日本は少子高齢化により多くの分野で人手不足に直面しています。「飲食料品製造業」も人手不足が深刻化している分野の一つであり、労働力確保のために特定技能「飲食料品製造業」の外国人材を受け入れる企業が増えています。
今回は、特定技能「飲食料品製造業」の概要や取得要件、対象となる業種・業務、受け入れの流れなどについて解説します。また、特定技能「飲食料品製造業」外国人材を採用する際、当サイト「明光グルーバル」が提供し、受入れ企業の負担軽減に利用できるサービスを紹介します。
特定技能「飲食料品製造業」とは
特定技能は、生産性向上や日本人材の確保に努めてもなお人材を確保することが難しい分野において、一定の専門性と技能を持った外国人材を受け入れる制度です。特定技能「飲食料品製造業」は、酒類を除く飲食料品の製造や加工業務に従事する外国人を受け入れるために創設されました。
項目 | 特定技能1号「飲食料品製造業」 | 特定技能2号「飲食料品製造業」 |
---|---|---|
在留期間 | 通算で最大5年まで | 上限なし |
更新頻度 | 4ヶ月、6ヶ月、1年ごとの更新 | 6ヶ月、1年、3年ごとの更新 |
永住権の取得 | 不可 | 条件を満たせば可能 |
家族の帯同 | 認めない | 要件を満たせば配偶者と子どもの帯同可能 |
支援の有無 | 支援計画書の作成が必要 | 必要なし |
対象業務 | 原材料の処理・加熱・殺菌・乾燥などの製造工程、安全衛生等 | 1号の対象業務に加えて品質やコスト管理、従業員の指導・管理など |
特定技能「飲食料品製造業」には、1号と2号があります。ともに即戦力として雇用できる外国人材ですが、2号は1号より習熟したスキルを持ち、他の従業員の管理・指導も可能です。さらに、2号は1号に認められていない家族の帯同や永住権取得が、要件を満たせば認められています。
ここでは、特定技能「飲食料品製造業」外国人材の受け入れ状況や取得要件、対象の業種・業務を紹介します。
特定技能「飲食料品製造業」外国人材の受け入れ状況

画像引用元:飲食料品製造業における外国人の受け入れについて(農林水産省)
特定技能「飲食料品製造業」の外国人材の受け入れは増加傾向にあります。技能実習2号からの移行と特定技能1号技能測定試験合格者が、ともに増加している状況です。令和6年(2024年)12月末時点で、特定産業分野中最多の74,523人の外国人材が受け入れられています。
特定技能「飲食料品製造業」の受け入れ人数見込み
特定技能制度による外国人材の受け入れが始まった平成31年(2019年)には、5年間の「飲食料品製造業」外国人材の受け入れ数は34,000人と見込まれていました。しかし、コロナ禍の影響による大きな経済情勢の変化を踏まえ、令和4年(2022年)8月に令和5年(2023年)度末までの受け入れ見込み人数が見直され、87,200人と大幅に増加しました。
さらに、令和6年(2024年度)4月から5年間の受け入れ見込み数は、最大で139,000人とされており、今後も特定技能「飲食料品製造業」の外国人材の受け入れが増加すると見込まれています。
参照元:特定技能の受入れ見込数の再設定及び対象分野等の追加の概要(出入国在留管理庁)
特定技能「飲食料品製造業」の取得要件
特定技能「飲食料品製造業」を取得するには、1号と2号でそれぞれ満たさなければならない要件があります。ここでは、それぞれの要件について解説します。
特定技能1号「飲食料品製造業」の取得要件
特定技能1号「飲食料品製造業」の取得要件は次のとおりです。
- 「飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験」に合格すること
- 「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験N4以上」に合格すること
技能実習2号を「飲食料品製造業」分野を良好に修了した者は、技能測定試験および日本語試験免除で特定技能へ移行可能です。なお、技能実習2号を良好に修了するとは、次のことを指します。
- 技能実習計画にしたがって2年10ヶ月以上修了していること
- 技能検定3級もしくはこれに相当する技能実習評価試験の実技試験に合格していること、または実習実施者から出勤状況や技能の習得状況、生活態度などを記載した「評価調書」を取得していること
特定技能2号「飲食料品製造業」の取得要件
特定技能2号「飲食料品製造業」の取得要件は次のとおりです。
- 「飲食料品製造業特定技能2号測定試験」に合格していること
- 飲食料品製造業分野において、複数の従業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者としての実務経験が2年以上あること
特定技能2号「飲食料品製造業」を取得するには、管理的な立場で業務に従事していた経験が求められます。
特定技能「飲食料品製造業」の事業所・業態、業務
特定技能「飲食料品製造業」外国人材は、直接雇用を原則とし、フルタイム(週5日以上かつ年間217日以上、さらに週の労働時間が30時間以上であること)で業務に従事することが求められています。ここでは、特定技能「飲食料品製造業」の対象事業所や業務、業態について解説します。
特定技能「飲食料品製造業」の対応事業所・業態
特定技能「飲食料品製造業」は、次の業務を行っている事業所が対象となります。
- 食料品製造業
- 清涼飲料製造業
- 茶・コーヒー製造業
- 製氷業
- 総合スーパーマーケット
- 食料品スーパーマーケット
- 菓子小売業
- パン小売業
- 豆腐・かまぼこ等加工食品小売業
「1.食料品製造業」の内訳は次のとおりです。
- 畜産食料品製造業
- 水産食料品製造業
- 野菜缶詰・果実缶詰・農産保存食料品製造業
- 調味料製造業
- 糖類製造業
- 精穀・製粉製造業
- パン・菓子製造業
- 動植物油脂製造業
- その他の食料品製造業(でんぷん、めん類、豆腐・油揚げ、あん類、冷凍調理食品、惣菜、すし・弁当・調理パン、レトルト食品等)
菓子、パンの製造と小売を一体的に行っている場合、豆腐・かまぼこ等の加工品食品小売業のうちの製造と小売を一体で行っている場合も対象となります。
総合スーパーマーケットと食料品スーパーマーケットも対象業態ですが、レジ打ちや接客業務など製造に関係ない販売業務は対象外で、バックヤードなどの食料品製造部門のみが対象となっています。
酒類製造業、各種商品小売業、飲食料品小売業、飲食料品卸売業、塩製造業、医療品製造業、香料製造業、ペットフードの製造業は対象外です。
参照元:特定技能飲食料品製造業分野に関するFAQ(農林水産省)
特定技能「飲食料品製造業」の対象業務
酒類を除く飲食料品の製造・加工、安全衛生など飲食料品製造業全般の業務に従事可能です。特定技能「飲食料品製造業」の対象業務は、原材料の処理・調合、製造・加工、品質管理・衛生管理補助に分けられます。主な対象業務は下の表のとおりです。
分類 | 主な業務内容 |
---|---|
原材料の処理・調合 | ・原材料の洗浄や皮むき、切断、計量 ・肉や魚の解体や骨取り ・原材料の仕分けや選別 ・添加物や調味料の計量や投入 ・製造ラインへの材料供給、運搬など |
製造・加工 | ・原材料の加熱や冷却、乾燥、発酵、焼成など ・練り製品の形成 ・パン屋や惣菜、漬物などの加工品製造 ・製品の包装、ラベリング作業 ・製品の仕上がりチェックなど |
品質管理・衛生管理補助 | ・製品の外観チェック ・清掃や消毒 ・作業員の衛生チェック ・作業場の温度や湿度チェック ・製造機械や器具の洗浄や殺菌 ・品質管理表の記録や入力補助など |
参照元:飲食料品製造業における外国人の受入れについて(農林水産省)
日本人が通常従事している関連業務に付随的に従事可能です。原料の調達や受入れ、製品の納品、清掃、事務所の管理作業などが関連業務に該当します。
特定技能「飲食料品製造業」の受け入れ要件
特定技能「飲食料品製造業」の外国人材を受け入れる企業には、満たすべき要件が4つあります。ここでは、それぞれの要件について解説します。
- 食品産業特定技能協議会の構成員になること
- 食品産業特定技能協議会に協力すること
- 農林水産省などが行う調査に協力すること
- 支援計画の実施は適正な登録支援機関へ委託すること
食品産業特定技能協議会の構成員になること
特定技能「飲食料品製造業」の外国人材を受け入れる企業は、食品産業特定技能協議会の構成員にならなければなりません。
食品産業特定技能協議会とは、制度のルール遵守のために情報を共有し、外国人が安心して働けるようにサポート体制を整えるために作られた組織です。農林水産省や受入れ企業、登録支援機関、業界団体、学識経験者、関係省庁で構成されています。
食品産業特定技能協議会に協力すること
受入れ企業は、食品産業特定協議会が実施する調査や情報共有、報告要請などに対して、必要な協力をしなければなりません。これは、外国人材をスムーズかつ適正な受け入れを推進するために必要な協力です。
農林水産省などが行う調査に協力すること
受入れ企業は、農林水産省またはその委託を受けた者が実施する実態調査や現地確認などに対して、必要な情報を提供したり、調査に積極的に応じたりするなど必要な協力をしなければなりません。これは、制度の適正な運用や外国人材の就労環境の把握や改善のために必要な協力です。
支援計画の実施は適正な登録支援機関へ委託すること
受入れ企業が1号特定技能外国人の支援計画の実施を登録支援機関に委託する場合、その支援機関は食品産業特定技能協議会の構成員であり、農林水産省および協議会に対して必要な協力を行う機関でなければなりません。これは制度の透明性と適正な外国人支援を実施
するために必要なことです。
特定技能「飲食料品製造業」の外国人材を採用する際の注意点
特定技能「飲食料品製造業」の外国人材を採用する際には、注意すべきポイントがあります。ここでは、主な注意点を4つ解説します。
- 言語や文化、宗教の違いが原因でトラブルが発生しやすい
- 業務内容が特定技能「飲食料品製造業」の対象であるか確認する
- 日本人と同等以上の待遇を保証する
- 外国人の在留資格を確認する
- 支援計画を実施できる体制を整備する
言語や文化の違いが原因でトラブルが発生しやすい
外国人材は、日本語がよく理解できないため職場内で孤立してしまったり、宗教的理由での食事への配慮が足りなかったりすることがあります。
トラブルを避けるには、次のような環境作りが重要です。
- わかりやすい日本語で説明する
- 通訳を用意する
- 宗教や習慣へ配慮する
- 相談窓口を設ける
- 日本人従業員に向けて研修会を開催する
業務内容が特定技能「飲食料品製造業」の対象であるか確認する
外国人材に担当してもらう予定の業務が、特定技能「飲食料品製造業」の対象業務であるか確認しなければなりません。認められていない業務に従事させてしまうと、不法就労助長罪で、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、場合によってはその両方が科される可能性があります。
特定技能「飲食料品製造業」に認められている業務範囲を正確に把握し、適切な業務に従事させる必要があります。
日本人と同等以上の待遇を保証する
特定技能「飲食料品製造業」の外国人材には、日本人と同等以上の報酬や労働条件を保証することが義務付けられています。違反すると労働基準法違反として、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があるため、注意しましょう。
外国人の在留資格を確認する
外国人採用候補者が、特定技能「飲食料品製造業」の在留資格をすでに取得しているか、もしくはこれから取得する見込みがあるかどうか確認しなければなりません。
これから取得する見込みがある場合は、特定技能評価試験に合格していること、もしくは技能実習2号を良好に修了していることを確認してから採用するようにしましょう。
支援計画を実施できる体制を整備する
特定技能1号「飲食料品製造業」の外国人材に対しては、支援計画を実施する義務があります。そのため、支援計画を実施できる体制を整備しなければなりません。
支援計画の不履行は、受入れ機関(受入れ企業)の認定取り消しや、一定期間外国人材の受け入れ停止などの処分が科せられる可能性があります。自社で対応困難な場合は、登録支援機関への委託し、サポートしてもらうことが可能です。
特定技能「飲食料品製造業」の外国人材を受け入れるメリット
特定技能「飲食料品製造業」の外国人材を受け入れることには、次のようなメリットがあります。
- 即戦力による人手不足を解消できる
- 幅広い業務に従事できる人材を確保できる
- 継続的な雇用が可能
即戦力による人手不足を解消できる
特定技能「飲食料品製造業」の外国人材は、一定以上の専門知識と技能を持ち合わせているため、フルタイムで即戦力として雇用し人手不足解消につながります。
さらに特定技能「飲食料品製造業」は、受け入れ人数に上限がないため、企業のニーズを満たす外国人材を雇用可能です。
幅広い業務に従事できる人材を確保できる
特定技能「飲食料品製造業」は、原料の受け入れや製品の納品、事務作業の管理など幅広い業務に従事することが認められています。そのため、一人の外国人材に複数の業務を任せることができ、生産性の向上や業務の効率化につながります。
継続的な雇用が可能
特定技能2号「飲食料品製造業」の在留資格には更新制限がないため、長期的な雇用が可能です。そのため、計画的な人材育成や業務分担がしやすくなります。
また、一人の外国人材を長期間継続的に雇用できれば、新たな人材を雇用する必要がなくなり採用コストが抑えられ、安定した経営につながります。
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明光グローバルの主要サービス
事業 | サービス |
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教育研修事業 | ・eラーニングによる日本語教育(スマホアプリに対応) ・対面/オンラインによる日本語レッスン ・外国籍人材と日本人に向けた各種研修プログラム ・外国籍人材に向けた各種試験対策講座 |
人材紹介事業 | ・特定技能人材の紹介 ・外国籍エンジニアの人材紹介 ・教育伴走型の登録支援サービス |
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内容 |
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まとめ
特定技能「飲食料品製造業」は、人手不足解消のため即戦力として外国人材を受け入れ、経営の安定を目指す企業にとって有効な制度です。しかし、企業が満たすべき要件やさまざまな注意点があるため、自社だけで対応するのが難しい企業も少なくありません。
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