近年、ビジネスのグローバル化や国内におけるダイバーシティの推進は、企業にとって避けて通れない課題です。このような環境下で、多様な文化背景を持つ人々と一緒に働き、変化に柔軟に対応していくためには「グローバルマインドセット」の習得が課題になります。
今回は、グローバルマインドセット研修が重要視されている理由や、研修によって期待できる効果、実際に導入する際のステップなどを詳しく解説します。この記事を通じて、研修を導入する際の参考にしていただければ幸いです。
グローバルマインドセット研修の基礎知識
グローバル化が加速する現代では、企業が持続的に成長して行くためにも、従業員の国際的な感覚が重要です。ここでは、なぜ今グローバルマインドセット研修が多くの企業にとって重要視されているのか、基礎的な知識について解説します。
グローバルマインドセット研修とは
グローバルマインドセット研修とは、国籍や文化、価値観の違いを理解し、変化の激しい国際的なビジネス環境で成果を出すための考え方を育成するプログラムです。この研修の主な目的は、参加者が固定観念から脱却し、多様な視点を受け入れ、あらゆる状況に柔軟かつ前向きに対応できる能力を養うことです。
主に養われる能力は、次のとおりです。
- 異文化への理解と尊重
- グローバルなコミュニケーションスキル
- 多様性を受容する力
- 新しいことへ挑戦する積極性
- 心理的な壁を乗り越えるマインド
これらの能力を身につけることで、グローバルな舞台で主体的に行動し、組織の成長に貢献できる人材の育成を目指します。
重要とされている背景
グローバルマインドセット研修が重要とされている背景には、企業を取り巻く環境の大きな変化があります。具体的には、次の3点が挙げられます。
ビジネスのグローバル化の加速 | 海外市場への進出や多国籍企業との取引が一般化し、異文化を持つ人々と一緒に働く機会が急増している |
国内の労働力構造の変化 | 少子高齢化による労働人口減少を背景に、外国人材の受け入れが拡大している |
ダイバーシティ&インクルージョンの推進 | 多様な人材が活躍できる組織づくりが社会的なトレンドとなっている |
以上の変化により、国籍や文化の違いを意識したコミュニケーションが不可欠となってきており、グローバルマインドセットは従業員にとって重要なスキルといえます。
グローバルマインドセット研修で期待できる6つの効果
グローバルマインドセット研修の導入は、組織と個人に多くの変化をもたらします。具体的にどのような変化が期待できるのか、6つの効果について解説します。得られる効果を知ることで、研修の目的がより明確になるでしょう。
- 多様な価値観を理解できる
- 組織の連携・協力体制が強化される
- リーダーシップのある人材
- イノベーションが促進される
- 社員のモチベーション・エンゲージメントが向上する
- 組織の国際競争力の強化につながる
多様な価値観を理解できる
グローバルマインドセット研修は、参加者が多様な価値観への理解を深める効果があります。この研修を通じて、自分とは異なる文化や習慣、価値観などを持つ人々の背景や思考プロセスを学べます。期待できる主な効果は、次のとおりです。
偏見・ステレオタイプの減少 | 無意識の思い込みや偏見に気づき、より客観的な視点を持てるようになる |
共感力の向上 | 相手の立場や感情を察する力が高まる |
良好なコミュニケーションの実現 | 異文化を持つ人々との信頼関係構築の土台が築かれる |
多様な価値観を理解することは、グローバルな環境で活躍するための重要なスキルです。
組織の連携・協力体制が強化される
組織内の連携と協力体制の強化に大きく貢献できるのも、グローバルマインドセット研修の効果です。従業員が多様な価値観や文化背景を持つ同僚への理解を深めることで、相互理解が促進されます。その結果、次のような企業内の好循環が生まれます。
コミュニケーションの円滑化 | 従業員同士の意思疎通がスムーズになり、誤解が減る |
対立の減少 | 無用な衝突を避け、建設的な議論が可能になる |
風通しの良い組織風土が作られる | 部門間や国内外の拠点間の壁が取り払われ、協力関係が生まれやすくなる |
連携が強化されることで、プロジェクトの効率化や目標達成に向けたスキルが身につくでしょう。結果として、組織全体のパフォーマンスが向上します。
リーダーシップのある人材を育成できる
グローバルマインドセット研修は、次世代リーダーの育成に効果的です。参加者はこの研修を通じて、グローバルな視点で物事を捉え、複雑な状況を分析する力を養います。具体的には、次のようなリーダーとしての素養が育まれます。
グローバルな視野 | 国際的な観点から物事を判断する能力が身につく |
多様性を尊重した統率力 | 多様な価値観を持つメンバーの強みを引き出し、チームをまとめる力が身につく |
挑戦する姿勢 | 固定観念にとらわれず、変化や未知の領域に果敢に挑むマインドが養われる |
これらの能力は、グローバル市場での事業展開や多様なメンバーで構成されるプロジェクトを成功に導くために重要な素養と言えます。将来、組織を力強く牽引するリーダーの育成に直結するでしょう。
イノベーションが促進される
組織のイメベーションが促進されるのも、グローバルマインドセット研修の効果のひとつです。従業員が多様な文化や価値観に触れることで、既存の枠組みにとらわれない自由な発想が生まれやすい土壌が形成されます。期待できる主なイノベーションは、次のとおりです。
自由な発想の奨励 | 異なる意見やアイデアを積極的に受け入れ、尊重する文化が形成される |
新たな視点の発見 | 従来は見過ごされてきた視点や斬新な切り口からのアプローチが可能になる |
異文化知見の活用 | 異文化の知見や異なる分野の経験が組み合わさることで、新しい製品・サービス・ビジネスモデルの可能性が広がる |
多様な視点を受け入れられる環境は、組織の持続的な成長に関わるイノベーションを生み出す原動力となるでしょう。
社員のモチベーション・エンゲージメントが向上する
グローバルマインドセット研修の効果の一つに、社員のモチベーションやエンゲージメントが向上することが挙げられます。研修を通じて、社員は自己成長を実感し、組織への信頼感を高めることにもつながるでしょう。主な効果として、次のようなものがあります。
自己成長の実感 | 視野が広がり、新たな知識やスキルを習得することで成長を感じられる |
信頼感・安心感の向上 | 多様な価値観が尊重され、誰もが活躍できる職場環境だと感じることで、組織への信頼と安心が増す |
モチベーション向上 | 信頼・安心できる職場環境だと、仕事への意欲が高まる |
エンゲージメント向上 | 組織への貢献意欲や愛着心が深まり、前向きな気持ちで業務へ取り組める |
これらの効果により、社員一人ひとりがより意欲的に、組織への強い想いを持って業務に取り組めるようになるでしょう。
組織の国際競争力の強化につながる
グローバルマインドセット研修は、これまでに解説した効果が組み合わさることで、組織全体の国際競争力強化に直結します。具体的には、主に次の点で競争力向上に貢献します。
海外市場への適応力向上 | 多様な価値観を理解し、スムーズなコミュニケーションが可能になることで、海外市場への対応力が高まる |
グローバルな人材活用能力の向上 | リーダーになる人材が育ち、多様な社員が能力を発揮できる環境が整備されることで、国際的な人材活用が促進される |
変化への迅速かつ柔軟な対応力 | イノベーションが生まれやすい組織風土は、変化の激しい国際市場や新たなビジネスチャンスへの対応力を養われる |
各効果が総合的に作用することで、組織はグローバル市場で持続的に成長し、勝ち抜くための強固な土台が作られるでしょう。
グローバルマインドセット研修の導入手順
グローバルマインドセット研修を成功させるためには、対象者の選定から研修実施後の効果測定など、適切な導入手順を踏んで実施する必要があります。ここでは、研修導入をスムーズに進め、期待する成果を最大限に引き出すための6つのステップを解説します。
- 導入目的とゴールを明確化する
- 対象者と研修範囲を特定する
- 研修プログラムの企画・選定を行う
- 実施体制づくりと事前準備を行う
- 研修を実施する
- 効果測定とフォローアップを行う
導入目的とゴールを明確化する
グローバルマインドセット研修を行う上で最初に取り組むことは、研修の導入目的と達成したいゴールを明確にすることです。まず、自社が抱えるグローバル化に関する課題を具体的に洗い出します。
課題例
- 海外展開が遅れている
- 異なる文化背景を持つ社員間のコミュニケーションが上手く行っていない
- 多様な人材の能力を活かしきれていない
これらの課題を特定した上で、研修を通じてどのようなゴールを実現したいのか、具体的な目標を設定することが重要です。たとえば、「半年以内に海外部門のコミュニケーション不足による時間ロスを20%削減する」など、測定可能な目標が理想的です。
初期段階で目的とゴールを明確化することが、後々のプログラム内容や対象者選定の精度を高め、研修全体の成功を左右します。
対象者と研修範囲を特定する
次は、誰にどの範囲まで研修を実施するかを特定します。目標達成に最も効果的な対象者を慎重に検討しましょう。対象者や研修範囲を特定するポイントは、次のとおりです。
対象者 | ・全社的な意識改革:経営層から一般社員までが対象になる ・特定プロジェクトの成功:関連部署のメンバーを中心に選定する |
研修範囲 | ・全社一律の内容か ・階層や職種に応じてカスタマイズするか |
たとえば、「経営層には戦略的意思決定、管理職には異文化マネジメント、一般社員には基礎的な異文化理解」といったように、対象に合わせて内容を調整することも有効です。
研修プログラムの企画・選定を行う
導入目的と対象者が決まったら、具体的な研修プログラムの企画・選定です。目的達成と対象者の特性に合わせ、最適な内容と形式を検討します。
検討する研修で扱う内容 | ・知識習得:異文化理解、国際情勢など ・スキル向上:異文化コミュニケーション、グローバル交渉術、語学など ・マインドセット醸成:変化への柔軟性、多様性受容、チャレンジ精神など |
検討すべき実施形式・要素 | ・形式:集合研修、オンライン研修、eラーニング、ワークショップなど ・期間・回数:短期集中型、継続型など ・講師:内部講師、外部専門家 |
各要素を総合的に検討し、知識、スキル、マインドセットをバランス良く高められる、最も効果的なプログラムを構築することが求められます。
実施体制づくりと事前準備を行う
研修プログラムの内容が決まったら、スムーズな実施に向けて社内体制を整え、具体的な準備を進めます。
準備事項 | 準備内容 |
---|---|
体制構築と予算確保 | ・担当部署、責任者を明確にする ・必要な予算を確保する |
研修実施のための手配 | ・研修日程を調整する ・会場を手配する(オフラインの場合) ・オンラインプラットフォームを選定する ※参加者がアクセスしやすい環境を準備する |
教材準備 | ・テキスト、ケーススタディなどの作成や選定を行う ・必要部数を準備する |
参加者への事前案内 | ・研修目的、期待される効果、日程、場所などを通知する ・必要に応じて、研修への参加意欲を高めるための事前課題の提示する |
これらの事前準備を丁寧に行うことで、参加者の研修への参加意欲を高め、当日はスムーズな運営と効果が期待できるでしょう。
研修を実施する
入念な準備を経て、いよいよ計画に沿って研修を実施します。研修当日は、参加者が積極的に学び、最大限の効果を得られるような環境づくりが重要です。
ポイント | 内容 |
---|---|
能動的な学習機会の提供 | ・参加者同士のディスカッション ・グループワーク ・ロールプレイング |
学びやすい雰囲気づくり | ・適度なアイスブレイクや休憩を挟む ・リラックスできる空間作りを意識する |
講師による柔軟な対応 | ・参加者の理解度や反応を見ながら進行を調整する ・質疑応答の時間を十分に確保する ・双方向のコミュニケーションを促す |
できる限りの工夫を凝らして、参加者の学びを深め、研修効果を高めることを目指します。
効果測定とフォローアップを行う
研修は実施して終わりではなく、効果を測定し、学びを定着させるためのフォローアップが極めて重要です。効果測定の方法とフォローアップ施策例には次のようなものが挙げられます。
項目 | 実施例 |
---|---|
効果測定 | ・研修直後:アンケートを実施する ※参加者の満足度・理解度を把握する ・数ヶ月後:本人・上司へのヒアリングを行う ※具体的な成果指標(KPI)をもとに評価する |
フォローアップ施策 | ・OJT(On-the-Job Training)での実践機会を提供する ・定期的な勉強会や報告会を開催する ・eラーニングによる学習コンテンツを提供する |
これらの施策を通じて、研修効果を持続させ、実際の行動変容につなげることが重要です。
ただし、グローバルマインドセット研修を導入するにあたって、効果的な進め方や押さえるべきポイントがわからず、期待した成果が得られないケースも多いです。もし、自社での研修企画・実施に不安を感じる場合は、専門的なノウハウを持つ外部サービスの活用も有効な手段といえるでしょう。
たとえば、明光グローバルの「外国人社員向け各種教育・研修サービス」では、異文化理解研修を含む多様なプログラムを提供しており、企業ごとのニーズに合わせたサポートが期待できます。
グローバルマインドセット研修は明光グローバルにお任せください
グローバルマインドセット研修をお求めなら、明光グローバルにお任せください。最後に、明光グローバルのサービスと「外国人社員向け各種教育・研修サービス」について解説します。
明光グローバルとは
明光グローバルは、外国人材の就労機会の創出と育成を通して、日本企業の持続的な成長をサポートする教育系人材サービスです。日本企業の継続的な発展に貢献することを使命とし、教育と人材に関する専門知識を活かした質の高いサービスを提供しています。
明光グローバルの主なサービスは次のとおりです。
事業 | サービス |
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教育研修事業 | ・eラーニングによる日本語教育(スマホアプリに対応) ・対面/オンラインによる日本語レッスン ・外国籍人材と日本人に向けた各種研修プログラム ・外国籍人材に向けた各種試験対策講座 |
人材紹介事業 | ・特定技能人材の紹介 ・外国籍エンジニアの人材紹介 ・教育伴走型の登録支援サービス |
外務省から経済連携協定(EPA)に基づく事業を4期連続で委託されるなど、公的機関からも高く評価されています。
外国人社員向け各種教育・研修サービスとは
明光グローバルは、実践的で効果の高い教育・研修プログラムを提供しています。
サービス | 概要 |
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オンライン日本語レッスン | ・ビジネス経験豊富な講師による個別指導 ・業界別カスタマイズカリキュラム ・定期的にレッスン報告書を企業に提供 |
各種研修プログラム | 【外国人材向け】新入社員研修、異文化理解研修等 【日本人社員向け】外国人材受入れ研修等 |
各種試験対策講座 | ・専門講師が直接指導 ・実施方法はオンライン/対面いずれも対応可能 ・受講人数や実施回数など企業毎にカスタマイズして対応可能 ※介護福祉士試験対策講座、特定技能2号試験対策講座(外食、飲食料品製造、製造業、建設の4分野に対応) |
明光グローバルは、充実した研修プログラムと柔軟なカスタマイズ対応で、外国人社員の早期戦力化と定着率向上を実現してきました。外国人の新入社員研修にお悩みの場合は、ぜひ明光グローバルにお任せください。
外国人社員向け各種教育・研修サービスのメリット
明光グローバルの提供している「外国人社員向け教育・研修サービス」には、次のメリットがあります。
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これらの強みを活かし、外国人材の能力向上と企業のグローバルな成長を、力強くサポートさせていただきます。
まとめ
グローバルマインドセット研修は、ビジネスのグローバル化や国内のダイバーシティ推進など、多様な文化背景を持つ外国人材と働く上で、変化に対応していくために重要です。効果的な研修を実施するためには、導入目的の明確化から対象者特定から効果測定とフォローアップという一連の手順を、計画的に実行することが求められます。
しかし、自社だけでグローバルマインドセット研修に取り組むのは、現実的に難しい場合もあります。
そのような場合、確かな教育実績を持つ明光グローバルにご相談ください。実践的でカスタマイズ可能な「外国人社員向け各種教育・研修サービス」を通じて、貴社のグローバル人材育成と持続的な成長を力強くサポートします。