶対に控えてください。 |
教育研修を実施したら効果測定を行う
各種教育研修を実施した際は、効果測定を行い、期待する効果が得られているか確認してください。効果測定によって表出した課題や改善点は、次回の研修につなげるか、受講者にアフターフォローを行うなどして対処しましょう。
効果測定の方法としては、次のようなものがあります。自社の状況に合わせて、適切な手法を選択しましょう。
効果測定の方法 | 概要 |
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アンケート・ヒアリング調査 | 研修実施後を目途に、アンケートやヒアリングを行い、研修内容がどのように受け止められたのか確認する方法です。 |
理解度確認テスト・レポート | 研修から一定期間が経った後で、テストやレポート課題を出し、研修内容の定着度を測る方法です。 |
行動変容チェックリスト | 研修から一定期間が経った後で、チェックリストを通じて、日々の行動がどの程度変わったのか確認する方法です。 |
ROI分析 | 期末などのタイミングで、研修の費用対効果を確認する方法です。 |
外国人材の採用に伴う各種教育研修は明光グローバルにお問い合わせください
外国人材の定着率を向上させるには、外国人材と日本人社員の双方に適切な教育研修を行うことが重要です。一方で、外国人材の採用に慣れていない企業では「具体的にどんな研修を実施すればよいのか」「自社に合った研修とはどのようなものか」とお困りの方も少なくありません。
明光グローバルなら、外国人材向けの日本語研修や日本語レッスン、日本人社員向けの各種外国人受け入れ研修を提供することができます。最後に、外国人材の定着率向上にお悩みの経営者や人事・教育担当者の方に向けて、明光グローバルの各種教育研修サービスを紹介します。
明光グローバルとは
明光グローバルは、外国人材の就労機会の創出と育成を通して、日本企業の持続的な成長をサポートする教育系人材サービスです。40年以上の個別指導の教育実績、そして10年以上の日本語教育の実績を持つ明光ネットワークジャパングループの知見を活かし、外国人材の育成と企業の人材課題解決に特化したサービスを提供しています。
JCLIや早稲田EDU日本語学校での豊富な教育ノウハウを活かし、特定技能試験対策から業界別の専門教育まで、幅広いニーズに対応しています。外務省からEPA事業を4期連続で受託するなど、高い信頼性と実績を誇ります。
明光グローバルの主要サービス
事業 | サービス |
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教育研修事業 | ・eラーニングによる日本語教育(スマホアプリに対応) ・対面/オンラインによる日本語レッスン ・外国籍人材と日本人に向けた各種研修プログラム ・外国籍人材に向けた各種試験対策講座 |
人材紹介事業 | ・特定技能人材の紹介 ・外国籍エンジニアの人材紹介 ・教育伴走型の登録支援サービス |
特定技能人材やエンジニアの紹介から、外国人社員向けの教育・研修サービスまで、幅広いノウハウを提供しています。単なる日本語教育にとどまらず、企業での実践力を重視した総合的な人材育成を行っています。
明光グローバルの各種教育・研修サービスとは
明光グローバルでは、外国人材の日本語能力向上と各業界に特化した学習支援を4つの柱で展開しています。時間や場所を問わない「Japany」でのeラーニングから、ビジネス経験豊富な講師による個別指導まで、幅広いニーズに対応できることが特徴です。
サービス | 概要 |
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オンライン日本語レッスン | ・ビジネス経験豊富な講師による個別指導 ・業界別カスタマイズカリキュラム ・定期的にレッスン報告書を企業に提供 |
各種研修プログラム | 【外国人材向け】新入社員研修、異文化理解研修等 【日本人社員向け】外国人材受入れ研修等 |
各種試験対策講座 | ・専門講師が直接指導 ・実施方法はオンライン/対面いずれも対応可能 ・受講人数や実施回数など企業毎にカスタマイズして対応可能 ※介護福祉士試験対策講座、特定技能2号試験対策講座(外食、飲食料品製造、製造業、建設の4分野に対応) |
明光グローバルの各種教育・研修サービスの強み
明光グローバルの外国人社員向け各種教育・研修サービスの強みは「実用性の高さ」「カスタマイズ性」「豊富な実績」の3点です。
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さらに、EPA事業を外務省から4期連続で受託しており、国内外ともに豊富な導入実績を持っています。企業の規模や外国人社員の採用経験の多寡を問わず、さまざまなサポートが可能です。
まとめ
外国人材が定着しやすい職場は、結果的に日本人にとっても定着しやすい職場であることが多いです。定着率を向上するためには、従業員に選ばれ続ける働きやすい職場づくりの工夫が必要です。
明光グローバルでは、外国人材の採用に伴う各種教育研修を提供しています。外国人材の定着率向上や教育研修の企画・運営にお困りの際には、ぜひ明光グローバルにお問い合わせください。