「特定技能2号でビジネスキャリア検定が必要なのはどの分野?」「自社で外国人材を長期雇用するには、どんな資格が必要?」そんな疑問を持つ企業担当者の方も多いのではないでしょうか?
ビジネスキャリア検定は特定技能2号への移行要件として、特に製造3分野(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)で必要とされています。この検定は、外国人材の技能と知識を証明するだけでなく、企業が安心して長期雇用を進めるうえでも重要な役割を果たします。
今回は、特定技能2号におけるビジネスキャリア検定の位置づけや必要な分野、受験内容とレベル、企業が対応すべき実務上のポイントを、制度理解に欠かせない情報を実務目線で解説します。特定技能外国人材の受け入れを中長期的に見据える企業担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
特定技能2号の概要
在留資格「特定技能2号」は、特定技能1号に比べて在留期間や待遇に大きな違いがあります。まずは、その基本的な仕組みと制度の違いを押さえ、ビジネスキャリア検定との関連性を理解しましょう。
特定技能2号とは
特定技能2号とは、一定の熟練技能を有する外国人材が、より長期的に日本で就労できるよう設けられた在留資格です。特定技能1号の就労経験と技能評価を前提としたステップアップ型の制度となっており、在留期間の更新上限がなく、家族帯同も認められることが特徴です。
特定技能2号に移行するには、分野ごとに設定された評価方法に基づく高度な技能証明が求められます。製造業の一部分野では、この証明手段として「ビジネスキャリア検定」が活用されているケースがあるのです。
特定技能1号との違い
まずは、特定技能1号と特定技能2号の違いについて解説します。特定技能1号と特定技能2号には、在留資格の性質・目的・制度設計において明確な違いがある点があります。
特定技能1号、は基本的に「即戦力となる一定の技能人材」の受け入れを目的としており、在留期間は通算5年まで、家族帯同は不可です。一方、特定技能2号は「熟練技能人材」の位置づけで、在留期間の更新制限がなく、家族の帯同も可能となるため、企業としても長期的な人材活用が可能になります。
こうした制度的優位性から、企業による特定技能2号への移行支援が注目されています。
特定技能2号への移行要件と関係する評価制度
特定技能2号への移行には、原則として特定技能1号での就労経験を持つこと、加えて分野ごとに定められた「上位技能評価試験」に合格することが必要です。そのうち、製造業の3分野(素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業)では、分野ごとに認定された「上位技能評価」の一つとして、JAVADAが実施する「ビジネスキャリア検定」が採用されています。
ビジネスキャリア検定では、職務遂行力や職場理解、マネジメント力といった実務に即した能力が評価され、従来の技能検定とは異なるアプローチが取られています。なお、ビジネスキャリア検定は技能検定に代わる評価選択肢の一つであり、企業と外国人材双方が制度を正しく理解し、適切に準備することが重要です。
ビジネスキャリア検定とは?特定技能2号における位置づけ
特定技能2号の一部分野で移行要件の一つとして導入されている「ビジネスキャリア検定」は、日本国内での業務遂行に必要な知識や業務理解の水準を客観的に測るための評価制度です。特に製造業3分野での特定技能2号移行では、この検定が評価手段の一つとして位置づけられています。
そのため、その目的や仕組みを正しく理解することが重要です。ここでは、ビジネスキャリア検定の概要について解説します。
ビジネスキャリア検定の目的と概要
ビジネスキャリア検定とは、中央職業能力開発協会(JAVADA)が実施する公的な職業能力評価試験であり、職業能力開発促進法に基づいて運営されています。各業種に対応した職務の理解度、問題解決力、品質・安全への配慮などが問われる、実践重視の筆記試験です。
検定は等級制となっており、「3級」から「専門級」まで設定され、段階的な実務能力の証明に用いられています。外国人材にとっても、日本の職場文化や業務プロセスへの適応力を示す客観的指標となります。
特定技能2号移行の評価方法としての役割
製造業の3分野(素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業)では、ビジネスキャリア検定が「特定技能2号」への移行にあたっての技能評価手段として公的に位置づけられています。
具体的には、当該分野で2級以上あるいは専門級の合格実績がある場合、それが実務能力の証明として認められ、移行要件を満たす一手段とみなされます。これは、実際の業務遂行力を重視した「現場基準」の評価方法といえるでしょう。
国家資格やその他の技能評価試験との違い
ビジネスキャリア検定は国家資格とは異なりますが、公的機関が運営するため、その信頼性と客観性は高く評価されています。
技能検定が実技や作業技術に焦点を当てるのに対し、ビジネスキャリア検定は業務の理解、問題解決力、作業管理能力など、より広い範囲で能力を測ることが特徴です。企業が外国人材を中核人材として育成するための基礎指標としても活用できます。
ビジネスキャリア検定が必要な分野の対象業種と要件
すべての特定技能2号対象分野でビジネスキャリア検定が必要というわけではなく、現時点で制度上の評価手段の一つとして定められているのは製造系3分野に限られます。ここでは対象分野の概要と制度的背景について解説します。
対象となる製造業3分野(素形材・産業機械・電気電子情報)
ビジネスキャリア検定が制度上の評価方法の一つとして認められているのは、次の3つの製造分野に限られています。
- 素形材産業(鋳造・鍛造・金属プレス等)
- 産業機械製造業(工作機械、建設機械、輸送機械などの製造)
- 電気・電子情報関連産業(電子部品、制御盤、通信機器等の製造)
これらの分野では、実務遂行力や業務理解力を問う理論試験が求められており、JAVADAが実施するビジネスキャリア検定の指定等級に合格することが評価要件の一つとなっています。
製造分野でのみ検定が必要とされている理由
素形材産業など製造業の現場では、作業者のちょっとした判断ミスが製品の品質や納期に大きく影響することがあります。従来の技能検定は、特に製造業においては作業技能に重きを置いた実技評価が中心でした。しかし、業務全体の理解や状況判断力、マネジメント的視点などは評価しきれない面があったことも事実です。
そのため、理論と実務知識に基づいた筆記評価であるビジネスキャリア検定が導入され、より包括的な人材評価が可能になっています。
他分野での必要性と制度拡大の可能性
2025年7月現在、介護、建設、農業など、製造業以外の分野においては、ビジネスキャリア検定は特定技能2号移行の要件には含まれていません。しかし、評価制度の見直しや人材定着の重要性が高まるなかで、今後は他分野にも同様の制度が導入される可能性があります。
特にサービス業や建設業においても、業務理解やマネジメントスキルが重要視される傾向にあり、ビジネスキャリア検定の枠組みを参考にした評価制度の普及の可能性があるかもしれません。
ビジネスキャリア検定への対応と企業が行うべき準備
外国人材がビジネスキャリア検定に合格し、対象分野の特定技能2号へ移行するには、企業側の制度理解と支援体制の整備が欠かせません。ここでは、検定制度の基本情報や等級要件、実務対応、合格後のフォローについて解説します。
受験対象と試験内容
ビジネスキャリア検定は、年齢・学歴などの制限はなく、誰でも受験可能です。試験は年2回程度実施され、基本的にマークシート方式の筆記試験です。
出題内容は業種ごとに異なりますが、「職務の基本知識」「業務の流れ」「品質・安全管理」「課題への対応力」など、現場で即活かせる実務知識が中心です。過去問題や公式テキストの活用が有効です。
特定技能2号移行に必要な等級要件
特定技能2号への移行要件として認められている等級は、ビジネスキャリア検定3級です。対象の製造業分野では、生産管理プランニング区分か生産管理オペレーション区分のいずれかの取得が要件になっています。これは、業務の中核を担う中堅人材としての水準が求められるレベルであり、特定技能1号水準よりも高度な能力が必要です。
試験範囲の広さと理解度の深さが求められるため、短期間での独学合格は難しく、体系的な学習支援が必要となります。
外国人材の受験支援と学習環境の整備
企業は、外国人材が無理なく学習できるよう、教材の提供や学習環境の整備を行う必要があります。日本語レベルがN3〜N2程度ないと試験理解が難しいため、日本語支援も重要です。
eラーニングの導入や、日本語対応のテキスト提供、研修日程の調整など、現場と教育の両立を意識した設計が求められます。
社内体制の整備と外部支援の活用
社内に十分な教育リソースがない場合は、登録支援機関や教育専門企業と連携することが効果的です。特定技能制度や検定制度に精通した外部支援を活用することで、スムーズな学習・受験体制を構築できます。
それぞれの外国人材について、定期的な学習進捗管理や面談サポートを通じて、学習の継続とモチベーション維持を促すことも重要です。
検定取得後の定着支援の推進
ビジネスキャリア検定に合格した人材は、企業の戦力として長期雇用が見込めます。その力を最大限に活かすためには、スキルに応じたキャリアパスの提示や、昇格制度などを通じた職場内での役割の明確化が求められます。
外国人材のモチベーションを高め、長期定着を実現するための職場づくりが、企業競争力の源泉となるでしょう。
外国人材採用にビジネスキャリア検定利用をお考えの企業は明光グローバルにご相談ください
ビジネスキャリア検定を活用した製造業3分野の特定技能2号への移行や、外国人材の戦力化には、的確な教育支援と制度対応が欠かせません。明光グローバルは、豊富な実績と専門性をもとに、企業のこうした課題をトータルで支援しています。最後に、明光グローバルの概要と、提供するサービスを紹介します。
明光グローバルとは
明光グローバルは、外国人材の就労機会の創出と育成を通して、日本企業の持続的な成長をサポートする教育系人材サービスです。
40年以上の個別指導の教育実績、そして10年以上の日本語教育の実績を持つ明光ネットワークジャパングループの知見を活かし、外国人材の育成と企業の人材課題解決に特化したサービスを提供しています。
JCLIや早稲田EDU日本語学校での豊富な教育ノウハウを活かし、特定技能試験対策から業界別の専門教育まで、幅広いニーズに対応しています。外務省からEPA事業を4期連続で受託するなど、高い信頼性と実績を誇ります。
明光グローバルの主要サービス
事業 | サービス |
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教育研修事業 | ・eラーニングによる日本語教育(スマホアプリに対応) ・対面/オンラインによる日本語レッスン ・外国籍人材と日本人に向けた各種研修プログラム ・外国籍人材に向けた各種試験対策講座 |
人材紹介事業 | ・特定技能人材の紹介 ・外国籍エンジニアの人材紹介 ・教育伴走型の登録支援サービス |
特定技能人材やエンジニアの紹介から、外国人社員向けの教育・研修サービスまで、幅広いノウハウを提供しています。単なる日本語教育にとどまらず、企業での実践力を重視した総合的な人材育成を行っています。
オンライン日本語学習ツール「Japany」
「Japany」は、明光キャリアパートナーズが提供している外国人向けオンライン日本語学習ツールです。
Japanyを活用すれば、現場で用いる実践的な日本語や、特定技能試験対策など、合計1,200本以上の豊富な動画教材を活用して学ぶことができます。そのため、外国人社員のさまざまな学習ニーズに応えることができます。
また、パソコンやスマートフォンを使って、スキマ時間に自分のペースで学習できるのも特徴的です。
さらに、管理者機能として、学習進捗を確認できる「レポート機能」や、一定期間ログインがないと通知が届く「アラート機能」を活用することもできます。
Japanyは「IT導入補助金2025」の対象ツールに採択されています。そのため、中小企業や小規模事業者がJapanyを導入する際、IT導入補助金の対象として採択・交付が決定された場合、導入費用の最大50%、150万円までの補助を受けることが可能です。教育コストをかけられない企業の方でも導入しやすいため、お気軽にお問い合わせください。
受講形態 | e-ラーニング |
対象者 | 企業に在籍する外国人籍社員・帰国子女など |
プログラム・コース内容(一例) | ・日本語試験対策(JLPT・JFT Basic) ・せいかつの日本語 ・特定技能試験対策(1号+2号に対応) ・しごとの日本語(ITエンジニア、外食、介護など各業界のビジネス会話に対応) |
受講期間 | コースによって異なる |
料金プラン受講費用 | 初期費用:100,000円 月額費用:1名あたり1,000円~(受講人数に応じて変動) 年間契約費用:1名あたり9,500円~(受講人数に応じて変動) |
※製造分野特定技能2号評価試験対策コンテンツ搭載
Japanyの強み
Japanyの強みは、「実用性の高いオリジナルコンテンツ」「学習の継続を促すシステム」「管理者を支えるサポート機能」の3点です。
実用性の高いオリジナルコンテンツ | 「Japany」には、N5〜N1までを網羅したJLPT対策を始めとする1,200本以上の豊富なレッスン動画コンテンツがあります。資格試験対策だけでなく、業界・業種別の言い回しや日常的な会話能力が身につく動画など、学習者のニーズに合わせてさまざまなコンテンツの動画を視聴できます。 |
学習の継続を促すシステム | 「Japany」には、実力・目標に応じて最適なプランを提案する「コンテンツレコメンド機能」や、力試しとして使える「実力診断テスト」など、外国人材の学習モチベーションを向上するさまざまな機能が搭載されています。 |
管理者を支えるサポート機能 | 学習者の進捗状況を確認できる「レポート機能」や、ログインがない場合に通知が届く「アラート機能」といった管理者機能も充実しています。そのため、人事・教育担当者の方も安心して利用することができます。 |
製造分野 ビジネス・キャリア検定・特定技能2号評価試験合格講座の概要
製造分野 ビジネス・キャリア検定・特定技能2号評価試験合格講座は、高い合格実績を目指すための効果的な学習プログラムです。講座の主な特徴は、次のとおりです。
特徴 | 概要 |
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カリキュラムが充実している | 全33回のカリキュラムで、ビジネス・キャリア検定3級対策と、製造分野特定技能2号評価試験対策(機械金属加工、電気電子機器組立て、金属表面処理の3コース)を網羅しています。 |
専門講師による指導を受けられる | 専門知識を持つ日本語教師がカリキュラムを作成し、基礎から応用まで幅広く指導します。 |
模擬試験を受けられる | 模擬試験を実施することで、時間配分や苦手分野を可視化し、合格率向上を支援します。 |
日本語eラーニングを併用できる | 講座時間外でも、日本語eラーニングシステム「Japany」のアカウントが発行され、質の高い自主学習が可能です。 |
講座は、ビジネス・キャリア検定3級対策講座(全25回、各120分)と、特定技能2号評価試験対策講座(全8回、各120分)で構成され、オンライン形式で実施されます。約8ヶ月間の受講期間で、試験合格に必要な知識と技能を体系的に習得できます。
試験対策でお悩みの企業担当者様は、ぜひ明光グローバルまでお気軽にご相談ください。無料相談も受け付けています。
まとめ
特定技能2号において、ビジネスキャリア検定は製造業3分野に限定して導入されている移行要件の一つです。すべての企業に必要なわけではないものの、対象分野で外国人材の長期雇用を見据える場合には、この制度を正しく理解し、検定取得に向けた準備を進めることが欠かせません。
ビジネスキャリア検定の内容は、単なる知識試験にとどまらず、日本の職場で求められる業務理解や品質管理、安全意識なども評価対象となっています。企業側が主体的にサポート体制を構築し、継続的な学習機会を提供することが、検定合格と人材定着の両立に直結します。
明光グローバルでは、ビジネスキャリア検定への対応に不安がある企業様に対して、検定取得支援はもちろん、制度設計のご相談や導入後の実務フォローまで、実情に即したサポートを提供します。特定技能2号を活用して、外国人材とともに安定した組織づくりを目指したい企業様は、ぜひ明光グローバルまでお気軽にお問い合わせください。