聞き取り
まず、会話において重要なのが「聞き取り」です。相手の言っていることが理解できなければ、それに対して応答することもできません。この聞き取りにはいくつか種類があります。
必要な部分を聞き取る
天気予報で特定の場所の天気を聞き取る、駅のアナウンスを聞いて電車の目的地や発車時刻を聞き取る。
全体を聞いて大意や要点を理解する
セミナーを聞いてその全体的な内容を理解する、料理番組を見てその料理の作り方を大まかに理解する。
口調や内容から相手の感情、要望を理解する
会話をしている相手の感情を理解する、相手が自分に何をして欲しいのかを理解する。
このように、どんな情報を得たいかによって聞き方が異なります。日本語学習においては、聴解練習や会話練習を通して、これらの聞き取り能力の向上を目指します。
では、聞き取りの学習を進める上で、どのようなことがハードルとなるのでしょうか。
ハードル①自然なスピードの日本語が聞き取れない
やはり母語話者が話すようなナチュラルなスピードにはついていくのが難しいようです。継続的な聞き取り練習が必要な一方で、特にまだ日本語母語話者の話す速さに慣れていないうちは、話す側もスピードを落とす、重要な部分をはっきり言うなどの配慮をすると良いですね。
ハードル②一文が長いと内容を覚えておくのが難しい
ただでさえ日本語を理解しながら聞くのが大変なのに、一文が長いと途中で集中力が切れてしまいます。特に、聞き取りに慣れていない人は一文の長い発話を聞き取るのは難しいでしょう。話す側は、なるべく一文を短くシンプルに話すようにしましょう。
ハードル③発音が似ている語彙の区別がつかない
「びょういん(病院)」と「びよういん(美容院)」、「ビル」と「ビール」のように、似ている語彙を聞き分けられず、全体の理解に影響を及ぼすこともあります。会話に慣れてくれば文脈や状況から判断できるようになりますが、そうでない場合、「先月美容院行ったんだけど、また行こうかな」「え、そんなに体調が悪いんですか?」のようなミスコミュニケーションが発生するケースもあります。話す側も、自分の発音が曖昧になっていないか、気をつけたいですね。
発話
誰かと会話をしたり、人前でプレゼンやスピーチをするのには「発話」の能力が必要です。 発話能力も、いくつかの要素で構成されています。
語彙、文法
発話をする際には、学んだ語彙や文法の知識を使って話します。初級(JLPT-N4程度)の知識があれば、日常生活の基本的な会話はできるようになります。一方で、特別な表現や専門用語が必要な場面では、その知識がなければ話すことができません。
話の組み立て
どうやって話を始めるか、どのような順序で話すか、という話の組み立ても重要です。これが適切でないと、何を言いたいのかがよく伝わらない可能性があります。
発音
単語の発音に加えてアクセントやイントネーションなど、言いたいことを伝えるためには発音も重要です。アナウンサーのように正確な発音を目指す必要はありませんが、意思疎通を阻むような発音の問題は避けなければなりません。
では、発話を学習する上では、どのようなハードルがあるのでしょうか。
ハードル①正しい文法で話すのは難しい
文法の知識があることと、それを正しく使えることは別の問題です。ルールを知っていても、いざ話すと間違えてしまうことがあります。「日本語が勉強しています」「本を読みています」のように、助詞や動詞の活用の間違いは特に目立ちやすいミスです。
ハードル②発音が上手くできない、流暢に話せない
「だいがく→だいがっく」「スーパー→スパ」など、発音の問題により相手に意図が伝わらないことも少なくありません。また、スムーズに話せないことで、周囲のナチュラルなスピードの会話についていけない場合もあります。
ハードル③相手によって語彙や表現を変えるのが難しい
目上の人に対して友達のように話してしまったり、友達に敬語を使ってしまったりと、相手にふさわしい表現を選んで話すのはとても難しいことです。中でも、敬語は尊敬語、謙譲語、丁寧語と種類が多く、それらを混同して「お名前は何と申しますか。」のように言ってしまうこともあります。
まとめ
いかがでしたか。日本語を学習する上で、会話にも様々なハードルがあるようです。
受け入れる側としては、「ゆっくり、はっきりと話す」「ミスを寛容に受け止める」などの配慮を心がけたいところですが、一方で、外国人人材はより円滑なコミュニケーションを目指し、周囲からの信頼を得るためにも会話力向上を目指すことが求められます。
外国人人材が豊かな会話力を身につけるためにも、継続的に学び、向上できるようサポートしていきたいですね。
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