日本語オンラインレッスンは、インターネットを通じて場所や時間を問わず日本語を学習できるサービスです。個別指導、グループレッスン、自習型などの多様な形式があり、学習者のニーズに応じて選択できます。
今回は、日本語オンラインレッスンの仕組み、対面レッスンとの違い、導入の背景、メリットとデメリット、そして効果的な導入方法のポイントについて解説します。
日本語オンラインレッスンの概要
日本語オンラインレッスンとは、インターネットを通じて日本語を学習するためのサービスです。スマートフォンやパソコンを持っていてインターネット環境さえ整えば、場所や時間を問わず受講できるため、忙しい社会人や留学生に人気があります。
個別指導やグループレッスン、自習型などさまざまな形式があり、学習者のニーズに合わせて選択できることも魅力です。日本語能力試験対策や日常会話、ビジネス日本語など、目的に応じたコースも充実しています。
では、日本語オンラインレッスンが、実際にどのように行われているのか、その仕組みについて解説します。
日本語オンラインレッスンの仕様
日本語オンラインレッスンはインターネットを介して行われることが特徴です。主な仕様は下の表のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
使用ツール | ・ビデオ通話ツール(Zoom、Skype、Google Meetなど)を利用 ・専用の学習プラットフォームを使用する場合もあり |
レッスンの流れ | 1. レッスンの日時を予約する 2. レッスンの準備をする(テキストや質問事項などを準備する) 3. リアルタイムで日本語教師とレッスンを行う 4. フィードバックを行う |
教材 | ・デジタル教材を事前にダウンロードする ・画面共有機能を使用して教材を表示する |
復習方法 | ・レッスンの録画機能を活用する ・課題を提出し添削を受ける ・チャット機能を使って質問したりフィードバックを受けたりする |
これらの仕様により、場所や時間に縛られることなく効果的に日本語学習が可能となります。また、講師を自分で選べる点や、ビジネス日本語など目的に応じたコースが充実している点も特徴です。
一方で、対面での会話とは異なる点や、自己管理が必要な点には注意が必要です。
従来の対面レッスンとの違い
日本語オンラインレッスンと従来の対面レッスンには大きな相違があります。主な相違点は次のとおりです。
項目 | オンラインレッスン | 対面レッスン |
---|---|---|
場所 | 自由(自宅、職場など) | 固定(教室) |
時間 | 24時間可能 | 固定(教室の営業時間内) |
交通手段 | 不要 | 必要 |
学習環境 | 個人で用意 | 教室が用意 |
受講生の交流 | チャットが中心 | 直接的な交流が中心 |
教材 | デジタル教材が中心 | 紙ベースの教材が中心 |
インターネット環境 | 必要 | 不要 |
大きな相違点は、学習環境の自由度にあります。オンラインレッスンでは、通学時間が不要で、自宅や職場など好きな場所で受講できます。また、スケジュールの柔軟性も高く、深夜や早朝でも講師とのスケジュールが合えば可能です。
また、対面レッスンのメリットとしては、教室の雰囲気を直接感じられ、他の学習者との交流が活発に行える点が特徴です。しかし、オンラインレッスンでもグループセッションやオンラインイベントを通じて、学習者同士のつながりを作ることもできます。
さらに、オンラインレッスンでは、録画機能や共有ホワイトボードなど、デジタルツールを活用した効率的な学習が可能です。
どちらの受講スタイルにも利点があり、学習者の状況や目標に応じて選択することが重要です。
日本語オンラインレッスンが導入される背景
日本語オンラインレッスンの導入背景には、さまざまな社会的要因が影響しています。
- 新型コロナウイルスによる影響
- 外国人労働者の増加
- インバウンド需要による影響
ここでは、以上の影響がどのようにして日本語オンラインレッスンの普及を後押ししたのか解説します。
新型コロナウイルスによる影響
新型コロナウイルスの世界的流行は、日本語オンラインレッスンの需要を劇的に増加させています。
パンデミック以前は、対面式の語学学校が主流でしたが、感染拡大防止のための移動制限や社会的距離確保の必要性から、多くの学習者がオンラインへ移行しました。この変化は一時的なものではなく、時間や場所の制約がない柔軟性、通学コストの削減、多様な講師へのアクセスなどが評価され、コロナ後もオンラインレッスンの人気は継続しています。
さらに、テクノロジーの進歩により、オンラインプラットフォームの機能が向上し、より効果的な学習環境が整備されたことも一つの要因です。
結果として、コロナ禍を契機に、日本語学習の形態が大きく変わり、オンラインレッスンが新たな教育方式として定着しつつあります。
外国人労働者の増加
外国人労働者の増加は、日本語オンラインレッスンの需要を大きく押し上げています。新型コロナウイルス感染症の影響が薄れた2023年、外国人労働者数は約200万人を突破、前年比10%以上も増加しました。
引用元:令和5年「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(厚生労働省)
外国人労働者の急激な増加に伴い、日本語学習環境の整備が喫緊の課題となっています。
しかし、文部科学省の調査によると、2023年11月時点で全自治体の38.9%が日本語教室のない「空白地域」となっており、約14万人の外国人が適切な学習機会を得られていない状況です。特に東京では、空白地域に住む外国人が前年の4.7倍に急増し、環境整備が追いついていない実態が浮き彫りになりました。
この課題に対応するため、多くの自治体がオンライン日本語レッスンの導入を進めています。オンラインレッスンは、時間や場所の制約を受けにくく、「空白地域」の解消に効果的です。
また、コロナ禍を経て、学習者側と教育側の双方がオンラインレッスンの利点を再認識したことも、その普及を後押ししているでしょう。
参考:
インバウンド需要による影響
インバウンド需要の急速な回復は、日本語オンラインレッスンの需要にも大きな影響を与えています。2019年に3,188万人を記録した訪日外国人数は、コロナ禍で激減しましたが、2023年には約2,500万人まで回復し、2024年には一層の増加が見込まれています。
訪日外国人の増加に伴い、短期滞在者向けの日本語学習ニーズも高いです。観光やビジネス目的の来訪者が、基本的な日本語を学びたいというニーズが増加しており、オンラインレッスンはその需要に柔軟に対応できる方法として注目を集めています。
また、日本での長期滞在を検討している外国人が、来日前に日本語学習を始める手段としても、オンラインレッスンの需要増加も見込まれるでしょう。インバウンド需要の回復は、多様な形で日本語オンラインレッスンの需要を押し上げる要因となっています。
日本語オンラインレッスンのメリット
日本語オンラインレッスンには、従来の対面式レッスンと比較して多くのメリットがあります。そして、メリットを活用できれば、学習者の利便性を高めるだけでなく、効果的な学習環境を提供することにもつながるでしょう。
ここでは、日本語オンラインレッスンの主要なメリットについて解説します。
- 時間や場所の制約がない
- 費用対効果が高い
時間や場所の制約がない
日本語オンラインレッスンを取り入れると、時間や場所の制約を受けずに学習が可能です。その主な理由は次のとおりです。
- どこでも受講可能だから(自宅、職場、カフェなど)
- 通勤時間や休憩時間を有効活用できるから
- 好きな時間帯に学習できるから
特に、近隣に日本語学校や教室がない地域の学習者にとって、自宅にいながら日本語を学べることは大きなメリットといえるでしょう。地方自治体や企業も、このメリットを活かし外国人支援や人材育成を推進しています。
費用対効果が高い
日本語オンラインレッスンは、対面型レッスンと比較して費用対効果が高く、経済的な負担を軽減できます。次の要因により、コストを削減することが可能です。
要因 | 内容 |
---|---|
通学費用の削減 | 交通費や移動時間のコストがかからない |
施設維持費が不要 | 教室や設備の費用が不要 |
デジタル教材の活用 | 印刷費用や更新費用を削減可能 |
同時視聴による教育コスト削減 | 多数の学習者に同時にサービスを提供可能 |
コストを抑えられるため、学習者は低価格で質の高い日本語教育を受けられ、継続的な学習が可能になります。また、教育者側も運営コストを削減できたり、より多くのレッスンが可能になるため生産性が向上したりと、メリットは大きいといえるでしょう。
双方のメリットにより、多くの人々が日本語学習にアクセスできるようになり、日本語教育の普及に大きく貢献していくと考えられます。
日本語オンラインレッスンのデメリット
日本語オンラインレッスンにはメリットがある一方で、デメリットに注意しなければなりません。特に、対面コミュニケーションの欠如は、学習効果に影響を与える可能性があります。主なデメリットは下の表のとおりです。
デメリット | 問題点 |
---|---|
コミュニケーションが制限される | ・身振り手振りが伝わりにくい ・表情や微妙な反応が読み取りづらい ・空気感や雰囲気の共有が難しい |
会話の流れが阻害される | ・通信遅延によるタイミングのズレがある ・会話のタイミングが取りづらい ・複数人での会話が難しい |
技術的な問題が発生する可能性がある | ・インターネット接続が不安定な場合がある ・音声や映像の品質が低下する恐れがある |
集中力の維持が難しい | ・周囲の環境に左右される ・長時間画面を注視することが疲労につながる |
特に初心者や高齢の学習者は、オンラインレッスンでの学習に難しさを感じることもあるでしょう。また、日本語の微妙なニュアンスや文化的側面の理解が対面レッスンと比べて難しくなる可能性もあります。
デメリットは認識しつつも、適切な対策を講じることで、日本語オンラインレッスンの効果を最大限に引き出すことが可能です。
日本語オンラインレッスンを導入する際のポイント
日本語オンラインレッスンを効果的に導入する際は、注意すべき重要なポイントがあります。ポイントを押さえることで、オンラインレッスンの利点を最大限に活用できるでしょう。ここでは、日本語オンラインレッスンを導入する際のポイントについて解説します。
- 自社のニーズに合わせたサービス選ぶ
- 受講者のレベルに応じた学習プランをカスタマイズできるものを選ぶ
- 受講者の学習進捗と評価できるシステムを選ぶ
自社のニーズに合わせたサービス選ぶ
日本語オンラインレッスンを導入する際は、自社の特性やニーズに合わせて適切なサービスを選択することが重要です。特に、受講者の多様な日本語レベルに対応できるかどうかが鍵となるでしょう。
サービスを選択する際の主要なポイントは下の表のとおりです。
選択ポイント | 内容 |
---|---|
融通の利くレッスン形式 | マンツーマンレッスン、少人数のグループレッスン(レベル別)、オンライン学習と対面学習の両方に対応できる形式が望ましいです。 |
豊富なコンテンツや教材 | レベル別教材や、学習者と教育側がやりとり可能な学習ツール、実践的な会話シチュエーション動画があると効果的です。 |
総合的なサポート体制 | 専門スタッフによる学習相談や、進捗管理システム、定期的な成果報告と学習プランの見直しが提供されていると安心です。 |
費用対効果 | 受講者数に応じた柔軟な料金プランがあり、学習者数の増減に対応できる料金体系が適切です。 |
以上のポイントから自社のニーズを総合的に判断し、受講者の多様な日本語レベルに柔軟に対応できるサービスを選択すれば、効果的な日本語学習環境を作れるでしょう。
また、導入前にトライアル期間を設けて実際に使用してみることも、適切なサービス選択に役立ちます。
受講者のレベルに応じた学習プランをカスタマイズできるものを選ぶ
効果的な日本語オンラインレッスンを導入するには、受講者の多様なニーズに対応できるサービスを選択することが重要です。次の内容を考慮して選択するとよいでしょう。
カスタマイズ要素 | 内容 |
---|---|
習熟度別コース | ・初級、中級、上級などのレベル別コース設定 |
業種・職種別の専門日本語 | ・建設現場:安全指示、作業手順の日本語 ・エンジニア:技術用語、報告書作成の日本語 ・介護職:患者とのコミュニケーション、医療用語 |
学習目的別プログラム | ・ビジネス日本語:会議、プレゼン、ビジネスメール ・日常会話:生活に必要な基本的コミュニケーション ・資格試験対策:JLPT、BJTなどの試験準備 |
導入後も定期的に学習プランを見直し、必要に応じて調整することも大切です。
受講者の学習進捗と評価できるシステムを選ぶ
効果的な日本語オンラインレッスンには、受講者の学習進捗を適切に管理し、評価できるシステムの導入が重要です。理想的な進捗管理・評価システムの特徴は下の表のとおりです。
機能 | 内容 |
---|---|
進捗管理 | ・学習者の進捗状況確認 ・管理者向けサポート機能 |
評価テスト | ・日本語能力を確認するテスト ・模擬試験などの資格試験対策 ・ビジネス日本語能力の測定 |
レポート機能 | ・個人別の学習成果レポート生成 ・企業担当者向けの全体進捗の要約 ・データ分析に基づく学習効果の可視化 |
以上のような進捗管理・評価システムを採用しているサービスを利用すると、日本語オンラインレッスンを効率的に進めることができるでしょう。
外国人社員向けの、包括的な機能を備えた日本語オンラインレッスンやe-ラーニング「Japany」について、次の章でご紹介します。
日本語オンラインレッスン+e-ラーニング「Japany」の併用がおすすめ
外国人材の日本語能力を効果的に向上させるには、日本語オンラインレッスンとe-ラーニング「Japany」を組み合わせた学習方法がおすすめです。
オンラインレッスンでは、ビジネスの現場で必要となる「会話」「聴く」「書く」といった実践的なスキルを、プロの講師と直接的なやり取りを通じて伸ばすことができます。
一方、e-ラーニング「Japany」では、「文字語彙」「読む」「聴く」といった基礎力を自分のペースで習得することが可能です。
2つを併用することで、企業側は学習者の進捗管理が容易になり、レッスンだけでは補いきれない文字・語彙力の強化や、JLPTなどの試験対策まで幅広くカバーすることが可能になります。
最後に、日本語オンラインレッスンとe-ラーニング「Japany」それぞれの強みについて解説します。
日本語オンラインレッスンの強み
日本語オンラインレッスンの最大の強みは、プロの講師と直接的なコミュニケーションを通じて、実践的な日本語力を養える点です。
強み | 内容 |
---|---|
ビジネスにおける実践力の向上 | ・リアルタイムでの会話練習 ・ビジネスメールの作成指導 ・プレゼンテーションスキルの習得 |
業種別カスタマイズ | ・業界ごとに特化したレッスン 例:介護現場での接遇表現、建設現場での安全指示 |
即時フィードバック | ・発音の細かな修正 ・自然な表現への言い換え ・ビジネスマナーの指導 |
日本語オンラインレッスンにより、実務で即戦力となる日本語コミュニケーション能力を効率的に身につけることができます。また、定期的なレッスンにより、学習意欲の維持にも効果的です。
e-ラーニング「Japany」の強み
e-ラーニング「Japany」には、外国人材の日本語教育に特化した独自の強みがあります。Japanyの強みは主に次の3つです。
- 明光オリジナル学習コンテンツ
- 継続力を高める機能を搭載
- 管理者を支える機能が多数
これらの強みにより、外国人材の日本語能力向上を総合的にサポートし、企業の人材育成に大きく貢献できるでしょう。
明光オリジナル学習コンテンツ
e-ラーニング「Japany」では、日本ではたらく外国籍の方に特化した、明光キャリアパートナーズによる厳選コンテンツを提供しています。業種ごとに異なる言い回しや日常会話能力を育成する動画、JLPT試験対策や特定技能1号・2号試験対策などの各種試験対策動画など、日本で働く外国籍人材に寄り添った学習コンテンツを豊富に搭載しています。
継続力を高める機能を搭載
学習の継続を促すために、e-ラーニング「Japany」はコンテンツレコメンド機能、学習ポイントシステム、ランキング機能などを備えています。以上の機能により、学習者の自律性とモチベーションを維持し、効果的な学習を促進できるでしょう。
管理者を支える機能が多数
企業の担当者や管理者向けに、e-ラーニング「Japany」はレポート機能や学習者管理機能を搭載しています。その結果、学習者の進捗状況を効率的に把握し、適切なサポートを提供することが可能です。
まとめ
日本語オンラインレッスンの概要や仕組み、導入の背景、メリットとデメリット、導入時のポイントについて解説しました。
日本語オンラインレッスンを効果的に活用するには、自社のニーズに合ったサービスを選び、受講者のレベルに応じたカスタマイズや学習進捗を適切に管理することが重要です。
日本の国際化が進む中、外国人材の日本語教育は重要です。日本語オンラインレッスンは、時間や場所の制約を超えて効果的な学習環境を提供し、企業の人材育成に大きく貢献できます。
明光グローバルが提供する日本語オンラインレッスンとe-ラーニング「Japany」を併用して、外国人材の能力を最大限に引き出し、日本の未来を明るく支える環境づくりを進めていきましょう。