登録支援機関の支援内容は、受け入れ企業の事務負担を軽減する「企業への支援」と、日本での生活を支える「外国人材への支援」の2つに分かれます。
特定技能制度で外国人材を雇用する場合、企業には法律で定められた義務的支援が課せられます。しかし、「何から手をつければ良いかわからない」「支援にまで手が回らない」とお悩みの担当者も多いのではないでしょうか?
今回は、登録支援機関の基本的な役割から、支援内容、委託するメリットなどを解説します。外国人材の受入れを成功させたい企業様は、ぜひ最後までご覧ください。
登録支援機関とは
特定技能外国人材を受け入れる際、必ず耳にするのが「登録支援機関」です。登録支援機関は、法律で定められた外国人材への支援を、受け入れ企業に代わって行ってくれます。
外国人材への支援体制を整えるのが難しい企業にとって、登録支援機関の役割や委託の仕組みを理解することは、自社を守ることにもつながるでしょう。ここでは、登録支援機関の基本から、企業が知っておくべき重要なルールまでをわかりやすく解説します。
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登録支援機関の概要
登録支援機関とは、特定技能1号で働く外国人材の仕事や生活をサポートする、出入国在留管理庁に登録された専門機関です。受け入れ企業(特定技能所属機関)が本来行うべき支援業務を代行してくれます。
2025年6月時点で、全国に1万を超える機関が登録されており、多くの企業が活用しています。登録支援機関の主な概要は次のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
登録できる団体・個人 | ・行政書士、社会保険労務士 ・業界団体、民間法人 など |
登録支援機関の主な特徴 | ・専門的な知識とノウハウを持っている ・多言語で対応できる体制が整っている ・国の厳格な審査をクリアしている |
登録支援機関は、法令を遵守した受入れと、外国人材の安定した就労を支える、受け入れ企業にとって頼りになる存在です。
登録支援機関の役割
登録支援機関の最も重要な役割は、受け入れ企業(特定技能所属機関)からの委託を受け、「1号特定技能外国人支援計画」の作成と実施を責任を持って代行することです。登録支援機関の役割としては、次のようなものがあります。
役割 | 概要 |
---|---|
支援計画の作成・実施 | 外国人材一人ひとりに合わせた支援計画を立案し、実行する。 |
生活全般のサポート | 住居確保、各種契約、定期面談など、日本で生活するためのサポートをする。 |
行政への報告 | 四半期に一度、支援の実施状況を出入国在留管理庁へ報告する義務がある。 |
アドバイザーとしての役割もありますが、計画に沿って支援を進める担当者として、企業の法令遵守に貢献し、外国人材の安定した生活を支える重要な役割を担っています。
登録支援機関へ委託する仕組み
受け入れ企業が登録支援機関へ支援を委託する場合、一般的に次の流れで進めます。
- 登録支援機関を選ぶ:出入国在留管理庁のウェブサイトで公表されているリストから、自社のニーズに合う登録支援機関を選ぶ。
- 契約を締結する:支援内容や費用について双方で合意した上で、「支援委託契約」を正式に締結する。
- 支援計画を作成する:受け入れ企業と登録支援機関が連携し、外国人材一人ひとりに対する「1号特定技能外国人支援計画書」を作成する。
- 在留資格を申請する:作成した計画書や契約書は、外国人材の在留資格申請時に必要な書類として出入国在留管理局へ提出する。
- 支援を実施する:在留資格が許可された後、計画に沿って登録支援機関が支援業務を開始する。
受け入れ企業と登録支援機関が連携しながら、支援計画を進めることで、よりスムーズな外国人材の受け入れが可能になるでしょう。
登録支援機関になるには出入国在留管理庁への登録が必要
登録支援機関として活動するには、国の厳格な審査をクリアした上で、登録申請を行います。支援の質を担保し、外国人材の権利を保護するための重要な制度で、登録機関は5年で更新が必要になります。登録支援機関として登録するための主な要件は次のとおりです。
- 支援責任者及び1名以上の支援担当者を選任していること
- 以下のいずれかに該当すること
・登録支援機関になろうとする個人又は団体が、2年以内に中長期在留者(就労資格に限る。)の受入れ実績があること
・登録支援機関になろうとする個人又は団体が、2年以内に報酬を得る目的で、業として、外国人に関する各種相談業務に従事した経験を有すること
・選出された支援責任者及び支援担当者が、過去5年間に2年以上中長期在留者(就労資格に限る。)の生活相談業務に従事した経験を有すること
・上記のほか、登録支援機関になろうとする個人又は団体が、これらと同程度に支援業務を適正に実施できると認められていること
- 外国人が十分理解できる言語で情報提供等の支援を実施することができる体制を有していること
- 1年以内に責めに帰すべき事由により特定技能外国人又は技能実習生の行方不明者を発生させていないこと
- 支援の費用を直接又は間接的に外国人本人に負担させないこと
- 5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為を行っていないこと
これらの厳しい基準を満たした機関のみ登録が許可されるため、受け入れ企業は安心して支援を委託できる仕組みになっています。
委託された支援業務の再委託は禁止されている
登録支援機関が、受け入れ企業から委託された支援業務を、さらに別の業者へ丸投げ(再委託)することは法律で固く禁止されています。なぜなら、支援の責任の所在を明確することで、支援の質が低下することを防ぐためです。
登録支援機関は、国の審査を経て支援業務を行う許可をもらっているため、委託されたすべての支援を自らの責任において最後まで遂行することが求められます。
登録支援機関がルールに違反し、下請け業者へ再委託した場合、登録取消しの対象となる可能性があるので注意してください。ただし、支援業務を行う上で、通訳者を「履行補助者」として活用するなど、業務の一部を補助してもらうことは認められています。
登録支援機関が行う支援内容
登録支援機関が行う支援は、複雑な手続きなどを代行する「受け入れ企業に対する支援」と、外国人材が日本で安心して生活・就労できるよう直接サポートする「外国人材本人に対する支援」の2つに分かれます。企業と外国人材の双方を支えることで、的確な受け入れと支援が行えるでしょう。ここからは、受け入れ企業・外国人材の支援について詳しく解説します。
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受け入れ企業に対して実施する支援内容
登録支援機関は、専門知識が求められる各種手続きを代行し、受け入れ企業の事務的な負担を大幅に軽減してくれます。初めて外国人材を採用する企業や、日々の業務で手一杯の担当者にとっては、頼りになる存在といえるでしょう。
主な支援は、在留資格申請の代行と、特定技能1号で必須となる支援計画書の作成サポートです。
各種申請手続きの代行
登録支援機関は、外国人材の受入れ時の、出入国在留管理局への複雑な申請手続きをサポートしてくれます。法律や制度の変更にも迅速に対応し、企業に代わり申請の取次を行ってくれるため、申請の不備による手戻りや時間のロスを防ぐことが可能です。ただし申請書類の作成代行については、行政書士の独占業務であるため注意が必要です。
主な申請手続きには次のようなものがあります。
- 海外から呼び寄せる場合は「在留資格認定証明書交付申請」
- 国内にいる留学生などを採用する場合は「在留資格変更許可申請」
- 在留期間を延長するためには「在留期間更新許可申請」
申請には多くの添付書類が必要となりますが、登録支援機関に依頼することで、何を用意すべきか迷うことなく、スムーズに手続きを進められるでしょう。
支援計画書の作成支援(特定技能1号のみ)
特定技能1号の外国人材一人ひとりに対しては、法律で作成が義務付けられている「1号特定技能外国人支援計画書」が必須です。支援計画書は、住居確保から相談対応まで、日本での安定した活動を支える具体的なサポート内容を定めた重要な書類になります。
登録支援機関は専門的な知見を活かし、計画書作成を次のようにサポートしてくれます。
- 法令を遵守した計画を立案してくれる:法律で定められた10項目の義務的支援などを中心に、最適な計画を立案してくれる
- 実効性のある計画を提案してくれる:受け入れ企業の状況に合わせ、具体的で実行可能な支援内容を提案してくれる
- 外国人材への丁寧な説明をしてくれる:外国人材本人が理解できる言語で計画内容を説明し、納得してもらえるサポートを行ってくれる
専門家の支援を受けることで、企業は法令違反のリスクを心配することなく、安心して受け入れを進められます。
外国人材に対して実施する支援内容
外国人材が日本での仕事や生活に適応できるよう、さまざまなサポートを提供してくれるのが登録支援機関です。支援内容には、法律で定められた「義務的支援」と、法律上義務ではない「任意的支援」があります。
特に義務的支援は、来日前の準備から帰国時のサポートまでを一貫して行うこととされており、外国人材が安心して日本で働くために重要です。支援を通じて、言語や文化の違いから生じる不安を解消し、早期離職の防止と長期的な定着を目指します。
義務的支援10項目
義務的支援とは、すべての1号特定技能外国人に対して実施が義務付けられている10項目にわたる支援のことを指します。この支援により、日本での生活基盤を整え、社会的な孤立を防ぐことに役立っています。義務的支援10項目は次のとおりです。
- 事前ガイダンスの実施:来日前に労働条件や日本のルール、入国手続き、費用などをオンライン等で説明する。
- 出入国送迎の支援:入国時は空港から住居へ、帰国時は空港の保安検査場まで送迎・同行する。
- 住宅確保のサポート、生活に必要な契約支援:アパートの連帯保証人になったり、銀行口座開設や各種ライフラインなどの契約を補助したりする。
- 生活オリエンテーションの実施:日本の交通ルールや生活マナー、ゴミ出し、災害時の対応などを説明する。
- 公的手続きなどへの同行:役所などでの住民登録や社会保障・税金に関する手続きに同行する。
- 日本語学習機会の提供を支援:日本語教室の情報提供や、学習教材の案内などを行う。
- 相談・苦情対応:仕事や生活の悩みを母国語で相談できる体制を整備する。
- 日本人との交流促進:地域のお祭りやイベントへの参加を促し、地域社会との接点を作る。
- 転職支援:特定技能所属機関側の都合による解雇などの場合に、次の職場探しや推薦状の作成、求職活動を行うための有給休暇の付与や必要な行政手続の情報の提供を支援する。
- 定期的な面談・行政機関への通報:定期的(3ヶ月に1回以上)に面談を実施して状況を確認し、必要に応じて行政機関に通報する。
このように、義務的支援は来日から日々の生活、万が一の転職まで、外国人材が日本で安定して活動するためのセーフティーネットとして機能します。
任意的支援
任意的支援とは、法律上の義務ではありませんが、外国人材の満足度を高め、より良い関係を築くために登録支援機関が独自に提供するプラスアルファの支援です。義務的支援を補完し、さらに一歩踏み込んだ支援を行うことで、外国人材がより安心して日本での生活を送れるようになります。
代表的な任意的支援には、次のようなものがあります。
- 事前ガイダンスの補足情報と相談・貸付
- 国内移動時の送迎支援(在留資格変更者向け)
- 雇用契約解除・終了後の住居確保の支援
- 生活関連の契約変更・解約時の支援
- 積極的な日本語学習支援と費用補助
- 相談・苦情対応の利便性向上と労災関連支援
- 交流行事参加への配慮と交流機会の創出
- 行政機関への通報促進のための情報提供
任意的支援は外国人材のエンゲージメント(貢献意欲)を高め、長期的な日本への定着を後押しする効果的な取り組みといえるでしょう。ただし、任意的支援については、どこまで支援を依頼できるのかは登録支援機関ごとに異なるため、希望する支援を依頼できる登録支援機関を選択することが重要です。
登録支援機関に支援を依頼するメリット
特定技能外国人材の受入れにおいて、多くの企業が登録支援機関に支援を委託しています。月々の費用はかかりますが、コスト以上にメリットが大きいからです。
専門家に支援を任せることで、受け入れ企業の負担が軽減されたり、コンプライアンスの遵守や外国人材の定着率向上にもつながったりもします。ここでは、登録支援機関を活用する4つのメリットを詳しく解説します。
- 受け入れ企業が本来の業務に集中できる
- 支援にかかる時間や労力を削減できる
- 専門的な知識やノウハウを活用できる
- 外国人材の定着率アップやトラブル防止につながる
受け入れ企業が本来の業務に集中できる
受け入れ企業が本来のコア業務に集中できることが、特定支援機関に支援を依頼するメリットの一つです。なぜなら、特定技能外国人材の受入れには、様々な専門的な支援業務が伴うからです。
登録支援企業に依頼できる業務には、次のようなものがあります。
業務 | 内容 |
---|---|
煩雑な事務や手続きの業務 | ・在留資格の申請手続き ・個別の支援計画書の作成 ・行政への定期的な報告 |
継続的なサポート業務 | ・生活オリエンテーションの実施 ・定期的な面談と記録作成 ・日々の相談対応やトラブル対応 |
これらの業務を自社で対応すると、人事担当者や現場管理者の時間が大幅に割かれ、本来の業務に支障がきたす場合があります。専門的な支援業務を登録支援機関に任せることで、社内の貴重なリソースを、事業成長や生産性向上などの本質的な業務に振り向けることが可能です。
支援にかかる時間や労力を削減できる
登録支援機関への委託は、支援にかかる担当者の時間や労力を大幅に削減できる点が大きな魅力です。
外国人材への支援は一度きりで終わらず、継続的に発生するため、通常業務との両立は容易ではありません。継続的に発生する業務の一例は、次のとおりです。
- 3ヶ月に一度の定期面談(本人・監督者の両方)
- 日々の生活や仕事に関する相談対応
- 急な病気やトラブル発生時の同行
- 役所などでの手続きの補助
特に初めて外国人材を受け入れる場合、手続きのたびにマニュアルなどを調べるのは、多くの時間を要します。業務を登録支援機関に任せることで、担当社員は本来の業務に専念できるため、結果として、職場全体の労働環境の改善にもつながるでしょう。
専門的な知識やノウハウを活用できる
登録支援機関は、出入国管理法や労働関連法規など、複雑で頻繁に改正される法律に関する専門知識を有しています。自社で最新の法令を情報収集することは難しいですが、専門家に任せることで「知らぬ間に法令違反をしていた」というリスクを回避できるでしょう。
また、多くの登録支援機関は、さまざまな国籍の外国人材を支援してきた豊富な経験とノウハウを持っています。文化や習慣の違いから生じる誤解や、外国人材の悩みを先回りしてケアするノウハウなど、専門家ならではの質の高いサポートが期待できます。
外国人材の定着率アップやトラブル防止につながる
外国人材の定着率アップやトラブルを未然に防止する対策を実施してくれることも、登録支援機関を利用するメリットです。職場の上司や同僚には話しにくいデリケートな問題も、母国語で相談できる第三者がいれば、一人で悩まずに済みます。
その結果、不満が大きくなる前に問題を察知し、早い段階での解決につなげられます。生活や職場へ適応できれば、外国人材のストレスは軽減され、仕事へのモチベーションも高まるでしょう。
このように、外国人材を受け入れる際の業務負担や労力を削減したい企業にとっては、登録支援機関に支援を要請するのも一つの手段です。もし、登録支援機関をお探しの場合は、長年の教育実績とノウハウを持っている「明光グローバル」がおすすめです。
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まとめ
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