機械金属加工分野で人手不足を解消し、未来へ技術をつなぐには、特定技能外国人材の活用が有効な対策の一つです。
日本のものづくりの中核を担う機械金属加工分野は、深刻な人手不足と技術承継の課題に直面しています。この状況を打開するため、多くの企業が即戦力となる外国人材を受け入れられる「特定技能」制度に注目しています。特に、在留期間に上限がなく長期雇用が可能な「特定技能2号」は、安定した人材確保と技術承継を実現する上で重要です。
しかし、制度が複雑で、導入に踏み出せない企業様も多いのではないでしょうか?今回は、特定技能「工業製品製造業」の「機械金属加工区分」について、制度の全体像、17種類の業務区分、今後の見通しについて解説します。
特定技能「工業製品製造業」分野の概要
日本の基幹産業である製造業は、深刻な人手不足に直面しています。解決策として注目されるのが、専門的な技能を持った外国人材を受け入れる「特定技能」制度です。ここでは、特定技能「工業製品製造業」の概要と実際に行える業務区分について解説します。
参照元:
- 工業製品製造業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針(法務省)
- 特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領(法務省・経済産業省)
- 製造業における特定技能外国人材の受入れについて(経済産業省)
特定技能「工業製品製造業」とは
特定技能「工業製品製造業」とは、国内での人材確保が難しい状況にある製造業において、専門的な知識や技能を持った外国人材を即戦力として受け入れるための在留資格制度です。 日本の基幹産業であるものづくり分野の事業継続と発展を目的としており、深刻化する人手不足への対応策として注目されています。
特定技能「工業製品製造業」を取得するために、外国人材は次の要件を満たす必要があります。
要件 | 概要 |
---|---|
技能水準 | ・経済産業省が定める「製造分野特定技能1号評価試験」に合格する ・または技能実習2号を良好に修了していること |
日本語能力 | ・日常生活や業務に支障がないレベルの日本語能力(国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験(JLPT)N4以上)を保持している |
最初から要件を満たしていることで、企業は一定のスキルとコミュニケーション能力を備えた人材を確保できるため、採用後すぐに現場での活躍が期待できます。
特定技能「工業製品製造業」の業務内容
特定技能「工業製品製造業」分野で外国人材が働ける業務は、専門性に応じて10の区分に分けられています。 2024年の制度改正により、従来の3区分から7区分が新たに追加され、受け入れ可能な業種の幅が大きく広がりました。 各業務区分の概要は次のとおりです。
業務区分 | 概要 |
---|---|
機械金属加工区分 | 素形材製品や産業機械等の切削・研磨・組立など、製造工程の作業を行う |
電気電子機器組立て区分 | 家電製品や産業用機器に用いられる電気・電子部品の製造工程、組立工程の作業を行う |
金属表面処理区分 | 製品の耐久性向上や装飾を目的とした、めっきや塗装などの表面処理加工等の作業を行う |
紙器・段ボール箱製造区分 | 商品の包装や輸送の衝撃を和らげる紙製の箱や段ボールの製造行程の作業を行う |
コンクリート製品製造区分 | 建築・土木分野などで利用されるコンクリート製品の製造工程の作業を行う |
RPF製造区分 | 産業廃棄物の古紙や廃プラスチックを原料とした固形燃料(RPF)の製造行程における破砕・成形等の作業を行う |
陶磁器製品製造区分 | 食器やタイル、工業用セラミックスなどの陶磁器製品の製造工程の作業を行う |
印刷・製本区分 | 書籍やカタログ、包装紙などの印刷から、断裁、製本までの一連の製造工程の作業を行う |
紡織製品製造区分 | 糸の加工から染色、布地を織り上げるまで、紡織製品の製造行程の作業を行う |
縫製区分 | 衣類や自動車のシートなど、布製品の裁断、縫製、仕上げなど縫製工程の作業を行う |
以上の区分の中から、自社の事業に該当する業務を選ぶことで、企業は人手不足の解消と生産性の向上を両立させることが期待されています。
特定技能「工業製品製造業」分野の「機械金属加工区分」とは
特定技能「工業製品製造業」の中でも、日本のものづくりの根幹を支えるのが「機械金属加工区分」です。多くの製造業にとって最も関連性が高く、外国人材受け入れのニーズが大きい分野といえるでしょう。ここでは、機械金属加工区分の概要、特定技能1号・特定技能2号の違い、実際に活躍する外国人材数、業務区分について解説します。
参照元:
機械金属加工区分の概要
機械金属加工区分は、金属やプラスチックなどの素材を使って、鋳造・鍛造・機械加工・溶接などの工程を担う在留資格です。日本のものづくりの中核を担う業務を幅広くカバーしており、多くの企業で受け入れが進んでいます。
特定技能外国人材には、自社の製品や工程を理解し、主体的に業務を遂行する能力が求められます。特に、熟練した技術が求められる「特定技能2号」では、自身の専門技術を活かしながら、他の技能者への指導や工程管理を担う現場のリーダーとしての役割も期待されるのが特徴です。
機械金属加工区分は、即戦力となる人材から将来の管理職候補まで、企業のニーズに応じた幅広い層の外国人材の活躍を後押ししています。
特定技能1号・特定技能2号の違い
特定技能「工業製品製造業」の機械金属加工区分には、「特定技能1号」と、より高度な技能を持つ人材を対象とした「特定技能2号」の2つの在留資格があります。両者の最も大きな違いは、在留期間の上限と家族の帯同可否にあり、長期的な視点での人材育成や定着を目指す上で重要です。
特定技能1号と2号の違いをまとめると、下の表のようになります。
項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
---|---|---|
求められる技能 | 相当程度の知識・経験 | 熟練した技能 |
在留期間 | 1年,6ヶ月または4ヶ月ごとの更新 (通算で上限5年) | 3年、1年または6ヶ月ごとの更新 (更新回数に制限なし) |
家族の帯同 | 原則不可 | 要件を満たせば可能 (配偶者・子) |
日本語能力試験 | 必要 | 不要 |
特定技能1号は即戦力として現場を支える人材、特定技能2号は現場のリーダーとして複数の技能者を指導・管理できる人材と位置付けられています。
機械金属加工区分で活躍する外国人材数
機械金属加工区分は、特定技能制度が適用される全分野の中でも、特に多くの外国人材に選ばれている主要分野の一つです。出入国在留管理庁の発表によると、この区分で活躍する特定技能外国人材の数は年々増加しており、企業からのニーズの高さがうかがえます。
■機械金属加工区分の外国人材数の推移
年 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
---|---|---|
令和4年(2022年)12月末 | 9,076 | 0 |
令和5年(2023年)12月末 | 31,605 | 1 |
令和6年(2024年)12月末 | 36,067 | 85 |
特に特定技能1号は、令和4年(2022年)末からわずか2年で約4倍に急増しており、製造現場において外国人材確保の手段として制度が定着してきたことが見て取れます。また、令和5年(2023年)からは特定技能2号の制度運用も開始されたため、長期雇用を視野に入れた受け入れが本格化し始めています。
今後もこの傾向は続くとみられ、機械金属加工分野における外国人材の重要性はますます高まっていくでしょう。
参照元:
- 特定技能1号在留外国人数(令和6年末)(出入国在留管理庁)
- 特定技能2号在留外国人数(令和6年末)(出入国在留管理庁)
- 特定技能在留外国人数(令和5年末)(出入国在留管理庁)
- 特定技能在留外国人数(令和4年末)(出入国在留管理庁)
- 特定技能2号の対象分野の追加について(出入国在留管理庁)
機械金属加工区分の業務内容
特定技能「機械金属加工区分」で外国人材が従事できる業務は、2024年の制度改正により対象業務が拡大され、2025年8月現在では次の17種類の業務が定められています。
- 鋳造
- 鍛造
- ダイカスト
- 機械加工
- 金属プレス加工
- 鉄工
- 工場板金
- 仕上げ
- プラスチック成形
- 機械検査
- 機械保全
- 電子機器組立て
- 塗装
- 溶接
- 工業包装
- 強化プラスチック成形
- 金属熱処理業
これらの業務内容は、素材を溶かして型に流し込む作業や最終的な品質をチェックする検査業務など、製品が完成するまでのさまざまな工程を担っています。次の章では、17種類の業務区分の特徴について解説します。
機械金属加工区分17種の特徴
特定技能「機械金属加工区分」では、17種類の業務で外国人材が活躍できます。自動車や建設、精密機械など幅広い分野の製造工程において、重要な役割を担います。ここでは、業務内容と特徴について解説します。どの業務で外国人材に活躍してもらいたいのか考慮しながら読み進めてみてください。
鋳造
鋳造は金属を高温で溶かし、製品と同じ形状の空洞を持つ鋳型に流し込んで冷やし固めることで、目的の形状の製品を作り出す加工方法です。主な業務は、次の製造工程に分かれています。
- 造型工程:製品の原型となる砂型などを作成する
- 溶解工程:材料となる金属を溶解炉で溶かし、成分や温度を調整する
- 鋳込み工程:溶かした金属(溶湯)を鋳型に流し込む
- 仕上げ工程:冷却・凝固後に型から取り出し、不要なバリなどを除去する
自動車のエンジン部品やマンホールの蓋、水道の蛇口など、身の回りにある多くの製品が鋳造技術によって生み出されており、日本のものづくりを支える重要な役割を担っています。
鍛造
鍛造は、金属材料をハンマーやプレス機で叩いたり、圧力をかけたりして成形する加工方法です。金属の内部組織を整えながら加工するため、鋳造品よりも強度や粘り強さに優れた製品を作れるのが大きな特徴です。想定される主な業務には、次のようなものがあります。
- 加熱工程:金属材料を成形に適した温度まで加熱する
- 成形工程:熱した材料にハンマーやプレス機で圧力を加えて目的の形状にする
- 冷却・仕上げ工程:成形した製品を冷却し、不要な部分の切断や品質検査を行う
鍛造の技術は自動車のクランクシャフトや航空機の部品、工具のレンチなど、特に高い耐久性が求められる重要なパーツの製造に欠かせません。そのため、特定技能外国人材には機械の正確な操作をはじめ、製品の品質を左右する専門的な知識も求められます。
ダイカスト
ダイカストは、アルミニウムや亜鉛合金など溶かした金属を、精密な金型に高圧・高速で注入し、製品を成形する鋳造技術の一種です。寸法精度が高く、表面が滑らかな製品を短時間で大量生産できるため、自動車部品から家電製品まで幅広く利用されています。主な製造工程は、次のとおりです。
- 溶解・鋳込み:金属材料を溶かし、ダイカストマシンで金型へ高圧注入する
- 製品の取り出し:金型内で固まった製品を、ロボットや手作業で取り出す
- 仕上げ・検査:製品に付着した不要なバリを除去し、寸法や外観を検査する
自動車のエンジン部品やノートパソコンの筐体など、薄肉で複雑な形状の部品製造に欠かせない技術であり、生産現場で安定した品質を維持する重要な役割を担います。
機械加工
機械加工は、旋盤やマシニングセンタなどの工作機械を使い、金属などの材料を削ったり、穴を開けたりして高精度な部品を作り出す技術の総称です。設計図面に基づき、ミクロン単位の精度で加工できるため、現代のあらゆる工業製品に欠かせない技術になっています。主な加工方法には、次のようなものがあります。
- 切削加工:刃物を使って材料を削り、形を整える(旋盤、フライス盤など)
- 研削加工:砥石を使い、材料の表面を微細に削って滑らかに仕上げる
- 穴あけ加工:ドリルなどの工具で、材料に穴を開ける
加工データの入力、材料や刃物を機械にセットする段取り作業、機械の操作、加工後の部品が図面通りか測定・検査する業務などが任されます。図面を正確に読み解く力と、機械を操作するスキルが求められる、ものづくりの中核を担う仕事です。
金属プレス加工
金属プレス加工は、金属の板材を金型で挟み込み、強い圧力をかけて成形する技術です。同じ形状の製品を短時間で大量に生産できるため、家電製品のボディやフレームなど、私たちの身の回りの多くの製品で活用されています。主な加工方法には、次のようなものがあります。
- せん断加工:板材を特定の形に切断・打ち抜く
- 曲げ加工:板材をL字やU字などに折り曲げる
- 絞り加工:一枚の板から、コップのような継ぎ目のない容器状の形を作る
プレス機械の操作、製品の品質を左右する金型の交換・メンテナンス、材料のセット、加工後の品質検査などの業務を任されます。高品質な製品を効率よく生産する、製造ラインの中核を担う仕事です。
鉄工
鉄工は、鉄骨や鋼板などの鋼材を図面に基づき、加工・組立て、製品や構造物を作り上げる仕事です。建築物の骨組みや橋梁、産業機械のフレームなど、大型で高い強度が求められる製品を製造し、社会のインフラを支える重要な役割を担っています。主な業務は、多岐にわたります。
- 切断:ガスやプラズマを使い、図面通りの寸法に鋼材を切断する
- 穴あけ:ボール盤などの機械で、ボルトを通すための穴を開ける
- 曲げ加工:プレス機を使い、鋼材を必要な角度に曲げる
- 組立て・溶接:加工した部材同士を正確に組み上げ、溶接で強固に接合する
この仕事は、大きな部材を扱うため、クレーンや玉掛けなどの資格が必要になる場面もあります。図面を理解し、さまざまな工具や機械を駆使して、巨大な構造物をミリ単位の精度で組み上げていく、ダイナミックさと精密さが同時に求められる仕事です。
工場板金
工場板金は、金属の薄い板を切断・曲げ・溶接などの方法で加工し、立体的な製品を作り上げる仕事です。専用の金型を使わず、汎用的な機械で加工するため、多品種少量生産の製品に多く用いられています。主な作業工程は、次のとおりです。
- 切断・穴あけ:NC工作機械を使い、図面データに基づいて板材を加工する
- 曲げ加工:プレス機で切断された板材を曲げて立体的な形にする
- 組立て:曲げた部品同士を、溶接やネジ止めで組み立て、製品の形に仕上げる
工場板金は、産業機械のカバーや配電盤、厨房機器など、さまざまな製品に応用されています。図面を正確に読み解く能力と、各工程を丁寧に行う精密さが求められる仕事です。
仕上げ
仕上げは、鋳造や機械加工などの工程を経て作られた部品や製品の、最終的な品質を決定づける重要な工程です。仕上げの精度が製品の性能や安全性、見た目の美しさに直結するため、ものづくりの最終段階で品質を保証する役割を担います。主な作業には、次のようなものがあります。
- バリ取り・面取り:加工時のバリをヤスリや工具で除去し、角を滑らかにする
- 研削加工:砥石で部品の表面を削って、高い寸法精度を実現する
- 研磨加工:バフや研磨剤を使って表面を磨き上げ、製品に滑らかさや光沢を与える
これらの作業は、手先の器用さが求められる作業から、専用の機械を操作して行う精密な作業まで多岐にわたります。
プラスチック成形
プラスチック成形は、合成樹脂(プラスチック)を加熱・溶融し、金型を使って目的の形状に固める加工技術です。自動車部品から食品容器、日用品に至るまで、私たちの身の回りのあらゆる製品の製造に利用されています。代表的な成形方法には、次のようなものがあります。
- 射出成形:溶かした樹脂を金型に高圧で注入し、冷却・固化させて成形する
- ブロー成形:溶かした樹脂をパイプ状にし、金型内で空気を吹き込んでペットボトルのような中空の製品を作る
- 押出成形:溶かした樹脂を連続的に押し出し、フィルムやチューブなどを作成する
主に射出成形機などの専門機械を操作し、金型の交換や成形条件(温度、圧力など)の設定、材料の供給、品質検査などを担当します。材料の特性を理解し、不良品を出さないよう安定的に機械を稼働させる、生産ラインの中核を担う重要な仕事です。
機械検査
機械検査は、加工された部品や組み立てられた製品が、設計図面や仕様書通りに作られているかを確認する、品質保証の要となる仕事です。この工程がなければ、製品の品質を保証できず、顧客の信頼を失うことにつながります。検査には、主に次のような種類があります。
- 寸法検査:測定器(ノギスやマイクロメータなど)や、三次元測定機などの精密機器を使い、部品の長さや角度、形状が許容範囲内に収まっているかを測定する
- 外観検査:製品に傷や汚れ、変形がないかを目視で確認する
- 機能検査:製品が仕様書通りに正しく動作するかを確認する
機械検査では、図面を正確に読み解く能力、測定機器を正しく使うスキル、わずかな異常も見逃さない集中力と責任感が求められます。製造工程の最終段階で品質を守る、ものづくりにおいて重要な役割を担います。
機械保全
機械保全は、工場の生産ラインを構成する機械や設備が、安定して稼働できるよう点検、整備、修理を行う仕事です。突発的な故障による生産停止を防ぎ、製造現場の安全性と生産性を維持する、重要な役割を担います。主な保全活動には、次のような種類があります。
- 予防保全:故障や不具合が発生する前に対応する
- 事後保全:機械や設備が故障した際に修理や部品交換を行う
- 改良保全:再発防止や性能向上に向けて、設計や部品の改良を行う
機械の構造を理解し、マニュアルに沿った点検・整備を行うことで、工場の安定稼働を支える貴重な存在として活躍が期待されています。
電子機器組立て
電子機器組立ては、スマートフォンやパソコン、産業用ロボットなど、あらゆる電子機器の製造における中心的な工程です。電子回路が実装されたプリント基板に、ICチップなどの電子部品を取り付け、最終的な製品として完成させる一連の作業を指します。主な作業工程は、次のとおりです。
- プリント基板の組立て:プリント基板に、設計図通りに電子部品を「はんだ付け」で固定する(自動で部品を実装する機械の操作も含まれる)
- 部品の取付けと配線:組み立てた基板や各種部品を、製品の筐体に取り付け、ケーブルで接続する
- 動作点検・検査:組み立てが完了した機器の電源を入れ、設計通りに機能するかを最終確認する
日本の高い技術力を支えるエレクトロニクス産業において、高品質な製品を生み出すために重要な役割を担っています。
塗装
塗装は、製品の表面に塗料を塗り、塗膜を形成する作業です。この工程は、製品の価値を最終的に決定づける重要な役割を担っています。主な塗装方法は、次のとおりです。
- スプレー塗装:吹き付けガンや自動スプレー装置を使い、均一に塗布する
- ディッピング塗装:部品を塗料槽に浸漬し、引き上げて塗膜を形成する
- 電着塗装:水溶性塗料の中で電流を流し、塗膜を均一に付着させる
- 手作業塗布:少量生産や精密部品には、刷毛を使って塗装する
塗膜の厚さや均一に塗布できるかどうかが品質を大きく左右するため、熟練した技術が求められる仕事です。
溶接
溶接は、2つ以上の金属部材を熱や圧力、または両方を用いて接合する加工技術です。部材同士を一体化させることで高い強度を持たせられるため、自動車の車体から建築物の鉄骨、産業機械まで、ものづくりの基幹技術とされています。溶接は、主に次の3つに分かれます。
- 融接:金属の接合部を加熱し、母材や溶加材を溶かして一体化させる
- 圧接:熱や機械的な圧力を加えて金属を接合する
- ろう接:母材よりも融点の低い溶加材(ろう材)を溶かして接合する
溶接部の強度が製品全体の安全性を左右するため、確かな技術と品質管理能力が求められる、責任の大きな仕事です。
工業包装
工業包装は、製造された製品を出荷時の品質のまま、安全で効率的に顧客のもとへ届けるために重要な工程です。製品の形状や特性、輸送方法に応じて最適な梱包を行う、物流の最終段階を担う専門的な仕事といえます。主な業務には、次のものがあります。
- 木箱梱包・スチール梱包:重量物や高価な機械の保護に用いられる
- パレット梱包・スキッド梱包:フォークリフト作業や大量輸送に適しており、効率的な積み下ろしが可能になる
- バリア梱包:防湿・防錆目的で、気密性の高いフィルムやアルミ袋を使用する
- 緩衝包装:エアキャップ、発泡スチロール、段ボールなどで衝撃を吸収し、精密機器や壊れやすい製品を保護する
箱に詰めるだけではなく、安全な輸送を実現するための専門性が求められるので、重要な役割と言えるでしょう。
強化プラスチック成形
強化プラスチック成形は、強化材(ガラス繊維や炭素繊維)とプラスチック樹脂を組み合わせて、複合材料「FRP(繊維強化プラスチック)」の製品を作り出す加工方法です。FRPは、軽くて強く、錆びないという特性からさまざまな分野で活用が広がっています。代表的な成形方法は、次のとおりです。
- ハンドレイアップ法:型にガラス繊維のマットなどを敷き、その上から樹脂をローラーなどで塗り重ねていく
- スプレイアップ法:樹脂と短くカットしたガラス繊維を、専用のスプレーガンで型に吹き付けて成形する
その他にも、RTM法(樹脂注入成形)やコールドプレス法など、さまざまな成形技術があります。材料の特性を理解し、設計通りの強度と形状を実現するために、丁寧で正確な作業が求められる仕事です。
金属熱処理業
金属熱処理は、金属材料を加熱・冷却することで、性質を自在に変化させ、製品の性能や寿命を向上させる専門技術です。製品の形状を変えることなく、内部の組織を変化させて硬さや粘り強さを調整できるのが大きな特徴です。主な熱処理には、次のものがあります。
- 焼入れ:金属を高温に加熱後、急冷して硬度・耐摩耗性を高める
- 焼戻し:焼入れ後に再加熱し、硬さと靭性のバランスを調整する
- 焼なまし:金属を加熱後、ゆっくり冷却して軟化させる
- 焼ならし:加熱後、空冷して組織の均一化や機械的性質の向上を図る
熱処理炉への材料の投入・取り出しや、炉の温度・時間などの条件管理を担います。製品の耐久性や信頼性を最終的に決定づける重要な工程と言えるでしょう。
また従事する業務の関連業務に従事することは差支えないとされていて、以下が挙げられています。
- 原材料・部品の調達・搬送作業
- 各職種の前後工程作業
- クレーン・フォークリフト等運転作業
- 清掃・保守管理作業
ただし、関連業務のみに従事することは認められていません。
特定技能「工業製品製造業」分野における「機械金属加工区分」の今後の見通し
近年の制度改正により、受け入れ分野は多様化し、特定技能2号による高度人材の長期雇用も可能になりました。ここでは、制度拡大による影響と特定技能2号への移行による高度人材化について解説します。
参照元:特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針の一部変更について(法務省)
制度拡大による受け入れ分野の多様化
特定技能制度は、製造業の深刻な人手不足に対応するため、今後も受け入れ分野の拡大と多様化が進むと見込まれています。 実際に、2024年3月の閣議決定では、従来の「機械金属加工」「電気電子機器組立て」「金属表面処理」の3区分に加えて、7つの業務区分が新たに追加されました。
また、「機械金属加工」の業務区分は全17区分へと広がり、これまで制度の活用が難しかった業種の企業でも外国人材の受け入れが進むと予想されます。 制度拡大の流れは今後も続くと考えられ、機械金属加工に関連する工程の人材確保の選択肢が増えるなど、より柔軟な人材戦略を立てる上で大きな追い風となるでしょう。
特定技能2号への移行による高度人材化
特定技能制度の活用において最も注目すべきは、特定技能2号への移行による外国人材の高度人材化です。2023年の制度改正により、機械金属加工区分も特定技能2号の対象となり、企業と人材双方に大きなメリットが生まれています。
■特定技能2号移行による企業側メリット
- 経験豊富な人材を、在留期間の上限なく長期雇用できる
- 将来の現場リーダーや中心人材を計画的に育成できる
- スムーズな技術承継を進められる
一方で、特定技能2号の取得には大きな課題もあります。試験は高度な技能、管理能力、日本語能力が問われるため難易度が高く、独学での合格は難しいとされています。そのため、現状では特定技能2号の取得者数はまだ少ないのが実情です。
優秀な外国人材を特定技能2号へステップアップさせ、長期的な戦力として育成するためには、専門機関による試験対策サポートの活用が有効です。
特定技能2号(製造業)の外国人材の試験合格を目指すなら明光グローバルに任せください
特定技能2号への移行を成功させるには、専門的なサポートが重要になります。そこでご活用いただきたいのが、明光グローバルの試験対策講座です。最後に、明光グローバルの概要、特定技能人材紹介サービスから、合格実績の高い試験対策講座を紹介します。
明光グローバルとは
明光グローバルは、外国人材の就労機会の創出と育成を通して、日本企業の持続的な成長をサポートする教育系人材サービスです。
40年以上の個別指導の教育実績、そして10年以上の日本語教育の実績を持つ明光ネットワークジャパングループの知見を活かし、外国人材の育成と企業の人材課題解決に特化したサービスを提供しています。
JCLIや早稲田EDU日本語学校での豊富な教育ノウハウを活かし、特定技能試験対策から業界別の専門教育まで、幅広いニーズに対応しています。外務省からEPA事業を4期連続で受託するなど、高い信頼性と実績を誇ります。
明光グローバルの主要サービス
事業 | サービス |
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教育研修事業 | ・eラーニングによる日本語教育(スマホアプリに対応) ・対面/オンラインによる日本語レッスン ・外国籍人材と日本人に向けた各種研修プログラム ・外国籍人材に向けた各種試験対策講座 |
人材紹介事業 | ・特定技能人材の紹介 ・外国籍エンジニアの人材紹介 ・教育伴走型の登録支援サービス |
特定技能人材やエンジニアの紹介から、外国人社員向けの教育・研修サービスまで、幅広いノウハウを提供しています。単なる日本語教育にとどまらず、企業での実践力を重視した総合的な人材育成を行っています。
明光グローバルの特定技能人材紹介サービス
特定技能人材紹介サービスとは、特定技能人材の導入から定着まで、一気通貫したサポートが受けられるコンサルティングサービスです。
明光グローバルは、特定技能1号人材の登録支援機関として認定されています。登録支援機関とは、特定技能1号の人材への支援を適切に実施し、出入国在留管理庁への各種届出を滞りなく行うために設置されているサポート機関です。
企業が登録支援機関と委託契約を締結すると、必要に応じて特定技能人材への支援を登録支援機関に委託することができます。具体的には、ご契約いただいた企業においては、特定技能人材の紹介に加えて、次のサービスをご利用いただくことが可能です。
- 特定技能人材の採用に向けた各種申請書類作成のサポート
- 特定技能人材の生活サポート
- 特定技能人材の母国語での相談窓口
- 特定技能人材との定期面談
明光グローバルのサービスが選ばれている主な理由には、次の3つのサポート体制にあります。
サポート内容 | 概要 |
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採用支援 | ・SNSを活用した独自の採用ルート ・提携教育機関との連携による人材確保 ・母国語スタッフによる適性評価 |
充実した入社前後のサポート | ・在留資格申請の手続き代行 ・住居やライフラインの整備 ・銀行口座開設など初期手続きの支援 |
効果的な定着支援と能力開発 | ・定期的な面談によるフォロー ・母国語による相談窓口の設置 ・独自開発の外国人向けオンライン日本語学習ツール「Japany」による日本語学習 |
こうした包括的なサポートにより、半年で100名以上の紹介実績を持つ企業様もいます。特定技能人材の採用をお考えの企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。
製造分野 ビジネス・キャリア検定・特定技能2号評価試験合格講座の概要
明光グローバルでは、特定技能2号という難関資格の取得を目指す方々を力強く支援するため、高い合格実績を誇る「特定技能2号(製造業)試験対策講座」を提供しています。受講者の日本語レベルや学習状況に合わせ、次の3つのコースを用意しています。
コース名 | 内容 |
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講座①ビジネス キャリア検定 | ・講座回数:全25回 ・講座時間:50時間 ・講座時間:15万円/1名 ・Japany:無料利用 |
講座②特定技能2号評価試験 | ・講座回数:全8回 ・講座時間:16時間 ・講座時間:5万円/1名 ・Japany:無料利用 |
講座①+講座② | ・講座回数:全34回 ・講座時間:66時間 ・講座時間:20万円/1名 ・Japany:無料利用 |
受講者のレベルや目標に応じて無駄なく学べるカリキュラムで、企業の高度人材育成を強力にバックアップします。
まとめ
人手不足が深刻化する機械金属加工分野において、特定技能制度は有効な解決策です。特に、在留期間に上限がなく長期雇用が可能な「特定技能2号」への移行は、企業の技術承継と安定的な人材確保につながるでしょう。
ただし、機械金属加工分野の業務内容は17種類と多岐にわたり、特定技能2号の試験は難易度が高いため、企業単独での対応には限界があります。
明光グローバルは、長年の教育事業で培った知見を活かし、特定技能人材の採用から定着支援までワンストップでサポートします。難関の特定技能2号試験対策講座も提供しており、初めて外国人材を雇用する企業様でも安心してお任せいただけます。
機械金属加工分野での特定技能人材の採用・育成を検討している場合は、お気軽に「明光グローバル」へお問い合わせください。