特定技能人材に対して特定技能2号の取得サポートを行いたいけれど、取得要件や申し込み方法の確認を含む複雑な手続きが多く、困難に感じている方も多いのではないでしょうか?
外国人材を雇用している企業にとって、製造業分野の特定技能2号の取得をサポートする場合、「取得要件の確認」「申し込み方法の把握」など、多くの手続きがあるため、難しく感じられていることでしょう。複雑に見える取得までの手続きですが、適切な手順を踏めば、スムーズに取得できるよう支援することは可能です。
今回は、受験資格や申込方法、試験内容など企業として把握しておくべき事項を詳しく解説します。最後までお読みいただければ、製造業分野の特定技能2号取得までのプロセスが明確になるでしょう。
特定技能2号の分野別の取得要件
製造業を含む特定技能2号の取得要件は、2つの条件をクリアすることです。
- 「特定技能2号評価試験」及び「ビジネス・キャリア検定3級」または「技能検定1級」に合格する
- 一定期間、実務経験を積む(一部業種では管理業務を行う)
分野 | 技能試験 | 実務経験 |
---|---|---|
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 | 「製造分野特定技能2号評価試験」及び「ビジネス・キャリア検定3級」または「技能検定1級」 | 日本国内に拠点を持つ企業の製造業の現場における実務経験3年以上 |
参照元
分野別の技能試験や実務経験の詳細については、出入国在留管理庁「特定技能制度」にてご確認ください。
また、製造業分野については、新たに業種・業務区分が追加されることが閣議決定されました。現在の3区分から全10区分に増加するため、今後の開始時期等については経済産業省のホームページで確認しましょう。
製造分野特定技能2号評価試験の概要
続いて、製造業分野における特定技能2号評価試験の概要について解説します。
試験概要
製造業分野における特定技能2号試験の内容をまとめると下記の表のようになります。
項目 | 内容 |
---|---|
試験方式 | コンピュータ・ベースド・テスティング(CBT)方式 ※試験言語は日本語 |
問題数 | 20問 |
試験時間 | 60分 |
合格基準 | 正答率60%以上 |
受験資格 | 日本国内に拠点を持つ企業の製造業の現場における3年以上の実務経験 |
年齢要件 | 試験日当日に満17歳以上であること ただし、必要な実務経験を積んでいることが前提 |
必要書類 | 実務経験証明書(試験前日までに提出) |
技能レベル | 熟練した技能が必要(1号より高い技術を要する) |
日本語能力 | 一定の日本語能力を有していること(具体的な試験は不要) |
試験内容 | 熟練した技能の評価(自らの判断により高度に専門的・技術的な業務を遂行できる、または監督者として業務を統括しつつ熟練した技能で業務を遂行できる水準) |
試験区分 | 1. 機械金属加工区分 2. 電気電子機器組立て区分 3. 金属表面処理区分 |
受験回数 | 制限なし |
特定技能2号試験は、製造業分野における高度な技能と知識を評価するために設計されており、特定技能1号よりも難易度が高いです。しかし、合格できれば、製造業における熟練技能者として認められることになります。
参照:
日本語能力の要件
特定技能2号取得にあたって、日本語能力を問う試験に合格する必要はありません。ただし、特定技能2号評価試験の問題に解答するには、日本語の文を読んで正しく理解すること必要であり、製造業で使われる専門用語の習得が不可欠です。
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製造業分野における特定技能2号試験の準備から申込みまでの概要
製造業分野における特定技能2号試験を受験するためには、適切な準備と申込み手続きが必要です。ここでは、必要書類から申込みの手順まで解説します。
必要書類
製造業分野の特定技能2号試験の申込みには、次の書類が必要です。※参照7
- 受験申込書(オンラインで申し込み)
- 顔写真
- 実務経験証明書
- パスポート及び在留カード(コピーは不可)
実務経験証明書は、3年以上の実務経験を証明する重要な書類です。所定のフォーマットを使用し、現在または過去の雇用主に記入してもらう必要があります。
試験にかかる料金
製造業分野の特定技能2号試験の受験料は、15,000円(税込)です。支払い方法は、「特定技能外国人材制度(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野)ポータルサイト」からオンラインで支払います。
また、クレジットカードまたはコンビニ決済から選択できます。一度支払った受験料は、試験を欠席した場合や不合格になった場合でも返金されないため注意が必要です。
申込みの手順と注意点
製造業分野の特定技能2号試験の申込み手順は次のとおりです。
- 「特定技能外国人材制度(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野)ポータルサイト」にアクセスする
- オンラインで受験申込書に必要事項を入力する
- 必要書類(実務経験証明書、パスポートまたは在留カード、顔写真など)をアップロードする
- 受験料15,000円をオンラインで支払う
- 申込み完了後、マイページを作成する
実務経験証明書の準備には時間がかかる場合があるため注意が必要です。
申込みの際は、次の点に注意してください。
- 団体での受付は行われていない
- 電話・郵送・メールでの受付は行われていない
- 実務経験証明書の記載内容に不備があると申請が無効になる可能性がある
- 顔写真は指定された条件(サイズ、背景色など)を満たす必要がある
- 試験当日は、マイページで受験票のダウンロードし印刷して持参する
- 申し込み期間や試験日程は変更される可能性がある
申し込みに関しては、「特定技能外国人材制度(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野)ポータルサイト」にて、随時確認してください。
特定技能2号試験の内容と合格するためのポイント
特定技能2号試験は、製造業分野における高度な技能と知識を評価する重要な試験です。ここでは、試験の全体像と合格するためのポイントについて解説します。
試験の全体像と評価のポイント
製造分野特定技能2号評価試験では、実技試験と筆記試験の両方が含まれます。
- 実技試験:実際の業務に関連する作業について問う試験
- 筆記試験:業務に必要な知識を問う試験
また、次の3つの区分(職種・作業)に分かれて実施されます。
区分 | 該当職種・作業 |
---|---|
機械金属加工区分 | 鋳造、鍛造、ダイカスト、機械加工、金属プレス加工、鉄工、工場板金、仕上げ、プラスチック成形、機械検査、機械保全、電気機器組立て、塗装、溶接、工業包装 |
電気電子機器組立て区分 | 機械加工、仕上げ、プラスチック成形、プリント配線板製造、電子機器組立て、電気機器組立て、機械検査、機械保全、工業包装 |
金属表面処理区分 | めっき、アルミニウム陽極酸化処理 |
一般的な試験の評価ポイントは次のとおりです。
- 専門的な技術や知識を持っているか
- 管理・監督者として業務を遂行できる水準にあるか
- 安全管理や品質管理に関する知識を有しているか
単に技術的スキルを評価されるわけではなく、実務経験に基づく判断力や管理能力も含めた総合的な熟練度が評価されることがわかります。
製造業ならではの問題
製造業分野の特定技能2号試験では、次のような製造業特有の問題が出題されます。
- 受験する製造業の基礎知識
- 安全衛生管理
- 品質管理
- 生産管理
- 機械や設備の保守点検・操作方法
- 製造プロセスへの理解
- マネジメントスキル(運営管理)
単に製造に関するスキルや知識があるだけではなく、安全衛生や品質管理など、担当業務以外も幅広く理解を深めることが重要だといえるでしょう。
特定技能2号試験の合格率を知る
製造業分野における特定技能2号試験の直近3回分の合格率は次のとおりです。
機械金属加工区分
機械金属加工区分は、3区分の中でも受験者数が多いです。また、高い合格率を維持していましたが、最近の試験では徐々に低下傾向にあることが見てとれます。
実施国:日本
実施月 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
---|---|---|---|
2024年2月 | 143 | 67 | 46.9 |
2024年1月 | 152 | 79 | 52.0 |
2023年11月 | 228 | 150 | 65.8 |
技能試験の合格に必要な学習
特定技能2号試験の技能試験は、実際に実技の試験を行うわけではありません。現場で行われている作業に関連した問題が出題されます。技能試験の主なコツをまとめると次のとおりです。
- 実践的な知識を学ばせる:現場での経験を踏まえ、実践的な視点から問題を考えさせることが重要です。たとえば、上司や先輩による指導の機会を増やし、判断を求められるような場面に立ち会わせ、現場で実際に行っている対処方法を学ばせるのも良いでしょう。
- 専門用語や技術に関する用語を学ばせる:特に専門用語は、母国語に翻訳できないケースがあります。実際の物や技術を見せながら、日本語で用語の意味を理解させましょう。
以上の点を考慮して、過去問題や模擬試験を繰り返し練習できる環境を準備します。また、筆記試験・技能試験に関わらず、試験の時間配分も意識させながら学習させるのがポイントです。
日本語試験対策と業界用語を効率よく覚えるコツ
製造業分野の特定技能2号試験では、日本語能力試験の受験は不要ですが、高度な日本語能力が求められます。特に、業界特有の用語や表現を理解することが重要です。
以下では、外国人材の日本語学習を効果的にサポートするコツを紹介します。
- 専門用語をリスト化する:日々の業務で使用する専門用語をリスト化し、社内共通の用語集を作成する
- 質問しやすい環境を作る:外国人材が質問しやすい環境を日本人社員が率先して整備する。
- 学習計画表を作成する:外国人材の学習進捗を定期的にチェックし、必要に応じて個別指導やサポートを実施する
重要なことは、効率的に業界用語や知識を習得する機会を作り、高度な日本語能力を身につけさせることです。
電気電子機器組立て区分
電気電子機器組立て区分は、機械金属加工区分と比べて受験者数は大幅に少ないですが、合格率は横ばいが続いています。
実施国:日本
実施月 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
---|---|---|---|
2024年2月 | 23 | 8 | 34.8 |
2024年1月 | 37 | 13 | 35.1 |
2023年11月 | 25 | 7 | 28.0 |
金属表面処理区分
金属表面処理区分、受験者数は一桁台が続いており、合格者もほとんど出ていません。3区分の中でも難易度が最も高いとされているのも、影響しています。
実施国:日本
実施月 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
---|---|---|---|
2024年2月 | 4 | 1 | 25.0 |
2024年1月 | 4 | 0 | 0 |
2023年11月 | 8 | 0 | 0 |
参照元:製造分野特定技能2号評価試験 試験結果(特定技能外国人制度)
以上のデータから、機械金属加工区分が受験者数・合格率ともに高い傾向は今後も続く可能性が高いと考えられます。
特定技能2号に関するよくある質問と回答
続いて、特定技能2号に関してよくある質問と回答をQ&A形式で紹介します。
特定技能1号を経ずに特定技能2号になれますか?
はい、特定技能1号を経ずに直接特定技能2号になることは可能です。ただし、特定技能2号試験に合格し、必要な実務経験を有することが条件となります。製造業分野の場合、日本国内の製造業の現場で3年以上の実務経験が必要です。
特定技能1号と特定技能2号の違いは何ですか?
在留期間に違いがあります。特定技能2号は上限がありませんが、特定技能1号は通算で5年までという上限があります。他にも、永住権や取得方法にも違いがあるので、詳しくはこちらの「特定技能外国人材制度」よりご確認ください。
特定技能2号の滞在可能期間に上限はありますか?
特定技能2号の滞在可能期間には上限がありません。滞在期間は3年、1年、または6ヶ月ごとに更新でき、更新回数にも制限はありません。
特定技能2号で家族の帯同は可能ですか?
はい、特定技能2号では条件を満たせば家族の帯同が可能です。帯同できる家族は配偶者(妻・夫)と子供です。家族帯同の主な条件は、婚姻関係を証明できること、家族を養える経済力(収入など)があることです。
特定技能2号で永住権を取得するための条件は何ですか?
特定技能2号から永住権を取得するための主な条件は、日本に10年以上継続して在留していること、素行が善良であること、独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること、日本国の利益に合致することとされています。
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明光キャリアパートナーズの企業理念として、個人のキャリアと企業からの人材ニーズをマッチさせ、日本企業と世界企業の発展に貢献することを目指しています。
Japanyとは
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Japanyの強み
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- 明光オリジナルコンテンツ
- 学習の継続を促すシステム
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- Lesson「職場で話せる」:日本語講師と直接会話できる(e-learningデータから受講者に応じてコースを提供)
- Test「効果が見える」:現状の日本語能力を可視化する(目標までの進捗を確認する)
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- 現状の日本語能力を見える化する
- 長期的な目標を設定する
- 短期的な目標設定・学習計画の作成を行う
- 知識をインプットする
- 学んだ知識をアウトプットする
- 繰り返し実践して定着させる
3~6を繰り返すことで、現場で使えるリアルな日本語の習得が可能となるでしょう。
“教育のプロ”の視点で導入をサポート
Japanyは、教育のプロの視点から企業それぞれにマッチしたサービスの導入をサポートしてくれます。
これまでにも日本語教育プログラムはありましたが、多くのサービスが導入しても使ってもらえないという現状がありました。しかし、Japanyでは学習者の受講状況を管理者が把握することで、定期的なフォローアップが可能となっています。
また、特定技能2号に関する知識や製造業特有の専門用語など、各企業の実情に応じてカリキュラムをカスタマイズできることも大きな魅力です。
まとめ
製造業分野における特定技能2号試験について、企業の視点から詳しく解説しました。
外国人材の特定技能2号取得をサポートする際は、今回解説したポイントを踏まえて効果的な支援体制を整えるようにしてください。
なお、従業員の日本語学習を効率的にサポートするには、明光グローバルが提供するオンライン日本語学習サービス「Japany(ジャパニー)」の導入がおすすめです。明光オリジナルコンテンツと継続的な学習支援システムにより、製造業特有の専門用語や高度な日本語能力を効率的に習得させることができるでしょう。少しでもご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。