近年、人手不足に伴い、日本企業で働く特定技能人材の総数は増加傾向にあります。特定技能制度においては、特定技能1号の外国人材を採用する場合、義務的支援を登録支援機関に委託することが可能です。
特定技能人材の受入れを検討している企業の中には、登録支援機関に委託する場合の費用や支援内容に関する疑問や不安をお持ちの企業も少なくありません。今回は、登録支援機関の概要や、受入れ機関が支払うべき費用の目安、利用上の注意点などについて解説します。
特定技能制度における登録支援機関について詳しく知りたい企業の経営者や人事担当者の方はぜひ本記事を参考にしてみてください。
登録支援機関とは
登録支援機関とは、受入れ機関(=受入れ企業)に代わって、特定技能1号の外国人材への義務的支援の提供や在留資格関連の届出・手続きなどを支援する機関です。
特定技能とは、人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性・技能を有する外国人材を受け入れていくために、2019年度に創設された在留資格制度です。特定技能の在留資格には「特定技能1号」「特定技能2号」の2種類があります。
特定技能1号の外国人材を雇用する場合、受入れ機関は「1号特定技能外国人支援計画」を作成の上、計画に基づいて10項目の義務的支援を提供しなければなりません。
はじめて外国人材を採用する企業では、外国人支援に関する知見やノウハウ、人的リソースの不足などの理由から、これらの義務的支援を自社だけで提供するのが難しい場合が多いです。このような背景から、2025年現在、受入れ機関では登録支援機関に支援を委託するのが一般的となっています。
参照元:1号特定技能外国人支援・登録支援機関について(出入国在留管理庁)
登録支援機関に支払う費用の目安
出入国在留管理庁の調査によると、特定技能人材1人あたりの月額支援委託費用の平均金額は28,386円となっています。また、登録支援機関の71.8%が、特定技能人材1人あたりの月額支援委託費用を15,000円から30,000円程度の範囲内に設定しています。
登録支援機関によっては、義務的支援の項目別に支援委託手数料を定めているケースもあります。また、入国前の事前ガイダンスや生活オリエンテーションなどについては、月額支援委託費とは別途、初期費用が発生することが多いです。これらの初期費用については登録支援機関によって異なります。
参照元:技能実習制度及び特定技能制度の現状について(出入国在留管理庁)
登録支援機関が提供する支援内容
登録支援機関では、「1号特定技能外国人支援計画」の作成補助や、特定技能制度で定める義務的支援を提供することができます。特定技能人材の在留資格関連の届出・手続きを委託することも可能です。義務的支援には、次の内容が含まれます。
- 事前ガイダンス
- 出入国の際の送迎
- 住宅の確保・生活に必要な契約関係のサポート
- 生活オリエンテーション
- 公的手続等への同行
- 日本語教育・学習機会の提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- (受入れ側の都合で雇用契約を解除する場合)転職の支援
- 定期的な面談・行政機関への通報
上記以外にも、「1号特定技能外国人支援計画」で定めている場合には、任意的支援についても実施する必要があります。義務的支援・任意的支援に関する具体的な内容については、「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」を参照してください。
参照元:1号特定技能外国人支援に関する運用要領(出入国在留管理庁)
企業が登録支援機関に支払う費用の内訳
登録支援機関によって、費用発生の仕組みや金額感は異なりますが、大きく分けて月額で費用が設定されているパターンと、支援項目別に支援委託費用を定めているパターンがあります。在留資格関連の申請手続きを委託した場合は、別途費用が発生します。
登録支援機関は、受入れ機関との委託契約の締結時にかかる費用や内訳を明示する必要があります。ただし、入管法上、受入れ機関から受け取る支援委託費用の上限は定められていません。費用が高ければ高いほど良いサービスが受けられるわけではないため、受けられる支援の内容を確認した上で委託する登録支援機関を選定するようにしましょう。
ここでは、受入れ機関が登録支援機関に支払わなければならない費用の内訳について解説します。
月額で費用が設定されているケース
前述のとおり、月額の支援委託費用の平均金額は28,386円となっており、全体の71.8%が月額支援委託費を15,000円から30,000円程度の範囲内に設定されています。詳しい内容については次のとおりです。
特定技能人材1人あたりの 月額支援委託費 | 特定技能人材数(人) | 構成比 |
---|---|---|
5,000円以下 | 600 | 0.9% |
5,000超~10,000円以下 | 4,515 | 6.4% |
10,000超~15,000円以下 | 6,665 | 9.5% |
15,000超~20,000円以下 | 17,781 | 25.3% |
20,000超~25,000円以下 | 18,434 | 26.2% |
25,000超~30,000円以下 | 14,322 | 20.3% |
30,000超 | 8,087 | 11.5% |
合計 | 70,404 | 100.0% |
※技能実習制度及び特定技能制度の現状について(出入国在留管理庁)を参考に作成。表内の数値は2022年9月末に在留する特定技能人材を対象に、登録支援機関への有償委託費用として在留資格申請書類に記載された金額を集計したもの。表中の構成比は小数点第2位以下を四捨五入している。
具体的な支援内容は登録支援機関によって異なります。委託契約を締結する前に登録支援機関が提供している支援内容をしっかり確認しましょう。
参照元:技能実習制度及び特定技能制度の現状について(出入国在留管理庁)
支援項目別に支援委託費用を定めているケース
支援項目別に支援委託費用を定めている場合、次のような費用が発生します。
項目 | 費用相場(1回あたり) |
---|---|
入国前の事前ガイダンス | 2~3万円 |
出入国の際の送迎 | 1~2万円 |
住宅確保・契約関係の支援 | 2~3万円 |
生活オリエンテーション | 2~3万円 |
公的手続等への同行支援 | 1~2万円 |
医療機関等への同行支援 | 2~3万円 |
日本語教育・学習機会の提供 | 1~3万円 |
定期的な面談・相談対応 | 1~2万円 |
支援内容によっては、別途実費が発生する可能性もあります。
実費の具体例としては、出入国の際の送迎における交通費やレンタカー代、日本語教育・学習機会の提供における教材費などが挙げられます。あらかじめそれぞれの項目にどのようなサービス内容が含まれるのかを確認するようにしましょう。
在留資格関連の申請手続きを委託するケース
登録支援機関によっては、行政書士による申請サポートを提供している場合があります。特定技能人材を受け入れるにあたって、海外に居住している外国人材を採用する場合は在留資格認定証明書交付申請が、国内に在留している外国人材を採用する場合は在留資格変更許可申請が必要になります。
スムーズな特定技能人材の受入れに向けて、行政書士と提携している登録支援機関に申請手続きを委託する企業も多いです。登録支援機関経由で行政書士に在留資格関連の届出・手続きを委託する場合、次のような費用が発生します。
項目 | 費用相場(1回あたり) |
---|---|
在留資格認定証明書交付申請費用 | 10~20万円 |
在留資格変更許可申請費用 | 10~20万円 |
在留期間更新許可申請資格更新費用 | 4~8万円 |
登録支援機関を利用すべき企業
特定技能制度では、外国人材の受入れに関する様々な要件が定められています。受入れ機関の状況によっては、登録支援機関を利用しなければならないケースがあります。ここでは、登録支援機関を利用すべき企業の要件について解説します。
登録支援機関を活用しなければ特定技能人材を受け入れられない企業
企業によっては、登録支援機関を活用しなければ特定技能人材を受け入れることが認められないことがあります。特定技能人材を受け入れるために、受入れ機関は次のいずれかの要件を満たす必要があります。
- 過去に外国人材の受入れ経験がある:過去2年間に中長期在留者の受入れまたは管理を適正に行った実績があり、かつ役員または職員の中から支援責任者や支援担当者を選任すること
- 外国人材の生活相談業務に従事した役員・職員がいる:過去2年間に中長期在留者の生活相談業務に従事した経験を有する役員や職員が在籍しており、これらの経験を有する役員や職員の中から支援責任者や支援担当者を選任すること
- 登録支援機関に委託する:上記の条件と同程度に支援業務を適正に実施することができる者として出入国在留管理庁長官が認める登録支援機関に委託すること
そのため、過去に外国人材を受け入れた経験がなく、外国人材の生活相談業務に従事したことがある役員や職員がいない場合、基本的には登録支援機関への委託が必要となることが多いです。
義務的支援の実施体制を整備できない企業
義務的支援を適切に提供する体制を構築できない企業についても、登録支援機関を利用する必要があります。
特定技能運用要領では、特定技能人材に義務的支援を提供するために、受入れ機関に対して本人が十分に理解できる言語を活用した適切な情報提供体制や相談体制の整備を求めています。特に、日本語能力の高くない特定技能1号の外国人材を受け入れる場合には、通訳スタッフや翻訳機の導入など、特定技能人材の母国語を活用したフォローが必要になるケースもあります。
また、義務的支援を提供する際には、支援責任者や支援担当者に多大な工数や負荷がかかります。多くの企業では、支援責任者や支援担当者が複数の業務を兼務していることが多く、状況によっては過度なプレッシャーやストレスに繋がるリスクもあります。
このように、外国人材の母国語を活用したコミュニケーションや外国人支援にあたる人的リソースが確保しきれない場合は、登録支援機関に委託することが必要となります。
登録支援機関を利用するメリット
登録支援機関を利用することで、受入れ機関は様々なメリットを得ることができます。ここでは、登録支援機関を利用する主なメリットについて解説します。
- 企業担当者にかかる工数や負荷を軽減できる
- 雇用している特定技能人材に質の高い支援を提供できる
企業担当者にかかる工数や負荷を軽減できる
登録支援機関を活用すれば、社内の支援責任者や支援担当者が業務指示や教育指導に集中することが可能です。
登録支援機関に支援を委託することで、日本人社員にかかる工数や負荷を軽減することができます。これにより、慣れない支援対応によるエンゲージメントの低下や離職などを防ぐことができます。
雇用している特定技能人材に質の高い支援を提供できる
登録支援機関を活用することで、自社で雇用している特定技能1号の外国人材に質の高い支援を提供できます。
登録支援機関は特定技能人材に対する支援のプロフェッショナルです。そのため、社内で支援を完結するよりも効率的に外国人材に対する教育を推進することができます。
また、外国人の母国語を話せるスタッフが在籍している登録支援機関を活用すれば、面談やフィードバックなどの場面で外国人材が気軽に悩みや疑問を相談しやすくなります。
登録支援機関を利用する際の注意点
登録支援機関を利用する際は、どのような点に注意が必要なのでしょうか?ここでは、登録支援機関を利用する際の主な注意点について解説します。
- 登録支援機関登録簿に事業者名が載っているか確認する
- 必要な支援を適正な費用で提供しているか確認する
登録支援機関登録簿に事業者名が載っているか確認する
登録支援機関に委託する前に、必ず登録支援機関登録簿をチェックし、事業者名が掲載されていることを確認しましょう。
出入国在留管理庁による認可がなければ、登録支援機関としての業務を提供することができません。認可を受けた事業者は出入国在留管理庁のホームページに掲載されている登録支援機関登録簿に登録されています。
認可を受けていない悪質な事業者に委託すると、在留審査時に適正な支援体制を確保していないと判断され、在留資格関連の申請が不許可となってしまうため注意が必要です。
必要な支援を適正な費用で提供しているか確認する
登録支援機関を選定する際は、必要な支援を適正な費用で提供しているかをしっかり確認しましょう。
たとえば、登録支援機関によって、どのような言語に対応しているかには差異があります。そのため、今後、採用を予定している外国人材の母国語を話せるスタッフがいるかどうかも選定上重要なポイントになります。
どれほど委託費用が安くても、提供してもらえる支援の質が十分ではなかったり、受入れ機関側が求めるサービスを提供していなかったりすれば意味がありません。コストとサービスのバランスを考慮し、適切な登録支援機関を選定することがおすすめです。
なお、登録支援機関が特定技能人材の人材紹介事業を担っている場合、トータルでの費用が抑えられることが多いです。明光グローバルは特定技能人材の採用から教育、定着までワンストップで支援を提供しているため、安定的かつ長期的な人材の定着を実現しやすくなっています。
特定技能人材の採用は明光グローバルにお任せください
登録支援機関を利用する際の費用は、おおよそ月額15,000〜30,000円程度です。登録支援機関によって提供しているサービスが異なるため、必ず事前に支援の内容や支援の範囲、委託費用などを確認するようにしましょう。
明光グローバルは、特定技能人材専門の人材紹介事業を営みながら、登録支援機関としての認可も受けています。採用・教育・定着をワンストップで支援することができるため、はじめての特定技能人材採用でも安心してお任せいただくことが可能です。
最後に、特定技能人材の受入れにお悩みの企業の経営者や人事担当者の方に向けて、明光グローバルの概要と、提供するサービスを紹介します。
明光グローバルとは
明光グローバルは、外国人材の就労機会の創出と育成を通して、日本企業の持続的な成長をサポートする教育系人材サービスです。
40年以上の個別指導の教育実績、そして10年以上の日本語教育の実績を持つ明光ネットワークジャパングループの知見を活かし、外国人材の育成と企業の人材課題解決に特化したサービスを提供しています。
JCLIや早稲田EDU日本語学校での豊富な教育ノウハウを活かし、特定技能試験対策から業界別の専門教育まで、幅広いニーズに対応しています。外務省からEPA事業を4期連続で受託するなど、高い信頼性と実績を誇ります。
明光グローバルの主要サービス
事業 | サービス |
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教育研修事業 | ・eラーニングによる日本語教育(スマホアプリに対応) ・対面/オンラインによる日本語レッスン ・外国籍人材と日本人に向けた各種研修プログラム ・外国籍人材に向けた各種試験対策講座 |
人材紹介事業 | ・特定技能人材の紹介 ・外国籍エンジニアの人材紹介 ・教育伴走型の登録支援サービス |
特定技能人材やエンジニアの紹介から、外国人社員向けの教育・研修サービスまで、幅広いノウハウを提供しています。単なる日本語教育にとどまらず、企業での実践力を重視した総合的な人材育成を行っています。
特定技能人材紹介サービス
特定技能人材紹介サービスとは、特定技能人材の導入から定着まで、一気通貫したサポートが受けられるコンサルティングサービスです。
明光グローバルは、特定技能1号人材の登録支援機関として認定されています。登録支援機関とは、特定技能1号の人材への支援を適切に実施し、出入国在留管理庁への各種届出を滞りなく行うために設置されているサポート機関です。
企業が登録支援機関と委託契約を締結すると、必要に応じて特定技能人材への支援を登録支援機関に委託することができます。具体的には、ご契約いただいた企業においては、特定技能人材の紹介に加えて、次のサービスをご利用いただくことが可能です。
- 特定技能人材の採用に向けた各種申請書類作成のサポート
- 特定技能人材の生活サポート
- 特定技能人材の母国語での相談窓口
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明光グローバルのサービスが選ばれている主な理由には、次の3つのサポート体制にあります。
サポート内容 | 概要 |
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採用支援 | ・SNSを活用した独自の採用ルート ・提携教育機関との連携による人材確保 ・母国語スタッフによる適性評価 |
充実した入社前後のサポート | ・在留資格申請の手続き代行 ・住居やライフラインの整備 ・銀行口座開設など初期手続きの支援 |
効果的な定着支援と能力開発 | ・定期的な面談によるフォロー ・母国語による相談窓口の設置 ・独自開発の外国人向けオンライン日本語学習ツール「Japany」による日本語学習 |
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明光グローバルのエンジニア、メカニック紹介サービスは、施工管理(建築、土木、電気、設備)や自動車整備士の採用から定着までをトータルでサポートする総合支援体制が大きな特徴です。サービスが選ばれる主な理由は、次の3つの強みにあります。
強み | 内容 |
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安定的な人材確保と確かな選考 | ・SNSや提携教育機関を通じた豊富な人材プール ・母国語スタッフによる丁寧なスクリーニング ・企業ニーズに合わせた最適なマッチング |
充実した入社前後のサポート | ・定期的な面談による就業状況の確認 ・生活面での相談対応や各種支援 ・在留資格申請のサポート |
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包括的なサポート体制により、企業と外国人材の双方が安心して採用活動を進めることができます。特に高度人材の採用では、専門的なスキルや経験の評価に加え、日本での長期的なキャリア形成のサポートが重要です。
まとめ
企業が登録支援機関を活用することで、自社の担当者の負担を軽減しながら、適切な支援を提供することができます。費用対効果を確認しながら、適切な登録支援機関を選定するようにしましょう。
明光グローバルなら、特定技能人材の採用から登録支援機関としての支援業務まで一括で対応が可能です。はじめての特定技能人材採用に関するお悩みやご相談は、明光グローバルにお任せください。
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