特定技能「介護」は、介護分野における人材不足の解消策として注目を集めています。今回は、特定技能「介護」の概要や外国人材を受け入れるメリット、受入れ側が注意すべきポイントについて解説します。介護現場の人材確保にお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
特定技能とは
特定技能とは、人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野(以降「特定産業分野」)において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを構築するために創設された在留資格です。
特定技能の在留資格を活用して日本で働く外国人材のことを特定技能外国人と呼びます。生産年齢人口の減少による深刻な人材難が発生する中、さまざまな企業で特定技能外国人の受入れが進められています。
特定技能の在留資格には「特定技能1号」「特定技能2号」の2種類があります。
- 特定技能1号:特定産業分野に属する相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動を行う在留資格です。取得するためには日本語試験・技能試験への合格が必要となります。ただし、同じ業務分野の技能実習2号を良好に修了した場合は免除されます。
- 特定技能2号:特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動を行う在留資格です。取得にあたって特定技能1号よりも高度な技能試験に合格する必要があるほか、一定の実務経験が必要です。
特定技能1号と特定技能2号には、さまざまな面で違いがありますが、特定技能2号の方が取得の難易度が高い反面、在留条件は優遇されている点が多いです。ただし、特定産業分野や業務区分によっては、特定技能2号の在留資格が設けられていない場合があります。
義務的支援・登録支援機関とは
特定技能1号の外国人材を雇用する場合、受入れ機関は「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、当該計画に基づいて義務的支援を行わなければなりません。
義務的支援とは、来日前の事前ガイダンスや出入国の際の送迎、住宅確保・生活に必要な契約支援など、特定技能運用要領で定める10項目の支援のことです。義務的支援の提供には、専門的な知見やノウハウ、人的リソースが求められます。
受入れ機関で義務的支援を実施できない場合、登録支援機関に支援を委託することができます。登録支援機関とは、受入れ機関に代わって特定技能1号の外国人材に対する支援や出入国在留管理庁に対する各種届出を実行する機関のことです。登録支援機関として活動するためには出入国在留管理庁による認可が必要となります。
特定技能「介護」とは
特定技能「介護」とは、深刻化する介護人材不足に対応するために創設された在留資格です。この制度により、一定の介護技能と日本語能力を持つ外国人材が日本の介護現場で働くことが可能になりました。
ここでは、特定技能「介護」の具体的な概要や対応可能な業務、在留外国人の状況について解説します。
特定技能「介護」の概要
特定技能「介護」は、介護分野の人材不足解消を目的とした在留資格制度です。在留資格の概要は次のとおりです。
■特定技能「介護」の概要
| 概要 | 内容 |
|---|---|
| 在留資格の種類 | 特定技能1号 |
| 在留期間 | 最長5年間 (法務大臣が個々に指定する3年を超えない範囲の期間で要更新) |
| 雇用形態 | 直接雇用のみ (派遣不可) |
| 労働条件 | 報酬の額や労働時間などが日本人と同等以上である必要がある |
| 支援の要否 | 所属機関または登録支援機関による支援が必要である |
| 転職の可否 | 原則として転職が可能 (在留資格変更許可が必要) |
特定技能「介護」制度により、一定の介護技能と日本語能力を持つ外国人材が、最長5年間日本の介護現場で働くことができます。
さらに、特定技能「介護」の在留期間5年以内に介護福祉士資格を取得できれば、在留資格「介護」に移行することが可能です。その場合、在留資格の更新回数の制限がなくなり、更新時の審査に通過する限りは永続的に日本で就労することが可能になります。特定技能「介護」で対応可能な業務
特定技能「介護」では、高齢や障害で、生活をする時に介護が必要になった人たちへの身体介護などのほか、レクリエーションや機能訓練の補助など身体介護に付随する支援業務に従事することが可能です。身体介護には、介護を受ける人の状況にあわせた入浴、食事、排せつの介助などが含まれます。
これらの主な業務のほか、同じ仕事に従事する日本人社員が通常あわせて従事することになる関連業務についても任せることができます。関連業務の例としては、掲示物の管理や業務に使用する物品の補充・管理などが含まれます。
ただし、主な業務に従事させず、関連業務のみを任せることはできないため注意が必要です。詳細は次のとおりです。
■特定技能「介護」で対応可能な業務
| 概要 | 内容 |
|---|---|
| 従事する主な業務 | ・身体介護(入浴、食事、排せつの介助等) ・レクリエーションの実施 ・機能訓練の補助 |
| 想定される関連業務 | ・お知らせなどの掲示物の管理 ・物品の補充や管理など |
特定技能制度の創設当初、介護分野の特定技能外国人は訪問系サービスに従事することができませんでした。2025年10月時点では、特定技能外国人が介護職員初任者研修を修了し、介護事業所などでの実務経験を有する場合には、受入れ機関が遵守事項を適切に履行していることを条件として、訪問系サービスへ従事することが可能となっています。実務経験については、原則として介護事業所などで1年以上業務に従事している必要があります。
参照元:介護分野における特定技能外国人の受入れについて(厚生労働省)
特定技能「介護」における国籍別の在留外国人数
特定技能「介護」の在留外国人数は急増しており、特に東南アジアからの人材が多くを占めています。令和7年におけるデータは次のとおりです。
■特定技能「介護」分野の国籍別在留外国人
| 概要 | 内容 |
|---|---|
| 総在留者数 | ・54,916人 ・特定技能1号全体に占める割合:16.5% |
| 国籍別在留者数 | 第1位:インドネシア(16,249人) 第2位:ミャンマー(15,046人) 第3位:ベトナム(9,713人) 第4位:フィリピン(5,122人) 第5位:ネパール(4,713人) |
統計から見て取れるのは、特定技能「介護」の在留外国人は主に東南アジアおよび南アジア出身者が多いことです。この傾向は、日本と東南アジア諸国との経済的・文化的つながりの深さを反映しており、今後も介護分野における重要な人材の供給源となることが期待されています。
参照元:【第1表】主な国籍・地域別 特定産業分野別 特定技能1号在留外国人数「特定技能在留外国人数 第1表」(出入国在留管理庁)
特定技能「介護」の特徴
特定技能「介護」にはどのような特徴があるのでしょうか?ここでは、その主なポイントを解説します。
- 特定技能1号からステップアップする場合は在留資格「介護」に移行する
- 幅広い業務を任せることができる
- 介護に関する専門的な知識・技能を習得している
特定技能1号からステップアップする場合は在留資格「介護」に移行する
一つ目の特徴は、特定技能1号からステップアップする場合は在留資格「介護」に移行するという点です。
特定技能「介護」には、特定技能1号の在留資格のみが設けられており、特定技能2号の在留資格がありません。これは、特定技能1号からのステップアップ先として、在留資格「介護」が存在するためです。
在留資格「介護」は、外国人材が介護福祉士として専門的な介護業務に従事するための在留資格です。在留資格「介護」に移行すると、外国人材が日本に在留できる期間の上限がなくなり、資格更新を行えば永続的に国内で働けるようになります。そのため、長期的かつ安定的な人材確保の実現に向けて、外国人材の在留資格「介護」の取得を支援する企業も多いです。
幅広い業務を任せることができる
二つ目の特徴は、介護に関する幅広い業務を任せることができる点です。
前述のとおり、特定技能「介護」では、入浴、食事、排せつの介助といった身体介護に加え、これに付随するレクリエーションの実施や機能訓練の補助といった支援業務などにも従事することができます。老人ホームや障がい者支援施設での業務に加え、要件を満たせば訪問系サービスにも従事が可能となっており、働くうえでの制限が少ないことが特徴となっています。
介護に関する専門的な知識・技能を習得している
三つ目の特徴は、在留資格の取得時点で介護に関する専門的な知識・技能を習得している点です。
特定技能「介護」の在留資格を取得するためには、一般的な日本語試験である日本語能力試験(以降「JLPT」)または国際交流基金日本語基礎テスト(以降「JFT-Basic」)への合格に加えて、介護に関する専門的な日本語の知識を確認する介護日本語評価試験に合格しなければなりません。また、介護に関する専門的な技能の程度を確認する介護技能評価試験への合格も求められます。
このように、特定技能「介護」の外国人材は、在留資格を取得するまでに一定の専門的な日本語能力や技術力を担保されています。そのため、現場に配属されてからも即戦力として活躍することができます。
特定技能「介護」による外国人材受入れのメリット
特定技能「介護」制度は、深刻な人手不足に悩む介護業界と、日本での就労を希望する外国人材の双方にとって大きなメリットです。では、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、介護施設側と外国人材側のそれぞれの視点から解説します。
介護施設側:人材確保、即戦力等
特定技能「介護」制度は、介護施設にとって人材確保の有効な手段となります。主なメリットは次のとおりです。
■介護施設側のメリット
| 概要 | 内容 |
|---|---|
| メリット | ・深刻な人材不足の解消 ・即戦力となる人材の獲得 ・短期間での離職リスクが低い |
| 具体的な利点 | ・夜勤対応が可能(1人での夜勤も可) ・入国後すぐに就労開始可能 ・人員配置基準にカウント可能 ・最長5年間の継続雇用が可能 |
これらのメリットにより、介護施設は安定した人材確保と業務運営が可能になります。さらに、外国人材の多様な視点や文化的背景が、施設のサービス向上や職場環境の活性化につながる可能性もあるでしょう。
特定技能「介護」制度は、介護業界の人材不足解消と質の高いサービス提供の両立に貢献する重要な施策といえます。
外国人材側:キャリア形成、日本での就労機会等
外国人材にとっては、魅力的なキャリア形成の機会を得られることが特定技能「介護」のメリットです。
■外国人材側のメリット
| 概要 | 内容 |
|---|---|
| 就労機会 | ・最長5年間の在留が可能 ・介護福祉士資格取得で永続的な在留可能 |
| キャリア形成 | ・日本の高品質な介護サービスの習得 |
| 待遇面 | ・日本人と同等以上の給与 ・社会保険等の福利厚生 |
| 成長機会 | ・日本語能力の向上 ・異文化への理解が向上 ・コミュニケーション能力の向上 |
日本で貴重な経験を積みながら、自身のキャリアを発展させられる可能性があることが外国人材にとってはメリットだといえます。また、習得した技術や知識は、将来的に母国の介護分野の発展にも貢献する可能性もあるでしょう。
特定技能「介護」制度は、外国人材の成長と日本の介護業界の発展を同時に実現できる、今後の日本にとって重要な制度です。
特定技能外国人の施設や事業所における受入れ要件
特定技能外国人を受け入れる場合、受入れ機関はすべての特定産業分野に共通する要件として、次のものを満たす必要があります。
- 外国人材と結ぶ雇用契約が適切である:報酬の額・労働時間などが日本人と同等以上など、適切な雇用契約を締結することが必要です。
- 受入れ機関自体が適切である:法令などを遵守しているか、欠格事由に該当していないかなどが確認されます。
- (特定技能1号の外国人材を受け入れる場合)適切な支援計画・支援体制がある:特定技能1号の外国人材を受け入れる場合、「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、当該計画に基づいて義務的支援を実行する体制があるかが確認されます。
上記の要件に加えて、特定技能「介護」のみに課されている要件もあります。ここでは、特定技能「介護」の外国人材を受け入れる施設や事業所において遵守しなければいけない受入れ要件について紹介します。
協議会に加入する
介護分野で特定技能外国人を受け入れる場合には、在留資格の申請手続きの前に、介護分野における特定技能外国人の受入れに関する協議会(以降「協議会」)に加入する必要があります。
協議会とは、特定技能制度の適切な運用を図るために厚生労働大臣が設置している機関です。特定技能「介護」の制度に関する情報の周知や法令遵守の啓発、地域ごとの制度の利用実態の把握などの活動を行っています。協議会に加入して以降は、協議会に対し、適宜必要な協力を行うなどしなければなりません。
詳しい内容については下の表のとおりです。
■特定技能協議会への参加義務の概要
| 概要 | 内容 |
|---|---|
| 参加義務の概要 | 対象:特定技能外国人を受け入れるすべての機関 目的:情報共有、法令遵守の徹底、優良事例の普及 加入時期:在留資格申請の前 |
| 具体的な加入手順 | 1.協議会への入会申請 2.必要書類の提出(受入れ事業所情報等) 3.入会証明書の発行 |
参照元:
事業所ごとの人数枠の要件を満たす
介護分野で特定技能外国人を受け入れる場合は、事業所ごとの人数枠の要件を満たす必要があります。
特定技能「介護」においては、事業所単位で人数枠の要件が課されています。具体的には、事業所で働く介護分野の特定技能外国人の総数が、日本人等の常勤の介護職員の総数を超えないようにしなければなりません。
「日本人等の常勤の介護職員」の中には、次の外国人材も含まれます。
- 介護福祉士国家試験に合格したEPA介護福祉士
- 在留資格「介護」で在留する外国人材
- 永住者・日本人の配偶者など、身分・地位に基づく在留資格で在留する外国人材
(訪問系サービスを行う場合)遵守事項の要件を満たす
特定技能外国人を訪問系サービスに従事させる場合は、遵守事項の要件に適合しているかどうかを協議会が確認・判断します。具体的には、以下の遵守事項を満たす必要があります。
- 特定技能外国人に対して、訪問系サービスの基本事項や生活支援技術、利用者・家族・近隣とのコミュニケーション、日本の生活様式、緊急時を想定した内容などを含む講習を実施する
- 特定技能外国人が一人でサービス提供できるまでの間、サービス提供責任者等が同行するなどして必要なOJTを行う
- 特定技能外国人に対して、業務内容や注意事項を丁寧に説明し、キャリアパスの構築に向けてキャリアアップ計画等を作成する
- ハラスメント防止マニュアルを作成・共有し、相談窓口などを設置する
- 訪問先での不測の事態に備え、緊急時の連絡先・対応フローなどをまとめたマニュアルを作成・共有し、緊急時を想定した研修を実施、他の職員が駆け付けられる体制づくりや、サービス提供記録・申し送り事項を全員で情報共有する仕組みの整備・構築を行う
詳しい内容については、厚生労働省の案内を参照してください。
参照元:外国人介護人材の訪問系サービスへの従事について(厚生労働省)
特定技能「介護」の申請プロセス
特定技能「介護」の在留資格を申請する際には、どのようなプロセスを経る必要があるのでしょうか?ここでは、特定技能「介護」の在留資格を取得するために必要な申請プロセスについて解説します。
申請に必要な書類と手続きの流れ
特定技能「介護」の申請には、複数の書類提出と就労までの手続きが必要です。
自社での対応が難しい場合、登録支援機関に在留資格関連の申請をサポートしてもらうことも可能です。明光グローバルは登録支援機関として認可を受けているため、在留資格関連の申請についてアドバイスを提供することが可能です。
主な必要書類
特定技能「介護」の申請には、主に次の書類が必要となります。
- 申請者に関する書類:在留資格変更許可申請書、技能試験合格証明書など
- 受入れ機関に関する資料:特定技能所属機関概要書など
- 介護分野に関する書類:協議会の構成員であることの証明書など
- 雇用契約に関する書類:雇用契約書の写しなど
手続きの流れ
手続きの方法は、日本国内に在留している外国人を採用するケースと、海外から来日する外国人を採用するケースの2パターンに分かれます。
日本国内に在留している外国人を採用するケース
- (外国人が)試験に合格又は技能実習2号を修了
- 特定技能外国人と雇用契約を結ぶ
- 特定技能外国人の支援計画を策定する
- 在留資格変更許可申請を地方出入国在留管理局で行う
- 「特定技能1号」へ在留資格変更
- 就労開始
海外から来日する外国人を採用するケース
- (外国人が)試験に合格又は技能実習2号を修了
- 特定技能外国人と雇用契約を結ぶ
- 特定技能外国人の支援計画を策定する
- 在留資格認定証明書交付申請を地方出入国在留管理局で行う
- 在留資格認定証明書受領
- 在外公館に査証(ビザ)申請
- 査証(ビザ)受領
- 入国
- 就労開始
特定技能「介護」の取得要件
外国人材が特定技能「介護」を取得する要件としては、次のものを満たす必要があります。
- 技能試験(介護技能評価試験)に合格する
- 日本語試験(介護日本語評価試験・JLPT N4またはJFT Basicのいずれか)に合格する
ただし、次のものに該当する場合は、技能試験・日本語試験が免除されます。
- 介護職種の技能実習2号を良好に修了した方
- 介護福祉士養成施設を修了した方
- EPA介護福祉士候補者として4年間の在留期間を満了した方
ここでは、特定技能「介護」の取得要件について詳しく解説します。
介護技能評価試験の概要
特定技能「介護」の取得には、介護技能評価試験の合格が必要です。介護技能評価試験の概要は次のとおりです。
■介護技能評価試験の概要
| 項目 | 介護技能評価試験 |
|---|---|
| 目的 | 介護の基本的知識と技能の評価 |
| 形式 | CBT(コンピューターベース)方式 |
| 試験日程 | 開催国に応じた頻度で毎月一定程度開催 |
| 開催国 | バングラデシュ・カンボジア・インド・インドネシア・日本・モンゴル・ミャンマー・ネパール(NPJ05を除く)・フィリピン・スリランカ・タイ・ウズベキスタン・ベトナム・パキスタン |
| 試験時間 | 60分 |
| 試験科目 | 学科試験:40問 ・介護の基本 ・こころとからだのしくみ(6問) ・コミュニケーション技術(4問) ・生活支援技術(20問) 実技試験:5問 ・生活支援技術(5問) |
| 合格基準 | 問題の難易度によって決定される |
また、合格率は次のとおりです。
■合格率(国内および13か国のデータ)単位[受験者数・合格者数:人][合格率:%]
| 項目 | 介護技能評価試験 | ||
| 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
| 日本国内 | 1,036 | 772 | 74.5 |
| フィリピン | 240 | 184 | 76.7 |
| カンボジア | 14 | 10 | 71.4 |
| ネパール | 597 | 435 | 72.9 |
| インドネシア | 1,930 | 1,670 | 86.5 |
| モンゴル | 0 | 0 | 0 |
| ミャンマー | 2,197 | 2,040 | 92.9 |
| タイ | 11 | 11 | 100.0 |
| インド | 31 | 16 | 51.6 |
| スリランカ | 227 | 107 | 47.1 |
| ウズベキスタン | 2 | 1 | 50.0 |
| バングラデシュ | 78 | 45 | 57.7 |
| ベトナム | 139 | 132 | 95.0 |
| パキスタン | 0 | 0 | 0 |
※介護分野における特定技能試験結果について(厚生労働省)における令和7年(2025年)8月時点での合格率を参照の上作成
参照元:
介護日本語評価試験の概要
特定技能「介護」を取得するためには、介護日本語評価試験にも合格する必要があります。介護日本語評価試験の概要は次のとおりです。
■介護日本語評価試験の概要
| 項目 | 介護日本語評価試験 |
|---|---|
| 目的 | 介護現場で必要な日本語能力の評価 |
| 形式 | CBT(コンピューターベース)方式 |
| 試験日程 | 開催国に応じた頻度で毎月一定程度開催 |
| 開催国 | バングラデシュ・カンボジア・インド・インドネシア・日本・モンゴル・ミャンマー・ネパール(NPJ05を除く)・フィリピン・スリランカ・タイ・ウズベキスタン・ベトナム・パキスタン |
| 試験時間 | 30分 |
| 試験科目 | 問題数:15問 ・介護のことば(5問) ・介護の会話、声かけ(5問) ・介護の文書(5問) |
| 合格基準 | 問題の難易度によって決定される |
また、合格率は下の表のとおりです。
■合格率(国内および13か国のデータ)単位[受験者数・合格者数:人][合格率:%]
| 項目 | 介護日本語評価試験 | ||
| 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
| 日本国内 | 1,201 | 709 | 59.0 |
| フィリピン | 268 | 128 | 76.7 |
| カンボジア | 22 | 14 | 63.6 |
| ネパール | 750 | 372 | 49.6 |
| インドネシア | 2,160 | 1,451 | 67.2 |
| モンゴル | 0 | 0 | 0 |
| ミャンマー | 2,501 | 1,754 | 70.1 |
| タイ | 15 | 11 | 73.3 |
| インド | 63 | 32 | 50.8 |
| スリランカ | 222 | 136 | 61.3 |
| ウズベキスタン | 4 | 1 | 25.0 |
| バングラデシュ | 117 | 47 | 40.2 |
| ベトナム | 195 | 106 | 54.4 |
| パキスタン | 0 | 0 | 0 |
※介護分野における特定技能試験結果について(厚生労働省)における令和7年(2025年)8月時点での合格率を参照の上作成
参照元:
JLPT N4試験の概要
特定技能「介護」の在留資格を取得するためには、介護日本語評価試験だけではなく、JLPT N4試験に合格するかJFT-Basicで認定基準点以上を取得する必要があります。ここではJLPT N4試験の概要について解説します。
■JLPT N4試験の概要
| 項目 | JLPT N4試験 |
|---|---|
| 目的 | 日本語を母語としない人の日本語能力の測定・認定 |
| 形式 | マークシート方式 |
| 試験日程 | 年2回程度開催 |
| 開催国 | 台湾を含む81の国・地域、246都市で開催 |
| 試験時間 | 125分 |
| 試験科目 | 問題数:98問 ・言語知識(文字・語彙)(35問) ・言語知識(文法)・読解(35問) ・聴解(28問) |
| 合格基準 | ・総合得点が合格点以上(180点満点中90点以上) ・得点区分別得点が基準点以上(言語知識・読解で120点満点中38点以上・聴解で60点満点中19点以上) |
また、合格率は下の表のとおりです。
■合格率(国内・海外合計データ)単位[受験者数・合格者数:人][合格率:%]
| 開催時期 | JLPT N4試験 | ||
| 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
| 2023年12月 | 149,334 | 47,243 | 31.6 |
| 2024年7月 | 157,053 | 64,207 | 40.9 |
| 2024年12月 | 182,206 | 64,789 | 35.6 |
※過去の試験のデータ(日本語能力試験JLPT)を参照の上作成
参照元:
在留資格「介護」に移行する際の要件
特定技能「介護」からステップアップする場合は在留資格「介護」に移行します。
在留資格「介護」を取得するためには介護福祉士の資格を取得しなければなりません。介護福祉士の資格を取得するには、以下の実務経験の要件・実務者研修の要件を満たしたうえで、介護福祉士国家試験に合格する必要があります。
- 実務経験:実務期間3年以上にわたって、介護などの業務に従事している。従事期間としては3年以上(1,095日以上)、従事日数としては540日以上である必要がある
- 実務者研修:養成施設などで実務者研修を修了している。実務者研修にかわって、介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修(3号研修を除く)を修了している場合も受験資格として認められる
ここでは、介護福祉士試験の概要を紹介します。
介護福祉士試験の概要
介護福祉士試験の概要は以下の通りです。
■介護福祉士試験の概要
| 項目 | 介護福祉士試験 |
|---|---|
| 目的 | 介護の専門的な知識と技術を有することを証明すること |
| 形式 | マークシート方式 |
| 試験日程 | 年1回程度開催 |
| 開催国 | 日本国内のみ(35か所の試験地にて開催) |
| 試験時間 | 220分 |
| 試験科目 | ・人間の尊厳と自立 ・人間関係とコミュニケーション ・社会の理解 ・介護の基本 ・コミュニケーション技術 ・生活支援技術 ・介護課程 ・こころとからだのしくみ ・発達と老化の理解 ・認知症の理解 ・障害の理解 ・医療的ケア ・総合問題 |
| 合格基準 | (1)全パートを受験した者 ・総得点の60%程度以上の得点の者 ・全ての試験科目において得点があった者 ・全てのパートを受験した全受験者のパート別の平均得点の比率を用いた合格基準点以上を得点している者、かつ、パートを構成する全ての試験科目群において得点があった者 (2)一部のパートを受験した者 ・全てのパートを受験した全受験者のパート別の平均得点の比率を用いた合格基準点以上を得点している者、かつ、パートを構成する全ての試験科目群において得点があった者 |
また、特定技能1号の外国人材が介護福祉士試験を受験した場合の合格率は次の表の通りです。
■合格率(特定技能1号の外国人材のデータ)単位[受験者数・合格者数:人][合格率:%]
| 開催回 | 介護福祉士試験 | ||
| 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
| 第36回 | 1,950 | 751 | 38.5 |
| 第37回 | 4,932 | 1,643 | 33.3 |
※介護福祉士国家試験の受験者・合格者・合格率の推移(厚生労働省)をもとに作成
参照元:介護福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)
特定技能「介護」の受入れ側の注意点
特定技能「介護」制度を活用する際、受入れ側には遵守すべき重要な注意点があります。適切な労働環境の確保、文化的な配慮、法的手続きの遂行など、さまざまな側面に気を配る必要があります。
注意点を適切に理解し対応することで、外国人材と共に働くことができ、双方にとって有益な関係を築くことができます。では、具体的にどのような点に注意を払うべきなのでしょうか?ここでは、特定技能「介護」の受入れ側の注意点について解説します。
- 文化的な違いを理解する必要がある
- 適切な労働環境を確保しなければならない
- 特定技能外国人支援計画の作成と実施が必要になる
- 特定技能協議会へ参加する義務がある
文化的な違いを理解する必要がある
特定技能「介護」の外国人材の受入れにおいて、文化的な違いへの理解は極めて重要です。なぜなら、文化の違いが円滑なコミュニケーションや、質の高いケアを提供するための障壁となる可能性があるからです。
たとえば、次のような課題が考えられます。
- 採用前:言語の壁、生活習慣の違い、宗教的配慮
- 採用後:利用者の不安、チームワークの構築、日本特有の介護文化の理解
課題に対応するには、次のような対応が効果的です。
- 事前の異文化理解研修を実施する
- 日本人スタッフとの交流機会を定期的に作る
- サービス利用者へ丁寧に説明し理解の促進を図る
文化的な違いを相互で理解し対応することで、多様性を活かした職場環境を築くことができます。
適切な労働環境を確保しなければならない
特定技能「介護」の外国人材に対し、適切な労働環境の確保は不可欠といえます。法的義務であると同時に、外国人材の定着と生産性向上のために重要だからです。
適切な労働環境には、次のものが含まれます。
- 日本人と同等以上の雇用条件(給与、労働時間、休暇)
- 社会保険への加入
- 安全衛生管理の徹底
- ハラスメント防止対策
- キャリアアップ支援
たとえば、ある介護施設では、外国人材に対して日本人スタッフと同等の待遇を採用しており、定期的な研修機会を提供することで、高い定着率と職場満足度を実現しています。
適切な労働環境の確保は外国人材の権利を守るだけでなく、受入れ機関の評判が良くなったり、優秀な人材の継続的確保につながったりする可能性もあるでしょう。
特定技能外国人支援計画の作成と実施が必要になる
特定技能1号の外国人を受け入れる際、支援計画の作成と実施が必要になります。なぜなら、外国人材の円滑な就労と生活を支援するために重要だからです。
支援計画書は在留資格申請時に提出が必要で、計画に基づいた支援の実施が求められます。適切な支援は、外国人材の定着率向上と能力発揮につながり、受入れ機関にとっても大きなメリットとなるでしょう。
一方、受入れ機関によっては、知見やノウハウ、人的リソースの不足から、支援計画の作成や義務的支援の提供が難しい場合があります。明光グローバルでは、登録支援機関としてこれらの支援を受託することが可能です。義務的支援の提供にお困りの際には明光グローバルまでお気軽にお問い合わせください。
日本語試験・技能試験・介護福祉士試験に合格するには十分な試験対策が必要となる
特定技能「介護」の在留資格の取得要件として設置されている日本語試験・技能試験は全員が合格できる試験ではありません。日本語試験・技能試験に合格するためには、あらかじめ試験対策に取り組むことが必要です。
また、特定技能「介護」から在留資格「介護」に移行する際には介護福祉士試験に合格する必要もあります。しかし、外国人材が介護福祉士試験に合格することは非常にハードルが高いため、まとまった学習期間を設けて集中的に試験対策に取り組む必要があります。
明光グローバルでは、特定技能の日本語試験対策を効率的に進めることができる外国人向けオンライン日本語学習ツール「Japany」を提供しています。また、在留資格「介護」への移行に向けて、外国人向けの介護福祉士の試験対策講座も実施しています。特定技能「介護」や在留資格「介護」の取得に向けた学習支援にお悩みの企業の担当者の方はぜひ明光グローバルにご相談ください。
特定技能「介護」に関する試験対策は明光グローバルにお任せください
特定技能「介護」の外国人材を採用することで、介護の現場における慢性的な人材不足を解消することが可能です。また、特定技能「介護」から在留資格「介護」に移行してもらうことにより、より長期的かつ安定的な人材確保を実現することができます。
外国人材が特定技能「介護」を取得するには、日本語試験・技能試験に合格しなければなりません。また、介護福祉士試験は高度な専門知識と日本語能力を要するため、適切な対策が不可欠となります。
明光グローバルでは、豊富な経験と実績を持つ専門家が、効果的な試験対策サポートを提供しています。最後に、雇用している外国人材に特定技能の在留資格を取得させたい企業や特定技能「介護」の外国人材を在留資格「介護」に移行させたい企業の経営者や人事、教育担当者の方に向けて、明光グローバルの教育研修サービスについて解説します。
明光グローバルとは
明光グローバルは、外国人材の就労機会の創出と育成を通して、日本企業の持続的な成長をサポートする教育系人材サービスです。
40年以上の個別指導の教育実績、そして10年以上の日本語教育の実績を持つ明光ネットワークジャパングループの知見を活かし、外国人材の育成と企業の人材課題解決に特化したサービスを提供しています。
JCLIや早稲田EDU日本語学校での豊富な教育ノウハウを活かし、特定技能試験対策から業界別の専門教育まで、幅広いニーズに対応しています。外務省からEPA事業を5期連続で受託するなど、高い信頼性と実績を誇ります。
明光グローバルの主要サービス
| 事業 | サービス |
|---|---|
| 教育研修事業 | ・eラーニングによる日本語教育(スマホアプリに対応) ・対面/オンラインによる日本語レッスン ・外国籍人材と日本人に向けた各種研修プログラム ・外国籍人材に向けた各種試験対策講座 |
| 人材紹介事業 | ・特定技能人材の紹介 ・外国籍エンジニアの人材紹介 ・教育伴走型の登録支援サービス |
特定技能人材やエンジニアの紹介から、外国人社員向けの教育・研修サービスまで、幅広いノウハウを提供しています。単なる日本語教育にとどまらず、企業での実践力を重視した総合的な人材育成を行っています。
外国人社員向け各種教育・研修サービス
明光グローバルでは、外国人材の日本語能力向上と各業界に特化した学習支援を4つの柱で展開しています。時間や場所を問わない「Japany」でのeラーニングから、ビジネス経験豊富な講師による個別指導まで、幅広いニーズに対応できることが特徴です。
「Japany」を活用することで、特定技能「介護」の取得に必要なJLPTなどの日本語試験対策が可能です。詳しくは下の表の通りです。
| サービス | 概要 |
|---|---|
| 外国人向けオンライン日本語学習ツール「Japany」 | ・1,400本以上の豊富な動画教材 ・N5~N1レベルまでの総合的な学習コンテンツ ・多言語対応により初学習者も安心して学習が可能 ・特定技能2号試験対策コンテンツも搭載(外食業、飲食料品製造業、製造業、宿泊業) |
| オンライン日本語レッスン | ・ビジネス経験豊富な講師による個別指導 ・業界別カスタマイズカリキュラム ・定期的にレッスン報告書を企業に提供 |
| 各種研修プログラム | 【外国人材向け】新入社員研修、異文化理解研修等 【日本人社員向け】外国人材受入れ研修等 |
| 各種試験対策講座 | ・専門講師が直接指導 ・実施方法はオンライン/対面いずれも対応可能 ・受講人数や実施回数など企業毎にカスタマイズして対応可能 ※介護福祉士試験対策講座、特定技能2号試験対策講座(外食、飲食料品製造、製造業、建設の4分野に対応) |
介護福祉士の試験対策講座
明光グローバルは、外国人向けに特化した「介護福祉士の試験対策講座」を提供しています。外国人受験者特有の課題に対応しており、効果的な学習方法を取り入れていることが特徴です。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 段階的学習プラン | ・基礎日本語から専門知識まで、レベルに応じた学習 ・N5からN2以上まで、幅広い日本語能力に対応 |
| 実践的な訓練 | ・語彙力、読解力強化の集中トレーニング ・実践的なケーススタディによる知識の定着 |
| 柔軟な学習形態 | ・講座の実施方法(オンライン・対面いずれかを選択可) ・受講人数:企業様のご要望に応じて柔軟に対応可能 |
| 専門性の高いサポート | ・介護現場経験のある日本語教師による指導 ・介護の日本語教育専門家による監修 〇特徴:高い合格実績 〇内容:日本人の合格水準にならぶ高い合格実績(81%) |
介護福祉士の試験対策講座は、日本語能力の向上と介護専門知識の習得を、同時に進められます。また、外国人材がつまずきやすいポイントも網羅されているので、不安なく試験に挑むことができるでしょう。
まとめ
特定技能「介護」は、介護分野の人材不足解消を目的とした在留資格です。特定技能「介護」の外国人材には、介護に関する幅広い業務を任せることができます。そのため、介護の現場における人手不足の解消につながります。
また、介護分野の特定技能外国人は、介護福祉士の資格を取得することで、将来的に在留資格「介護」に移行することができます。在留資格「介護」を取得すれば在留期間の上限なく日本に滞在することができるため、永続的な就労機会を得られるでしょう。
一方、特定技能「介護」の在留資格の取得や、在留資格「介護」に移行するための試験への合格は決して簡単ではありません。外国人材が独力で対策を進めるのは困難であるため、合格を確実なものにするためには受入れ機関側が合格に向けて適切なサポートを提供することが重要です。
明光グローバルでは、特定技能「介護」や在留資格「介護」の取得に向けたさまざまな教育研修サービスを提供しています。明光グローバルの外国人向けオンライン日本語学習ツール「Japany」なら、特定技能「介護」の取得に向けて効率的な日本語試験・技能試験対策が可能です。
また、明光グローバルの「介護福祉士の試験対策サービス」では、介護の基礎知識から試験対策、国家試験直前対策まで、外国人材の知識・経験や学習ニーズに即した講座を提供しています。
外国人材を対象に教育研修サービスを提供してきた豊富な経験と実績に基づいた専門的なサポートで、各種試験への合格を導きます。少しでもご興味をお持ちの方は、お気軽に明光グローバルまでお問い合わせください。



