はじめて外国人材を採用する企業の中には「外国人材の話す日本語をうまく聞き取れない」というお悩みを抱えている方も多いです。職場でのコミュニケーションが円滑でないと、業務がうまく進められないうえ、ミスやトラブルにつながる可能性もあります。
今回は、外国人材の話す日本語を聞き取れない理由や、聞き取りのポイントについて解説します。職場での外国人材とのやり取りに課題を抱えている企業の経営者や人事・教育担当者、現場責任者の方は、ぜひ最後までお読みください。
外国人材が話す日本語をうまく聞き取れないと悩む方は多い
少子高齢化に伴う人手不足の影響から、業界や規模を問わず、外国人材を雇用する企業が増えています。このような状況の中、「外国人材が何を言っているのかわからない」「外国人材とのコミュニケーションに苦戦している」といったお悩みが増えています。
職場で業務指導を担当する現場責任者や、教育研修を実施する人事・教育担当者の方を中心に、外国人材が話す日本語をうまく聞き取れないと感じられている方は多いです。特に、日本語学習歴の浅い外国人材の話す日本語は、アクセントや発音が特徴的だったり、文法や言葉選びが間違っていたりと、日本人社員にとって聞きづらいことがあります。
外国人材が話す日本語をうまく聞き取れない理由
なぜ外国人材の話す日本語を、日本人社員がうまく聞き取れないのでしょうか?ここでは、外国人材が話す日本語をうまく聞き取れない主な理由について解説します。
- 日本語には「外国人には発音しづらい音」があるから
- 正しい文法で日本語を話すことは外国人にとって難しいから
- 発音が似ている語彙を区別せず使ってしまうから
- 焦りやプレッシャーにより外国人材が持つ本来の日本語能力を発揮できないから
参照元:外国人留学生における日本語の発音の問題について(『国際言語文化学会 日本学研究』第8号)
日本語には「外国人には発音しづらい音」があるから
日本人が英語の「L」と「R」をうまく発音できないのと同様に、日本語には「外国人にとって発音しづらい音」があります。外国人材の母国語によって発音しづらい音は異なります。たとえば、次のような例が挙げられます。
母国語 | 発音しづらい音 | よくある発音ミス |
---|---|---|
ベトナム語 | ・「つ」 ・「ざ」「ぞ」 ・「や」「ゆ」「よ」 | ・「つ」を「ちゅ」と言ってしまう ・「ざ」「ぞ」を「じゃ」「じょ」と言ってしまう ・「や」「ゆ」「よ」を「じゃ」「じゅ」「じょ」と言ってしまう |
タイ語 | ・「し」/「ち」 ・「つ」/「す」 | ・「し」と「ち」を区別して発音できない ・「つ」と「す」を区別して発音できない |
インドネシア語 | ・「ー(長音)」 | ・「ー(長音)」を発音できない(「おばさん」と「おばあさん」が同じ発音になってしまう) |
参照元:
インドネシア語話者に対する日本語教育における音声指導の効果(ナヨアン,フランキー・レイモンド 論文)
このように、外国人材がうまく日本語の音を発音できないことが、日本人社員にとっての聞き取りにくさにつながります。
正しい文法で日本語を話すことは外国人にとって難しいから
文法の知識があっても、外国人材がスムーズに正しい文法を使えるとは限りません。事前に対策ができる資格試験とは異なり、アドリブ力が求められる会話の中ではとっさに知識を引き出せずに間違ってしまうことがあるのです。
よくあるミスは、助詞や動詞の混同です。たとえば、次のような例が挙げられます。
- 「日本語が勉強しています」
- 「本を読みています」
外国人材が文法の使い方を間違えてしまうと、日本人社員がスムーズに聞き取れなくなってしまいます。
発音が似ている語彙を区別せず使ってしまうから
外国人材によっては、似ている発音の語彙をうまく区別できずに使用してしまっている可能性もあります。
日本人の方で、英語の「L」と「R」をうまく発音できない方は多いです。同様に、日本語の中には、外国人にとって馴染みのない発音があります。たとえば、次のような単語は混同しやすいです。
- 「びょういん(病院)」と「びよういん(美容院)」
- 「ビル」と「ビール」
こうした単語は、日本人にとっては区別がついていることが当たり前です。そのため、外国人材が間違えて使っていることに気づけず、うまく話が聞き取れなくなってしまうことがあります。
焦りやプレッシャーにより外国人材が持つ本来の日本語能力を発揮できないから
職場の状況や外国人材の性格によっては、焦りやプレッシャーから本来の日本語能力を発揮できないこともあります。
たとえば、海外旅行に行った際に、現地のネイティブスピーカーの前で慌ててしまい、正しい外国語を使えなくなってしまった経験をしたことはないでしょうか?
来日して間もない外国人材は、日本の生活や職場環境に慣れていません。加えて、日本語のネイティブスピーカーである日本人社員に囲まれて働くことになるため、緊張や不安から、うまく話せなくなってしまうことがあります。
外国人材が話す日本語を聞き取るコツ
外国人材が話す日本語をスムーズに聞き取るためには、いくつか押さえておきたいコツがあります。ここでは、外国人が話す日本語を聞き取るコツについて解説します。
- 外国人によくあるミスや間違いを頭に入れておく
- 外国人材に落ち着いてゆっくり話してもらう
- 外国人材の言葉を復唱して相手の意図を確認する
参照元:
外国人によくあるミスや間違いを頭に入れておく
外国人材が話す日本語を聞き取るコツの一つ目は、よくあるミスや間違いを頭に入れておくことです。あらかじめミスや間違いの傾向を理解できていれば、外国人材の話す日本語に対しても「〇〇と間違えているのかな?」とあたりをつけながら傾聴できるようになります。
外国人材の母国語によっても、間違いの傾向は異なります。事前に外国人材の母国語にありがちなミスや間違いを調べて、職場の外国人受け入れ研修などの場面で共有しておくようにしましょう。
外国人材に落ち着いてゆっくり話してもらう
二つ目のポイントは、外国人材に落ち着いてゆっくり話してもらうことです。外国人材があわてて早口で話してしまうと、日本語がさらに聞き取りづらくなります。
外国人材にゆっくり話してもらうには、日本人社員が落ち着いた対応をすることが重要です。日本人社員がイライラしたり、焦ったりすると、外国人材にもプレッシャーが伝わります。
外国人材の話す日本語が聞き取れなかった場合は「すみません。わからなかったので、いまの話をもう一回教えてもらえますか?」「もう一度、ゆっくり説明してください」というように、優しく声をかけるようにしましょう。
外国人材の言葉を復唱して相手の意図を確認する
外国人材の話す日本語の意図がわからないときには、復唱することがおすすめです。復唱することで「〇〇という意味だったのかな?」と日本人社員自身が気づくことができます。
その場合は、「いまお話してもらったことは、〇〇ということで合っていますか?」「〇〇という内容を言いたかったのですか?」など、意図を確認するようにしましょう。
復唱しても意図がわからない場合は、「すみません。わからなかったので、もう一度、違う言葉を使って教えてください」など、外国人材に言い換えてもらうようにしましょう。
日本人社員が忍耐強く傾聴し、理解しようとする姿勢を見せることで、外国人材が「自分の話を理解しようとしてくれている」「がんばって話そう」と考えるきっかけになります。
職場の日本人社員が気をつけるべき日本語会話のポイント
日本人社員の対応方法がきっかけで、外国人材がプレッシャーや不安を感じ、うまく話せなくなることがあります。ここでは、外国人材が落ち着いて話せる環境を整えるために、日本人社員が意識すべきポイントについて解説します。
- 日本人社員がゆっくりとしたペースで話す
- 「やさしい日本語」を取り入れる
- アイコンタクトや相槌を打ち、笑顔で傾聴する態度を示す
- 必要に応じて通訳スタッフや機械翻訳の力を借りる
参照元:
日本人社員がゆっくりとしたペースで話す
外国人材が焦りやプレッシャーを感じる要因の一つに、日本人社員の話す日本語が早口であることが挙げられます。そのため、日本人社員が相手の理解度に合わせて、ゆっくりとしたペースで話すことが重要です。
なお、外国人材の日本語習熟度によって、聞き取れる日本語の速度は異なります。外国人材が日本語能力試験(以降、「JLPT」)に合格している場合は、リスニング問題の音声で話される日本語のスピードを参考にすることもおすすめです。
JLPTの公式サイトからレベル別の試験の問題例を確認できるので、ぜひチェックしてみてください。
「やさしい日本語」を取り入れる
日本人社員の話す日本語で使われている語彙や文法の難易度が高いために、外国人材が返答に困ってしまっていることも考えられます。外国人材とスムーズに話すには、「やさしい日本語」を取り入れることがおすすめです。
「やさしい日本語」とは、出入国在留管理庁や文化庁が推奨する、外国人が理解しやすいように工夫された日本語表現のことです。日本人社員に「やさしい日本語」研修をすることで、外国人材にとってわかりにくい日本語が減り、コミュニケーションが活性化します。
詳しい内容は出入国在留管理庁・文化庁が発行しているガイドラインを参照してください。
参照元:
アイコンタクトや相槌を打ち、笑顔で傾聴する態度を示す
外国人材とスムーズに会話するうえでは、アイコンタクトや相槌を打ち、笑顔で傾聴する態度を示すことも重要です。
日本人同士だと、特に相手の顔を見ることなくやり取りをすることもあるかと思います。ただし、日本語能力が高くない外国人材にとっては、表情の見えないコミュニケーションには不安が募ります。
また、日本人側がイライラを顔に出してしまうと、外国人材に余計なプレッシャーをかけることになります。「なんだその話し方は」「何を言っているか全然わからない」といった叱責も、焦りやプレッシャーにつながります。
外国人材がミスや間違いを恥ずかしがり、日本語で話すことをためらってしまうと、より一層コミュニケーションがしづらくなってしまいます。日本人社員がわかりやすく傾聴する態度を示すことで、外国人材が安心して話せる環境を作るようにしましょう。
必要に応じて通訳スタッフや機械翻訳の力を借りる
外国人材の日本語がどうしても伝わらない場合には、無理せず通訳スタッフや機械翻訳の力を借りることも効果的です。
外国人材の日本語能力が高くない場合には、いくら説明し直したり言い換えたりしても、日本語が伝わらないことがあります。何度話しても伝わらない状況は、日本人社員と外国人材の双方にとってストレスになります。「今後のためにも、日本語で会話しなければ」と構えすぎず、必要に応じて翻訳機や通訳を活用するようにしましょう。
また、中国語話者には筆談を利用することも効果的です。中国語では日本語と同様に漢字を使用するため、会話よりも筆談の方が伝わりやすい場面があるためです。
外国人材の日本語によるコミュニケーション能力を向上させる方法
日本人社員と外国人材がお互いに歩み寄ることで、気持ち良い職場環境を作ることができます。職場でのコミュニケーションを円滑にするためには、日本人社員が会話の方法や話し方に注意するだけでなく、外国人材にも日本語を上達してもらうことがおすすめです。ここでは、外国人材の日本語によるコミュニケーション能力を向上させる方法について解説します。
- 日本人らしい発音ができるよう日本語レッスンを行う
- 日本語で知っている語彙や文法を増やす
- 日本人と日本語でコミュニケーションを取る機会を増やす
参照元:
日本人らしい発音ができるよう日本語レッスンを行う
外国人材の日本語を上達させるには、日本語レッスンが有効です。特に、外国人材が発音しづらい音にフォーカスしながら、日本人らしい発音ができるよう練習することが重要です。効率的に会話力を向上するためには、日本語教育の専門家から直接日本語レッスンをしてもらうことがおすすめです。
明光グローバルでは、プロ講師によるリアルタイムレッスンを実施しています。発音の細やかな修正や自然な日本語表現への言い換え、ビジネスマナーを意識した指導ができるため、実用的な日本語運用能力を育成することが可能です。ご興味のある方は、ぜひお気軽に明光グローバルまでお問い合わせください。
日本語で知っている語彙や文法を増やす
日本語の語彙や文法の知識を増やすことも、外国人材の日本語によるコミュニケーション能力を向上させるうえで重要なポイントです。
語彙や文法が定着すれば、会話の中でもスムーズに知識を引き出すことができます。そのためには、外国人材の継続的な日本語学習が不可欠です。
明光グローバルの外国人向けオンライン日本語学習ツール「Japany」なら、スマートフォンやパソコンから、スキマ時間を活用して効率的に日本語を学ぶことができます。外国人材が無理なく続けられる日本語学習ツールをお探しの方におすすめのeラーニングです。
日本人と日本語でコミュニケーションを取る機会を増やす
外国人材の会話力を磨くには、日本人社員と日本語でコミュニケーションを取る機会を増やすことも有効です。
外国人材にとって、日本人社員の同僚は最も身近なネイティブスピーカーです。日本人社員との交流機会を積極的に持つことで、外国人材の日本語のコミュニケーション能力を向上させることができます。
また、社会同士の絆が深まり、職場のチームワークを高めることもできるため、企業としては一石二鳥の効果を得られます。交流機会としては、会社の懇親会やオリエンテーション、地域行事、地元のイベントなどに誘うのがおすすめです。
外国人材の採用に伴う各種教育研修プログラムは明光グローバルにおまかせ
外国人材の日本語が聞き取れないときは、ゆっくり話してもらえるよう促したり、復唱して意図を確認したりすることで、コミュニケーションがしやすくなります。このような教育の場として、職場の日本人社員に対して「外国人受け入れ研修」を実施するのがおすすめです。また、外国人材に対しても、継続的に会話力を向上できるよう、日本語教育の場を設けることが重要です。
明光グローバルでは、外国人受入れ研修や日本語教育研修など、さまざまな教育研修プログラムを提供しています。最後に、外国人材の採用に伴う教育研修に課題を感じられている企業の経営者や人事・教育担当者の方に向けて、明光グローバルについて紹介します。
明光グローバルとは
明光グローバルは、外国人材の就労機会の創出と育成を通して、日本企業の持続的な成長をサポートする教育系人材サービスです。
40年以上の個別指導の教育実績、そして10年以上の日本語教育の実績を持つ明光ネットワークジャパングループの知見を活かし、外国人材の育成と企業の人材課題解決に特化したサービスを提供しています。
JCLIや早稲田EDU日本語学校での豊富な教育ノウハウを活かし、特定技能試験対策から業界別の専門教育まで、幅広いニーズに対応しています。外務省からEPA事業を4期連続で受託するなど、高い信頼性と実績を誇ります。
明光グローバルの主要サービス
事業 | サービス |
---|---|
教育研修事業 | ・eラーニングによる日本語教育(スマホアプリに対応) ・対面/オンラインによる日本語レッスン ・外国籍人材と日本人に向けた各種研修プログラム ・外国籍人材に向けた各種試験対策講座 |
人材紹介事業 | ・特定技能人材の紹介 ・外国籍エンジニアの人材紹介 ・教育伴走型の登録支援サービス |
特定技能人材やエンジニアの紹介から、外国人社員向けの教育・研修サービスまで、幅広いノウハウを提供しています。単なる日本語教育にとどまらず、企業での実践力を重視した総合的な人材育成を行っています。
明光グローバルの各種教育・研修サービスとは
明光グローバルでは、外国人材の日本語能力向上と各業界に特化した学習支援を4つの柱で展開しています。時間や場所を問わない「Japany」でのeラーニングから、ビジネス経験豊富な講師による個別指導まで、幅広いニーズに対応できることが特徴です。
サービス | 概要 |
---|---|
外国人向けオンライン日本語学習ツール「Japany」 | ・1,200本以上の豊富な動画教材 ・N5~N1レベルまでの総合的な学習コンテンツ ・多言語対応により初学習者も安心して学習が可能 ・特定技能2号試験対策コンテンツも搭載(外食業、飲食料品製造業、製造業、宿泊業) |
オンライン日本語レッスン | ・ビジネス経験豊富な講師による個別指導 ・業界別カスタマイズカリキュラム ・定期的にレッスン報告書を企業に提供 |
各種研修プログラム | 【外国人材向け】新入社員研修、異文化理解研修等 【日本人社員向け】外国人材受入れ研修等 |
各種試験対策講座 | ・専門講師が直接指導 ・実施方法はオンライン/対面いずれも対応可能 ・受講人数や実施回数など企業毎にカスタマイズして対応可能 ※介護福祉士試験対策講座、特定技能2号試験対策講座(外食、飲食料品製造、製造業、建設の4分野に対応) |
明光グローバルの各種教育・研修サービスの特徴
明光グローバルの外国人社員向け各種教育・研修サービスの強みは「実用性の高さ」「カスタマイズ性」「豊富な実績」の3点です。
明光グループでは、これまで40年以上もの間、個別指導をはじめとした教育活動を実施してきました。そのため、明光グローバルには、企業様の状況に合わせた実用的な学習コンテンツが蓄積されています。学習した内容をすぐに現場で活かすことができるため、社員がモチベーション高く取り組むことができるでしょう。
また、さまざまな研修コンテンツを、企業の状況に応じてカスタマイズできることも特長です。外国人社員向けの日本語能力向上の研修だけでなく、業界や職種に特化したビジネスマナーや接遇・セールス研修、外国人社員を受け入れる日本人社員向けの受け入れ研修や異文化理解研修、異文化コミュニケーション研修など、幅広い研修を行うことができます。
さらに、EPA事業を外務省から4期連続で受託しており、国内外ともに豊富な導入実績を持っています。企業の規模や外国人社員の採用経験の多寡を問わず、さまざまなサポートが可能です。
まとめ
外国人材と日本人社員が相互に歩み寄ることで、働きやすい職場づくりができます。ミスコミュニケーションが発生する原因を考え、お互いに学び合うことが重要です。
明光グローバルなら、外国人材の採用・教育・定着や、日本人社員に対する教育をワンストップで支援できます。企業に対する豊富な支援実績があるため、はじめて外国人材を採用する企業も安心です。
外国人材の雇用に関するお悩みについては、ぜひお気軽に明光グローバルまでお問い合わせください。