日本で学ぶ留学生の中には、専門学校を卒業した後も日本で働きたいと考えている人が少なくありません。実際、日本の企業へ就職する留学生は年々増えており、専門学校が進路支援を行う機会も増えています。
しかし、留学生が日本で働くためには、満たすべき条件があります。また在留資格の取得や企業とのマッチングなど、日本人とは異なる点に配慮した支援も必要です。
今回は、専門学校を卒業した留学生が日本で就職できるのかということから、就職するための条件、取得することが多い在留資格、さらに専門学校が行える就職支援の内容まで解説します。
行政書士(あすか行政書士法人)
三浦 大和
専門学校を卒業した留学生は日本で就職できる?
専門学校で学んだ留学生の多くは、卒業後の進路として日本での就職を希望しています。また、外国人材を採用している企業も増えています。
ここでは専門学校を卒業した留学生の就職状況や、どのような分野で働く外国人が多いのか紹介します。
専門学校卒業後に日本企業へ就職する留学生は増えている

画像引用元:令和5年における留学生の日本企業等への就職状況について(出入国在留管理庁)
近年、日本では少子高齢化が進み、若い人材の不足が深刻化している業界が増えています。そのため、人材不足に直面している業界の多くの企業が、外国人材の採用を進めるようになりました。
特に専門学校では実務に直結した知識や技能を学ぶことが多く、企業の業務と結びつきやすい点が評価されやすいといえます。そのため、留学生本人の希望だけでなく、企業側の採用ニーズの面からみても、外国人留学生が日本で就職しやすくなっている状況です。
専門学校を卒業した留学生の就職先の傾向
外国人材の就職先は中小企業が多く、300人未満の企業に66.3%も就職しています。特に49人以下の企業へ就職している外国人材は、全体の4割以上を占めている状況です。
就職先企業の従業員数別の許可人数の構成比(令和5年)

画像引用元:令和5年における留学生の日本企業等への就職状況について(出入国在留管理庁)
就職先は、学んだ分野に関連する業界が中心になります。専門学校で習得した知識や技能を活かせる職種であれば、日本企業で働く道が開かれる可能性も高くなります。
また、ITやビジネス、観光、ホテル、介護など人材不足に直面している分野では外国人材の採用が進んでいるため、これらの分野を学んだ留学生は就職しやすいといえるでしょう。
一方、学んだ内容と希望する業務との関連性が弱い場合は、就労に必要な在留資格を取得できないこともあるため注意が必要です。
留学生が専門学校卒業後に日本で就職するための主な条件
専門学校を卒業した留学生が日本企業へ就職する場合、誰でも自由に働けるわけではありません。日本で働くためには入管制度に基づき一定の条件を満たし在留資格を取得する必要があります。
ここでは、留学生が専門学校卒業後に日本で就職するために必要な在留資格を取得するための主な条件について解説します。
- 学んだ分野と業務内容に関連性があること
- 業務に必要な日本語能力を備えていること
学んだ分野と業務内容に関連性があること
日本で就労するための在留資格は、専門学校で学んだ内容と就職先の業務に関連性があることが求められます。これは、留学で身につけた専門知識や技能を活かして働くことを前提としているからです。
たとえば、ITについて学んだ留学生がIT業界に就職する場合は、関連性が認められやすいですが、他の仕事に就く場合は在留資格の取得が難しくなることがあります。そのため、留学生に就職先をアドバイスする際には、専門学校での学びと業務内容に関連性が認められる業界を推薦することをおすすめします。
業務に必要な日本語能力を備えていること
日本企業で働く場合、職場でのコミュニケーションや業務の理解のために、日本語能力が求められます。特に、接客業やチームで仕事を進める職種では、日本語で円滑にコミュニケーションが取れることが重要です。
職種や企業によって求められる日本語レベルは異なりますが、一定以上の日本語能力があると就職活動を有利に進められる可能性が高くなります。そのため、専門学校で学んでいる間に、日本語能力を高めておくことは、就職先の可能性を広げるうえでも重要です。
専門学校卒業後に取得することが多い主な在留資格
留学生が日本で働く際には、就労が認められている在留資格を取得しなければなりません。専門学校を卒業した留学生の場合、就職先や業務内容によって取得する在留資格が異なります。
ここでは、留学生が専門学校卒業後に取得することが多い主な在留資格を紹介します。
- 技術・人文知識・国際業務
- 特定活動
- 特定技能
変更許可後の在留資格別の許可人数構成比(令和5年)

画像引用元:令和5年における留学生の日本企業等への就職状況について(出入国在留管理庁)
技術・人文知識・国際業務
「技術・人文知識・国際業務」は、日本で働く外国人材が取得することの多い在留資格です。理系分野の技術職や営業、企画、通訳など専門知識やスキルを活かした業務が対象となり、原則として単純労働に従事することは認められていません。
この在留資格を取得するためには、専門学校で学んだ内容と業務の関連性があることが求められます。審査において、専門学校での専攻内容と就職先の業務内容との関連性を説明できることが求められるため、就職先の選定や職種の検討をする際には注意が必要です。
また、「学んだ技術、知識の業務との関連性」「単純労働に従事するわけではないことの説明」が必要となることから、就職先企業からのサポート、協力も欠かせません。「技術・人文知識・国際業務」は、業務が留学生が学んだ内容と関連性があり専門性を伴っていれば、正社員だけでなく派遣社員として働くこともできます。
2026年4月15日以降の申請から、「技術・人文知識・国際業務」の審査厳格化に伴い、学歴と業務内容との関連性や日本語能力などについて、これまで以上にしっかり確認されるようになっています。そのため、新たに提出が必要となった書類などを確認し、十分余裕をもって準備しておくことが大切です。
特定活動
専門学校を卒業した留学生の中には、卒業時点で就職先が決まっていないケースもあります。そのような場合に利用されることがある在留資格が「特定活動」です。これは法務大臣が個別の事情を考慮して認める在留資格で、さまざまな活動内容に対応できる柔軟な仕組みとなっています。
特に卒業後も日本で就職活動を継続する場合に活用されることが多く、学校の推薦や就職活動を継続する意思など一定の条件を満たせば、日本に在留しながら就職活動を継続することが可能です。
ただし、在留期間には上限があり、一般的には半年ごとの更新で最長1年程度とされています。そのため在留期間内に就職先を決める必要があります。
特定技能
特定技能は、人手不足が深刻な分野で外国人材の就労を認めるために設けられた在留資格です。介護や外食業、宿泊業など特定の分野で働くことが認められています。
そのため、専門学校での専攻内容や就職先の業務によっては、在留資格「技術・人文知識・国際業務」より特定技能を選択するケースもみられます。
ただし、留学生が専門学校卒業直後に特定技能に切り替えるためには、専門学校在学中に分野ごとに実施されている特定技能評価試験に加え、日本語能力を証明する試験に合格しておかなければなりません。日本語能力については、日本語能力試験(JLPT N4相当以上)もしくは国際交流基金日本語基礎テスト(A2相当以上)のいずれかに合格していることが求められます。なお、特定技能の分野により要件に違いがある場合があるため要注意となります。
留学生が日本で働くためには、就労が認められている在留資格を取得する必要があり、多くの場合、留学の在留資格から就労可能な在留資格へ変更する手続きを行います。在留資格によって認められている業務内容は異なるため、就職先の仕事内容が在留資格の条件に合っているかを確認することが重要となります。
就職先企業と留学生がともに制度を理解したうえで手続きを進めることが、スムーズな就職につながります。
専門学校の就職担当者が留学生の就職支援でできるサポート
留学生の就職活動では、日本の就職活動の進め方や在留資格の制度など日本人学生とは異なる点への配慮が必要になります。そのため、専門学校の就職担当者によるサポートは、留学生にとって重要な役割を果たします。
ここでは、専門学校の就職担当者が留学生の就職支援で実施すべきサポートを紹介します。
- 履歴書やエントリーシートの書き方指導
- 面接対策とビジネスマナーの指導
- 日本語能力向上のサポート
- 一般常識問題や筆記試験の対策
- 在留資格取得に関するサポート
履歴書やエントリーシートの書き方指導
日本での就職活動では、履歴書やエントリーシートを通じて自分の経験や強みを伝えることが重要です。しかし、日本独自の書き方に戸惑う留学生も少なくありません。
たとえば、志望動機や自己PRをどのように書けば企業にアピールできるのかわからずに悩んでいる留学生は多くみられます。
そのため、履歴書の基本的な書き方や自己PRのまとめ方に加え、応募企業先の業務内容を踏まえたアピール方法(または書き方)について指導することで、企業に自分の魅力を適切に伝えられるようサポートすることが求められます。
面接対策とビジネスマナーの指導
企業の採用選考では、面接が重要な判断材料になります。
留学生の場合、日本の面接の進め方や受け答えの仕方に慣れていないことも少なくありません。日本の就職面接では、受け答えの内容に加えて、話し方や表情なども評価される傾向があります。
そのため、事前に具体的な場面を想定した模擬面接を行ったり、面接時の受け答えを確認したりすることで、実際の面接に落ち着いて臨めるような支援をすることが大切です。
また、あいさつや言葉遣いなど基本的なビジネスマナーを身につけることも就職活動では重要です。
日本語能力向上のサポート
日本企業で働くためには、業務に必要な日本語能力を身につけていることが求められます。
専門学校によっては、日本語教育や会話指導などを通じて、日本語能力の向上をサポートしているところもあります。日本語能力を高めることで、就職活動だけでなく、入社後の業務にも適応しやすくなるでしょう。
また、日本語能力は業務への適応だけでなく、職場での人間関係の構築やコミュニケーションにも影響します。日常的なやり取りやチーム内での連絡がスムーズに行えるかどうかは、職場への定着率にも関係します。
そのため、就職後を見据えて学生のときから日本語能力の向上に努めるよう指導しておくことが重要です。
特に、特定技能を想定した専門学校の場合、日本語能力試験もしくは国際交流基金日本語基礎テストの受験を促していくのは必須であると言えます。
一般常識問題や筆記試験の対策
企業によっては、採用試験のなかで筆記試験や一般常識問題が出題されることがあります。日本の社会や文化に関する問題が含まれることもあり、留学生にとっては難しく感じることもあるでしょう。
そのため、過去の出題傾向を紹介したり、模擬問題に取り組んだりすることで、試験への不安を軽減することができます。
さらに、日本の時事問題や社会の基本的な仕組みについても理解を深めておくように指導することで、試験だけではなく面接時の受け答えにも活かすことができます。
在留資格取得に関するサポート
留学生が日本で働くためには、在留資格の制度を理解しておくことが大切です。専門学校では、就職活動の段階で在留資格に関する基本的な情報を伝えることで、進路選択の参考になるようサポートできます。
また、在留資格の変更手続きでは、必要書類の準備や内容の確認などを正確にすることを求められます。そのため、留学生だけに準備させるのではなく、専門学校の就職担当者がサポートすることが必要です。
必要に応じて外部の専門機関と連携しながら留学生の就職支援を行うことで、在留資格取得をスムーズに進められるようになります。
留学生の就職支援で活用できる外部の専門機関との連携
留学生の就職支援では、学校だけで対応することが難しいケースもあります。特に在留資格の手続きや外国人雇用制度の理解など専門的な知識が求められることでは、外部の専門機関と連携することが役立つこともあります。
ここでは、留学生の就職支援で活用を検討したい、外部の専門機関による支援について解説します。
- 外国人材の就職支援サービス
- 日本語学習や資格取得講座
- 在留資格の取得や変更に関するサポート
外国人材の就職支援サービス
外国人材の就職支援を専門に行っているサービスでは、企業とのマッチングや就職活動のサポートなどを提供していることがあります。
たとえば、留学生一人ひとりの希望や選考内容に応じて求人を紹介したり、履歴書やエントリーシートの書き方指導や面接対策を行ったりするなど、就職活動全体を支援しています。
こうしたサービスを活用することで、留学生は就職先を見つけやすくなり、企業側にとっても条件に合った外国人材を採用する機会につながります。専門学校だけでは対応しきれない企業とのマッチングや情報提供を補う手段として、外部サービスを活用することも有効です。
日本語学習や資格取得講座
留学生が日本企業で働くためには、専門分野の知識だけでなく、日本語能力やビジネスに必要となるスキルを身につけていることも重要です。企業によっては、日本語でのコミュニケーション能力や業界に関する資格の有無を重視する場合もあるため、就職活動を進めるうえでこうした能力の向上が求められることがあります。
そのため、専門学校の就職担当者が外部の教育機関や支援サービスと連携し、日本語学習講座や資格取得のサポート講座などを紹介することも一つの方法です。
学校内の授業だけでは補いきれない部分を外部講座で補うことで、留学生が必要とされる力を身につければ、就職活動を有利に進めることにつながります。
在留資格の取得や変更に関するサポート
在留資格の取得や変更に関する手続きは、制度を理解していないと難しく感じることがあります。
業務内容と在留資格の要件の確認や、必要書類の準備などは専門的な知識が必要になることも少なくありません。そのため、専門知識を持つ外部機関と連携することで、留学生や企業の手続きを円滑に進められる場合があります。
申請に必要な書類の確認や手続きの流れに関するアドバイスを受けることで、在留資格の取得や変更手続きのミスや遅れを防ぐことにつながります。専門機関のサポートを受けることで、制度面の不安を減らしながら就職活動を進めることができるでしょう。
専門学校留学生の就職支援は明光グローバルにお任せください
専門学校の留学生が日本で就職活動を進めるには、エントリーシートの書き方や日本語能力の向上、面接対策、筆記試験対策などさまざまな対策が必要となります。
明光グローバルでは、留学生一人ひとりが効率的に日本での就職活動を進められるように、総合的な就職活動対策サービスを提供しています。最後に、明光グローバルの概要と、提供するサービスを紹介します。
明光グローバルとは
明光グローバルは、外国人材の就労機会の創出と育成を通して、日本企業の持続的な成長をサポートする教育系人材サービスです。
40年以上の個別指導の教育実績、そして10年以上の日本語教育の実績を持つ明光ネットワークジャパングループの知見を活かし、外国人材の育成と企業の人材課題解決に特化したサービスを提供しています。
JCLIや早稲田EDU日本語学校での豊富な教育ノウハウを活かし、特定技能試験対策から業界別の専門教育まで、幅広いニーズに対応しています。外務省からEPA事業を5期連続で受託するなど、高い信頼性と実績を誇っています。
明光グローバルの主要サービス
| 事業 | サービス |
|---|---|
| 教育研修事業 | ・eラーニングによる日本語教育(スマホアプリに対応) ・対面/オンラインによる日本語レッスン ・外国籍人材と日本人に向けた各種研修プログラム ・外国籍人材に向けた各種試験対策講座 |
| 人材紹介事業 | ・特定技能人材の紹介 ・手続き支援~入社後支援 ・教育伴走型の登録支援サービス |
特定技能人材やエンジニアの紹介から、外国人社員向けの教育・研修サービスまで、幅広いノウハウを提供しています。単なる日本語教育にとどまらず、企業での実践力を重視した総合的な人材育成を行っています。
日本初かつ日本発の上場企業が運営する外国人向け就職塾「明光就職」
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| 特徴 | 内容 |
|---|---|
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まとめ
専門学校の留学生が日本で就職活動をするためには、学んだ分野との関連性や日本語能力、在留資格の変更などの条件を満たす必要があります。専門学校の就職担当者は、必要に応じて外部の専門機関サービスを活用することで、負担が軽減されるだけでなく、留学生が就職活動を有利に進めやすくなります。
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行政書士(あすか行政書士法人)
三浦 大和



