自動車運送業界における深刻な人手不足や2024年問題への対策として、2024年3月に特定技能「自動車運送業」が新設されました。外国人材を採用することで、ドライバー確保と業界の活性化が期待されます。
今回は、特定技能「自動車運送業」の制度が導入された背景、3つの業務区分、企業と外国人材双方の要件から、採用ステップ、必要な手続き、受け入れ後の支援までを解説します。外国人ドライバーの採用を検討中の物流・運送会社の管理者や人事担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
特定技能「自動車運送業」が必要とされる背景・理由
特定技能に「自動車運送業」が追加された主な背景には、自動車運送業界の「深刻な人手不足」や「ドライバーの高齢化」「物流の2024年問題」があります。これらの課題に対応するため、新たな担い手として特定技能外国人材の受け入れが決定されました。
特に、特定技能外国人材には比較的若い世代が多いことから、業界の若返りや活性化への貢献も期待されています。
深刻な人手不足
自動車運転従事者の有効求人倍率は、全職業平均と比較して約2倍と高い水準で推移しており、人材確保が極めて困難な状況です。

ドライバーの高齢化
全職業と比較して、自動車の運転業務に従事する方の平均年齢は、全職業平均と比較して約3歳から17歳も高い水準にあります。特にトラックドライバーでは40歳以上の割合が高く、若年層(29歳以下)の割合は約10%以下にとどまっています。

そのため、将来の担い手となる若手人材の確保と育成が緊急の課題となっています。
物流の2024年問題
働き方改革の一環として、2024年4月から自動車運転業務の時間外労働に年960時間の上限が設けられました。労働環境の改善が期待される一方、ドライバー1人あたりの稼働時間が減ることで、輸送能力の低下や人手不足の更なる深刻化が懸念されています。
特定技能「自動車運送業」3つの区分
特定技能「自動車運送業」の在留資格は、「トラック運送業」「タクシー運送業」「バス運送業」の3つの区分に分けられています。いずれの区分もドライバーとして事業用自動車を運転することが主な業務ですが、輸送対象(貨物か旅客か)や求められるスキル、具体的な業務内容は異なります。
ここからは、それぞれの区分で特定技能外国人材がどのような業務に従事するのか、詳しく見ていきましょう。
参照元:特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領(法務省・国土交通省)
トラック運送業
特定技能におけるトラック運送業の外国人材は、主に貨物の輸送を担うドライバーとして従事します。主な業務内容は、次のとおりです。
- 車両チェック(運行前後):安全運行の基礎として、タイヤの空気圧、ブレーキの効き具合、灯火類などを出発前と到着後に確認します。
- トラックの運転:指定された目的地まで、貨物を輸送します。
- 荷役業務:フォークリフトなどを使用した貨物の積み下ろし作業や、輸送中に荷崩れしないようロープやシートで適切に固定する「積付け」を行います。
- 乗務記録の作成・管理:日々の運行ルート、時間、走行距離などの記録を作成・管理します。
これらの業務を通じて、物流インフラの維持に貢献することが期待されています。ただし、車両の清掃や運行前後の準備・片付けなどの関連業務だけを行うことは認められていません。
タクシー運送業
タクシー運送業は、地域住民の日常的な移動や、国内外からの観光客の輸送手段として、旅客輸送サービスを提供する役割を担います。安全運転技術はもちろん、高い接客スキルも必要になる仕事です。
主な仕事内容は、次のとおりです。
- タクシーの運転・点検:お客様を目的地まで安全に輸送する運転業務に加え、毎日の始業前点検、終業後の車両清掃、燃料補給といった車両管理も行います。
- 乗客対応(接遇業務):お客様を安全かつ快適にお送りするため、丁寧な言葉遣いや挨拶、乗降時のドアサービスや補助、要望に応じた最適なルート選択など、質の高い接客を行います。
- 乗務記録の作成:法令に基づき、一日の走行距離、乗客数、運賃収入などの営業内容を正確に記録します。
地域交通を支える重要な一員として、特定技能タクシードライバーへの期待は大きくなっています。
バス運送業
路線バスや観光バスの運転手としての業務内容を解説する。
- バスの点検・運転
- 乗務記録の作成
- 乗客対応など
バス運送業では、路線バスや高速バス、貸切観光バスなど、さまざまな形態で多くの人々の移動を支えるバスドライバーとして従事します。
主な仕事内容は、次のとおりです。
- バスの点検・運転:乗客の安全を守るため、運行前後にブレーキ、タイヤ、ドアなどを入念に点検し、定められたルートを安全に運転します。
- 乗客対応:バス停での適切な停車、乗降時の安全確認、声かけを行います。また、運賃の受け取り(路線バスなど)や、乗客からの問い合わせへの対応も業務のひとつです。
- 定時運行:特に路線バスにおいては、ダイヤグラム(運行計画)に基づいた時間通りの運行が求められます。
- 乗務記録の作成:運行ルート、時刻、乗客数などを正確に記録します。
人々の暮らしに欠かせない移動手段であるバスの運行維持のため、特定技能バスドライバーの活躍が期待されています。
特定技能「自動車運送業」の外国人材を受け入れるための要件
特定技能「自動車運送業」で外国人材を受け入れるには、受け入れを希望する企業と、日本で働きたい外国人材のそれぞれが、定められた要件を満たす必要があります。これは、外国人材が安全に働き、制度が適正に運用されるための重要なルールです。
まず、外国人材を受け入れる企業側には、どのような要件が求められるのか詳しく解説します。
参照元:
- 特定技能制度における自動車運送業分野の制度概要(国土交通省)
- 「自動車運送業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」に係る運用要領(法務省等)
- 自動車運送業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針(法務省等)
企業側に求められる要件
特定技能「自動車運送業」分野で外国人材を受け入れる企業には、3つの区分で共通する要件に加え、区分ごとに特有の要件が定められています。トラック・タクシー・バスの各運送業に共通して求められる要件は次のとおりです。
- 協議会への協力:国土交通省が設置する「自動車運送業分野特定技能協議会」の構成員となり、協議会に対して必要な協力を行うこと
- 行政機関への協力:国土交通省またはその委託を受けた者が行う調査や指導に対し、必要な協力を行うこと
- 雇用形態:特定技能外国人を直接雇用すること(派遣は不可)
- 登録支援機関への委託(該当する場合):1号特定技能外国人支援計画の実施を登録支援機関に委託する場合、その登録支援機関も協議会の構成員であり、必要な協力を行う者であること
以上の共通要件に加え、各業種特有の要件も定められています。
トラック運送業
トラック運送業で特定技能外国人を受け入れる企業には、共通要件に加えて、主に次の要件を満たすことが求められます。
- 事業の種類:道路運送法に基づく道路貨物運送事業(第二種貨物利用運送事業を含む)を経営していること
- 安全性・労働環境に関する認証:以下のいずれかの認証・認定を受けていること
・運転者職場環境良好度認証制度(働きやすい職場認証制度)の認証
・全国貨物自動車運送適正化事業実施機関が認定する安全性優良事業所(Gマーク)の認定
タクシー運送業
タクシー運送業で特定技能外国人を受け入れる企業には、共通要件に加え、旅客輸送の安全確保と質の高いサービス提供のため、次のものが求められます。
- 事業の種類:道路運送法に基づく道路旅客運送事業(一般乗用旅客自動車運送事業)を経営していること
- 安全性・労働環境に関する認証:運転者職場環境良好度認証制度(働きやすい職場認証制度)の認証を受けていること(Gマークのみでは不可)
- 教育体制:受け入れる予定の特定技能外国人に対し、新任運転者研修(旅客自動車運送事業運輸規則に基づく指導・監督・適性診断等)を実施すること
バス運送業
バス運送業で特定技能外国人を受け入れる企業にも、共通要件に加え、タクシー運送業と同様に、旅客の安全を最優先するための要件が課せられています。
- 事業の種類:道路運送法に基づく道路旅客運送事業(一般乗合旅客自動車運送事業、一般貸切旅客自動車運送事業、または特定旅客自動車運送事業)を経営していること
- 安全性・労働環境に関する認証:運転者職場環境良好度認証制度(働きやすい職場認証制度)の認証を受けていること。(Gマークのみでは不可)
- 教育体制:受け入れる予定の特定技能外国人に対し、新任運転者研修(旅客自動車運送事業運輸規則に基づく指導・監督・適性診断等)を実施すること
外国人材に求められる要件
特定技能「自動車運送業」分野で働く外国人材には、「技能水準」「日本語能力水準」「運転免許」で一定の要件を満たすことが求められます。これらの具体的な基準は、トラック・タクシー・バスの業種によって異なります。ここでは、各業種について求められる具体的な要件を解説します。
トラック運送業
トラック運転手として特定技能1号の在留資格を取得するには、次の要件を満たす必要があります。
要件 | 詳細 |
---|---|
技能水準 | 試験 「自動車運送業分野特定技能1号評価試験(トラック)」に合格すること 内容 運行前後の点検、安全な運行、乗務記録の作成、荷崩れを防ぐ貨物の積付けなど、運行管理者等の指導・監督下で業務を行うための知識・技能を確認する |
日本語能力水準 | 次のいずれかの試験に合格すること ・国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic) ・日本語能力試験(JLPT)N4以上 日常会話ができて、生活に支障がない程度の日本語能力が求められる |
運転免許 | ・日本国内で有効な第一種運転免許を取得していること ※運転するトラックの大きさに応じた区分の免許が必要 例:普通、準中型、中型、大型 ・海外の免許からの切り替え(外免切替)も含まれる |
以上の要件を満たすことで、トラック運送事業におけるドライバーとして、即戦力で活躍できるレベルにあると認められます。
タクシー運送業
タクシー運転手として特定技能1号の在留資格を取得するには、旅客輸送の安全と接遇が重視されるため、トラック運送業より高いレベルの要件が求められます。
要件 | 詳細 |
---|---|
技能水準 | 試験 「自動車運送業分野特定技能1号評価試験(タクシー)」に合格すること 内容 運行前後の点検、安全な運行、乗務記録の作成、乗客対応などに加え、第二種運転免許の学科試験に準拠した内容も含まれる |
日本語能力水準 | 日本語能力試験(JLPT)N3以上に合格すること 乗客への説明や緊急時の対応が必要となるため、日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できる能力(N4より高いレベル)が求められる |
運転免許 | 日本国内で有効な第二種運転免許(普通免許)を取得していること |
その他 | 特定技能所属機関(タクシー会社)による新任運転者研修を修了していること |
旅客の安全と快適な移動を担うため、より高度な日本語能力と専門知識、資格が要求されます。
バス運送業
バス運転手として特定技能1号の在留資格を取得する場合も、タクシー同様、多くの乗客の命を預かるため、高い水準の要件を満たす必要があります。
要件 | 詳細 |
---|---|
技能水準 | 試験 「自動車運送業分野特定技能1号評価試験(バス)」に合格すること 内容 ・運行前後の点検、安全な運行、乗務記録の作成、乗客対応などに加え、第二種運転免許の学科試験に準拠した内容も含まれる |
日本語能力水準 | ・日本語能力試験(JLPT)N3以上に合格すること 乗客への案内や緊急時の的確な対応が求められるため、日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できる能力(N4より高いレベル)が必要 |
運転免許 | 日本国内で有効な第二種運転免許を取得していること ※運転するバスの種類に応じた区分の免許が必要 例:中型、大型 |
その他 | 特定技能所属機関(バス会社)による新任運転者研修を修了していること |
公共交通機関の運転手として、安全運行に関する知識・技能はもちろん、乗客とのコミュニケーション能力も重要視されます。
特定技能「自動車運送業」で外国人材を採用するまでの流れ
特定技能「自動車運送業」で外国人材を採用するまでの流れは、いくつかの段階を経て進められます。特に、日本の運転免許を持っていない場合は、免許取得のための「特定活動」期間が必要になるなど、他の分野とは異なる点が特徴です。
採用決定から就労開始まで相応の時間を要するため、計画的な準備が欠かせません。ここでは、採用の流れをステップごとに解説します。
- 企業側の受け入れ要件を確認する
- 採用候補となる外国人材の要件を確認する
- 人材募集・面接を実施する
- 雇用契約を締結する
- 外国人材が各試験に合格する
- 運転免許を取得する
- 新任運転者研修を実施する(タクシー・バスのみ)
- 特定技能「自動車運送業」を申請する
- 入社に向けた事前準備を行う
企業側の受け入れ要件を確認する
特定技能「自動車運送業」分野で外国人材を受け入れるには、企業側も業種に応じた特定の要件を満たす必要があります。
■共通要件
- 国土交通省が設置する「自動車運送業分野特定技能協議会」の構成員となり、協議会に対して必要な協力を行うこと
- 国土交通省またはその委託を受けた者が行う調査や指導に対し、必要な協力を行うこと
- 特定技能外国人を直接雇用すること(派遣は不可)
- 1号特定技能外国人支援計画の実施を登録支援機関に委託する場合、その登録支援機関も協議会の構成員であり、必要な協力を行う者であること
次に業種ごとの要件を確認します。
トラック運送業
- 道路貨物運送事業(第二種貨物利用運送事業を含む)を経営している
- 安全性・労働環境に関する、以下のいずれかの認証を受けている
・運転者職場環境良好度認証制度(働きやすい職場認証制度)
・安全性優良事業所(Gマーク)
タクシー運送業
- 道路旅客運送事業(一般乗用旅客自動車運送事業)を経営している
- 運転者職場環境良好度認証制度(働きやすい職場認証制度)の認証を受けている
- 新任運転者研修を実施している
バス運送業
- 道路旅客運送事業(一般乗合、一般貸切、または特定旅客自動車運送事業)を経営している
- 運転者職場環境良好度認証制度(働きやすい職場認証制度)の認証を受けている
- 新任運転者研修を実施している
採用候補となる外国人材の要件を確認する
次に採用候補となる外国人材の要件を確認します。なお、トラック・タクシー・バスの業種によって要件は異なるため注意が必要です。
トラック運送業
- 「自動車運送業分野特定技能1号評価試験(トラック)」に合格している
- 次のいずれかの試験に合格している
・国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)
・日本語能力試験(JLPT)N4以上 - 日本国内で有効な第一種運転免許を取得している
※運転するトラックの大きさに応じた区分の免許が必要
※海外の免許からの切り替え(外免切替)も含まれる
タクシー運送業
- 自動車運送業分野特定技能1号評価試験(タクシー)」に合格している
- 日本語能力試験(JLPT)N3以上に合格している
- 日本国内で有効な第二種運転免許(普通免許)を取得している
- 特定技能所属機関(タクシー会社)による新任運転者研修を修了している
バス運送業
- 「自動車運送業分野特定技能1号評価試験(バス)」に合格している
- 日本語能力試験(JLPT)N3以上に合格している
- 日本国内で有効な第二種運転免許を取得している
※運転するトラックの大きさに応じた区分の免許が必要 - 特定技能所属機関(バス会社)による新任運転者研修を修了している
参照元:
人材募集・面接を実施する
受け入れ要件の確認後、次は具体的な外国人材の募集と選考(面接)のステップに進みます。自社の状況に合った方法で、適切な候補者を見つけることが重要です。次の方法を検討し、自社に最適な人材を見つけるための選考を進めていきます。
人材の探し方(募集方法)
- 人材紹介会社・登録支援機関へ依頼する:国内外の特定技能人材に特化した機関を活用することで、候補者のスクリーニング(事前選別)や面接日程の調整などを任せられる場合があります。
- ハローワーク(公共職業安定所)で求人を募集する
面接の実施方法
- 実施方法:対面での面接が基本ですが、候補者が海外や遠方にいる場合はオンライン面接も有効な手段です。
確認すべきポイント
- 運転経験や関連スキル
業務に必要なコミュニケーション能力
日本の交通ルールや文化に対する理解と適応しようとする意欲
雇用契約を締結する
採用する外国人材が決まったら、受け入れ企業(特定技能所属機関)と外国人材の間で「特定技能雇用契約」を締結します。契約締結にあたっては、次の点に特に注意が必要です。
- 報酬:同じ業務に従事する日本人従業員と同等以上の給与水準を設定する必要がある。
- 福利厚生:日本人従業員と同様に、社会保険への加入など、差別的な扱いがないようにしなければならない。
- 労働時間:日本人従業員と同じ所定労働時間であることが求められる。
また、雇用契約を結んだ後には、次の対応が義務付けられています。
- 事前ガイダンスの実施:契約内容(業務内容、報酬、労働条件など)について、外国人材が十分に理解できる言語で、時間をかけて丁寧に説明する。
- 健康診断の実施:規定された項目について健康診断を受けさせ、その結果を申請時に提出します(日本在住者は申請前1年以内、海外在住者は申請前3ヶ月以内のもの)。
これらの条件を遵守し、適正な雇用契約を締結することが、特定技能外国人材のスムーズな受け入れと、後のトラブル防止につながります。
参照元:特定技能外国人受入れに関する運用要領(出入国在留管理庁)
外国人材が各試験に合格する
特定技能「自動車運送業」の在留資格を取得するためには、外国人材は次の2種類の試験に合格し、必要なスキルと日本語能力を証明する必要があります。
- 自動車運送業分野特定技能1号評価試験に合格する。
- 業務区分ごとに必要な日本語能力試験に合格していること。
これらの試験は、特定技能「自動車運送業」の在留資格を申請する前に合格している必要があります。
在留資格を「特定活動」に変更する
特定技能「自動車運送業」分野で働くためには、日本国内で有効な運転免許(トラックは第一種、タクシー・バスは第二種)を取得していることが大前提です。しかし、海外在住の方や既に日本にいて運転免許を持っていない方が、来日後すぐに免許を取得するのは時間的に難しい場合があります。
そこで、技能試験合格・企業決定済みの外国人材が、免許取得等の準備期間として「特定活動」の在留資格を得られる場合があります。本格的に特定技能1号として就労を開始する前の、いわば「橋渡し」の期間です。
この「特定活動」の概要は、次のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
目的 | 日本の運転免許取得や新任運転者研修(バス・タクシーの場合)を行うための準備期間 |
対象者 | 日本の運転免許を持っていない、特定技能(自動車運送業)での就労希望者 |
申請手続き | ・海外から来日する場合 「在留資格認定証明書交付申請」を地方出入国在留管理局に行う ・すでに他の在留資格で日本にいる場合 「在留資格変更許可申請」を地方出入国在留管理局に行う |
在留期間 | ・トラック運転手の場合は最長6ヶ月(更新は原則不可) ・バス・タクシー運転手の場合は最長1年(更新は原則不可) |
期間中に可能な活動 | ・自動車教習所への通学 ・運転免許試験の受験 ・新任運転者研修の受講(バス・タクシーのみ) ・雇用契約に基づき、運転を伴わない関連業務への従事 例:車両の清掃、荷役補助など |
「特定活動」は、あくまで運転免許取得等の準備のためのものです。期間中に必要な免許取得や研修が完了したら、速やかに「特定技能1号」への在留資格変更申請を行う必要があります。変更申請が許可されてはじめて、特定技能外国人として運転業務に従事できるようになります。
参照元:
運転免許を取得する
特定技能「自動車運送業」でドライバーとして業務を行うには、日本国内で有効な運転免許証の取得が必須条件となります。まだ免許を持っていない外国人材は、前述の「特定活動」の在留期間中に取得を目指します。
取得が必要な運転免許の種類と取得方法は次のとおりです。外国人材のスムーズな免許取得を支援するために、企業は教習所や手続きに関する情報提供、日本語での学科試験対策、費用の一部補助といったサポートを検討することが効果的です。
取得が必要な運転免許の種類
- トラック運送業:第一種運転免許
- タクシー・バス運送業:第二種運転免許
運転免許の取得方法
- 日本の自動車教習所に通い、試験を受ける:教習所で技能と学科を学び、運転免許センター等で試験に合格する方法です。
- 外国免許切り替え(外免切替):母国等で取得した有効な運転免許証を、日本の運転免許証に切り替える手続きです。
新任運転者研修を実施する(タクシー・バスのみ)
乗客の安全確保が最優先されるため、特定技能外国人材に対して日本の道路運送法に基づく「新任運転者研修」を実施することが法律で義務付けられています。この研修では、次のようなカリキュラムに沿って行われます。
- 関係法令:道路運送法、道路交通法など、業務に関連する法律。
- 安全運転:危険予測トレーニング、事故事例研究、車両の特性など。
- 車両構造:日常点検に必要な基本的な知識。
- 地理:営業区域内の主要な道路や施設に関する知識。
- 旅客対応:接遇マナー、バリアフリー対応、緊急時の対応など。
研修は座学と実技(車両を用いた訓練)を組み合わせて行われます。なお、第二種運転免許を取得した後、実際に乗務を開始する前までに検収を研修しなければなりません。
参照元:特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領(法務省・国土交通省)
特定技能「自動車運送業」を申請する
外国人材が特定技能ドライバーとして働くために必要な要件をすべて満たしたら、「特定技能1号(自動車運送業)」の在留資格申請を行います。申請手続きの概要は次のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
申請の種類 | ・既に「特定活動(運転免許取得準備)」で日本にいる場合 →「在留資格変更許可申請」 ・海外にいて、必要な要件をすべて満たしている場合 →「在留資格認定証明書交付申請」 |
申請先 | ・地方出入国在留管理局 |
主な必要書類 | ■申請書類等 ・申請書(変更許可申請書または認定証明書交付申請書) ・写真 ・在留資格認定証明書交付申請書または在留資格変更許可申請書 ・特定技能外国人の報酬に関する説明書 ・特定技能雇用契約書の写し ・雇用条件書の写し ・事前ガイダンスの確認書 ・健康診断個人票(参考様式第1-3号) ・受診者の申告書(参考様式第1-3号別紙) ・1号特定技能外国人支援計画書(参考様式第1-17号) ・雇用の経緯に係る説明書(第1-16号) ・技能試験や日本語能力試験の合格証明書の写し |
この申請が許可されると、晴れて特定技能「自動車運送業」のドライバーとして日本で就労を開始できます。
参照元:自動車運送業分野に関する必要な書類(出入国在留管理庁)
入社に向けた事前準備を行う
外国人材の入社日が確定したら、日本での生活と仕事を円滑にスタートできるよう、企業はさまざまな準備とサポートを行う必要があります。事前準備は特定技能制度において企業に義務付けられている支援であり、外国人材の定着にもつながる重要な取り組みです。
入社前後に企業が行う主な準備・支援は次のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
来日時・入居時のサポート | ■出入国時の送迎 ・入国時に空港等から事業所または住居への送迎 ・帰国時には住居等から空港の保安検査場まで送迎・同行 ■住居の確保 ・社宅を提供、賃貸物件探しの手伝い ・賃貸契約時に連帯保証人になるなどの支援 ■生活インフラ契約支援 ・銀行口座の開設 ・携帯電話、電気・ガスなどの契約手続きをサポート |
生活開始時のサポート | ■生活オリエンテーション ・日本の生活ルール(ゴミ出し、騒音等)の説明 ・公共交通機関の利用方法説明など ■公的手続きへの同行 ・市区町村役場での住民登録 ・社会保障や税金に関する手続きに同行・書類作成の補助 |
継続的なサポート | ■日本語学習の機会提供 ・日本語教室や学習教材の情報を提供など ■相談・苦情への対応 ・仕事や生活上の悩み・相談に対して、必要な助言や指導 ■日本人との交流促進 ・地域のお祭りやイベントへの参加を促す ・地域社会に溶け込めるような交流の機会の提供 ■定期的な面談 ・外国人材本人およびその直属の上司等と、3ヶ月に1回以上の頻度で定期的に面談 ・労働基準法違反等があれば行政機関へ通報 |
これらの支援業務は、自社において支援、もしくは専門的な知識を持つ「登録支援機関」に委託することも可能です。支援体制を整えられれば、外国人材の活躍と長期的な定着につながるでしょう。
一連の申請手続きや受け入れ準備、入社後の支援体制作りに不安がある企業様は、専門家への相談がおすすめです。特に、豊富な実績を持つ明光グローバルのような登録支援機関を活用することで、スムーズな受け入れ体制が実現できます。
参照元:1号特定技能外国人支援・登録支援機関について(出入国在留管理庁)
特定技能の申請でお悩みの方は明光グローバルにご相談ください
特定技能「自動車運送業」の受け入れプロセスは、要件確認から申請書類の準備、採用後の支援計画作成まで多岐にわたり、専門的な知識が求められます。特に初めて外国人材を採用する場合は、専門機関に相談しましょう。最後に、外国人材の育成と紹介に豊富な実績を持つ明光グローバルについて紹介します。
明光グローバルとは
明光グローバルは、外国人材の就労機会の拡大と育成を通じて、日本企業の持続的な成長を支援する教育系人材サービスです。
明光ネットワークジャパングループの40年以上にわたる個別指導の教育実績と、10年以上の日本語教育の経験を活かし、外国人材の育成や企業の人材課題解決に特化したサービスを展開しています。
また、JCLI日本語学校や早稲田EDU日本語学校で培った豊富な教育ノウハウをもとに、特定技能試験対策から業界別の専門教育まで、多様なニーズに対応できるのも強みです。さらに、外務省からEPA事業を4期連続で受託するなど、高い信頼性と実績があります。
明光グローバルの主要サービス
事業 | サービス |
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教育研修事業 | ・eラーニングによる日本語教育(スマホアプリに対応) ・対面/オンラインによる日本語レッスン ・外国籍人材と日本人に向けた各種研修プログラム ・外国籍人材に向けた各種試験対策講座 |
人材紹介事業 | ・特定技能人材の紹介 ・外国籍エンジニアの人材紹介 ・教育伴走型の登録支援サービス |
特定技能人材やエンジニアの紹介に加え、外国人社員向けの教育・研修サービスも提供しています。単なる日本語教育にとどまらず、企業で即戦力となるための実践的なスキル習得を重視し、総合的な人材育成に取り組んでいます。
特定技能人材紹介サービス
特定技能人材紹介サービスとは、特定技能人材の導入から定着まで、一気通貫したサポートが受けられるコンサルティングサービスです。
明光グローバルは、特定技能1号人材の登録支援機関として認定されています。登録支援機関とは、特定技能1号の人材への支援を適切に実施し、出入国在留管理庁への各種届出を滞りなく行うために設置されているサポート機関です。
企業が登録支援機関と委託契約を締結すると、必要に応じて特定技能人材への支援を登録支援機関に委託することができます。具体的には、ご契約いただいた企業においては、特定技能人材の紹介に加えて、次のサービスをご利用いただくことが可能です。
- 特定技能人材の採用に向けた各種申請書類作成のサポート
- 特定技能人材の生活サポート
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- 特定技能人材との定期面談
明光グローバルのサービスが選ばれている主な理由には、次の3つのサポート体制にあります。
サポート内容 | 概要 |
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採用支援 | ・SNSを活用した独自の採用ルート ・提携教育機関との連携による人材確保 ・母国語スタッフによる適性評価 |
充実した入社前後のサポート | ・在留資格申請の手続き代行 ・住居やライフラインの整備 ・銀行口座開設など初期手続きの支援 |
効果的な定着支援と能力開発 | ・定期的な面談によるフォロー ・母国語による相談窓口の設置 ・独自開発の外国人向けオンライン日本語学習ツール「Japany」による日本語学習 |
こうした包括的なサポートにより、半年で100名以上の紹介実績を持つ企業様もいます。特定技能人材の採用をお考えの企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。
明光グローバルの強み
明光グローバルの強みは、「集客力」「教育力」「専門性」の3点です。
明光グローバルは、SNSや各種メディアなどを通じて外国人材を数多く集客しています。また、グループ会社のネットワークを通じて、各種教育機関からも優秀な人材を獲得しています。潤沢な候補者情報を獲得しているからこそ、企業にぴったりの人材を選抜し、推薦することが可能なのです。
まとめ
特定技能「自動車運送業」は、深刻な人手不足やドライバーの高齢化、そして「物流の2024年問題」といった社会的課題に対応するために創設された新たな在留資格制度です。トラック、タクシー、バスの3分野で外国人材の就労が可能となっており、それぞれの業務内容や必要な要件には違いがあります。
外国人材を受け入れる企業には、制度理解に加え、適切な雇用条件の整備や日本語能力を含む支援体制の構築が求められます。また、受け入れに際しては、試験や手続きの準備、在留資格の申請、配属後のフォローまで一貫した対応が不可欠です。
特定技能制度の適用には、企業・外国人材双方の要件を満たすことが前提であり、慎重かつ計画的な対応が必要です。
こうした制度の活用に不安を感じる企業の皆さまには、特定技能人材の紹介から入社後のフォローアップまで包括的な支援を提供している明光グローバルの活用をおすすめします。採用計画の立案から、申請・教育・定着支援まで丁寧にサポートすることで、安定した外国人材の受け入れと長期的な戦力化を実現できます。
少しでもご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。