一般的に外国人材の日本語能力を測定する際には、主に「国際交流基金日本語基礎テスト(以下「JFT-Basic」)」と、「日本語能力試験(以下「JLPT」)」の2種類の試験が活用されています。この2つの試験を比較すると、利用できる範囲や受験できるレベル、試験形式、開催頻度などの面でさまざまな違いがあります。
今回は、JFT-BasicとJLPTの違いや、それぞれのメリット・デメリット、そして自社に合った試験の選び方を徹底検証します。JFT-BasicとJLPTの比較に関心のある企業の経営者や人事、教育担当者の方はぜひ参考にしてみてください。
▼この記事のポイント
- JFT-BasicとJLPTはともに外国人材の日本語能力を測る試験だが、利用できる範囲や受験できる日本語レベル、試験形式、開催頻度などさまざまな面で違いがある
- JFT-Basicは、開催頻度が高く合否結果の通知も早いため、在留期限まで猶予がない場合にも受験しやすい。ただし、測定できる日本語レベルと利用範囲は限定的なので注意
- JLPTは、国際的な知名度が高く、幅広い日本語レベルを測定できるため、さまざまな用途で利用できる。ただし、開催頻度が低く、合否結果の通知にも時間がかかるので注意
- 利用したい用途によって、JFT-BasicとJLPTのどちらの日本語試験を受験すべきかは異なる
株式会社明光キャリアパートナーズ Global HR Division 教育研修チーム マネージャー
荷出 華子
JFT-BasicとJLPTの概要
JFT-BasicとJLPTは、ともに外国人材の日本語能力を測定する際によく活用されている日本語試験です。ここでは、JFT-BasicとJLPTの概要を紹介します。
参照元:
JFT-Basicとは
JFT-Basicとは、就労のために来日する外国人に必要な日本語能力を測定し、「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力」があるかどうかを判定することを目的とした試験です。国際交流基金が運用しています。
2026年現在、特定技能1号や育成就労、留学の在留資格取得に必要な日本語能力水準を測るために活用されています。また、2027年度内に導入予定の育成就労制度においても活用される予定です。
JLPTとは
JLPTとは、就労目的に限定せず、日本語を母語としない人の日本語能力を測定・認定することを目的とした試験です。国際交流基金と日本国際教育支援協会が共同で運用しています。
2026年8月現在、進学、就職、実力の確認など、多様な目的で活用されています。特定技能1号の在留資格を取得する際には、JFT-Basic(A2)またはJLPT N4以上が必要となっています。また、2027年度内に導入予定の育成就労制度でも、JLPT N5の試験が活用される予定です。
JFT-BasicとJLPTの違いを徹底比較
JFT-BasicとJLPTの主な違いを比較すると下の表のようになります。
| 項目 | JFT-Basic | JLPT |
|---|---|---|
| 試験の開催目的 | 主に就労のために来日する外国人が遭遇する生活場面でのコミュニケーションに必要な日本語能力を測ること | 日本語を母語としない人たちの日本語能力を測定し認定すること |
| 受験者の利用目的 | 育成就労・特定技能の在留資格の取得 ※育成就労は2027年度~ | 進学、就職、実力の確認などの多様な目的 |
| 受験可能な言語 | 日本語(問題文を母語に変換可能) | 日本語 |
| 測定可能な日本語レベル | A1、A2.1、A2.2 ※A1、A2.1は2026年8月から | N5~N1 (CEFRレベルにおけるA1~C1に相当) |
| 開催頻度 | 年6回 | 年2回 |
| 開催国・開催地 | 日本および海外約13の国と地域(アジアを中心) | 日本および海外約81の国と地域(アジア・欧米・中東・アフリカなど広くカバー) |
| 合否結果の通知 | 受験当日に合否結果が判明し、受験日から5営業日以内に判定結果通知書を発行 | 受験日から約2ヶ月後に合否が判明、約3ヶ月後に合否結果通知書を発行 |
| 受験料 | 10,000円(日本で受験する場合) | 7,500円(日本で受験する場合) |
ここでは、JFT-BasicとJLPTを比較しながら、各項目を詳しく解説していきます。
試験の開催目的
JLPTと比較すると、JFT-Basicの方が開催目的が限定的です。
JFT-Basicは、主に就労のために来日する外国人が遭遇する生活場面でのコミュニケーションに必要な日本語能力を測ることのみを目的としています。
これに対し、JLPTは日本語を母語としない人たちの日本語能力を測定し認定することが目的となっています。
受験者の利用目的
JFT-Basicと比較すると、JLPTの方が幅広い目的で利用されており、活用場面も多岐にわたります。
JFT-Basicの受験者のほとんどは、育成就労・特定技能など、一部の在留資格の取得を目指す外国人材です。一方、JLPTは進学、就職、実力の確認などの幅広い目的で利用されています。より多様な在留資格の取得や資格試験などにおいて日本語レベルの提示が求められる場面には、JLPTが利用されることが一般的です。
受験可能な言語
受験可能な言語はJFT-Basic・JLPTのどちらも日本語ですが、JFT-Basicの場合には問題文の表示を母語に切り替えることが可能です。
試験の難易度に差はありませんが、JFT-Basicを受験した場合、問題文の読み間違いによる失点は起こりにくいと言えます。
測定可能な日本語レベル
JFT-Basicと比べると、JLPTの方が幅広い日本語レベルを測定することができます。
2026年7月まで、JFT-BasicはA2レベルのみを測定できる試験でした。2026年8月からはA1、A2.1レベルも測定できるようになりましたが、依然としてB1レベル以上の高度な日本語レベルは測ることができません。
これに対し、JLPTの試験はN5~N1までの5段階に分かれています。これらはCEFRレベルにおけるA1~C1に対応しています。
したがって、大学・大学院の入学要件や高度専門職などの在留資格、国家資格の受験資格など、高度な日本語要件を満たす必要がある場合には、受験手段がJLPTしかないことも少なくありません。
開催頻度
JLPTと比較すると、JFT-Basicの方が圧倒的に試験の開催頻度が高いです。
JFT-BasicはCBT方式を採用していることもあり、会場によっては週に複数回程度試験が開催されていることがあります。不合格となった場合、再受験までには45日間あけなければならないので、実質的に受験者が受験できる機会は年6回程度となっています。
一方、JLPTの試験の開催頻度は基本的に年2回であり、地域によっては年1回しか開催されないこともあります。
国内に在留している外国人材は、在留期限までに合格を掴む必要があるなど、スケジュールがタイトであることも多いです。その点では、試験の開催頻度が高いJFT-Basicの方が、不合格だった場合にも再受験のチャンスを作りやすくなります。
開催国・開催地
JFT-Basicよりも、JLPTの方が試験の開催国・開催地は多いです。
JLPTは、幅広い利用目的での受験に対応できるよう、世界中のさまざまな国や地域で試験が実施されています。
一方、JFT-Basicの場合は、国外での開催は就労目的で日本への来日を希望する人の多いアジア圏に集中しています。
そのため、採用する外国人材の出身国によっては、近隣の会場ではJLPTしか受験できないこともあります。
合否結果の通知
合否結果の通知スピードについてはJFT-Basicの方が圧倒的に早いです。
JFT-Basicは、CBT方式を採用しているため、受験当日に合否結果が判明します。また、受験日から5営業日以内に判定結果通知書が発行されます。
これに対して、JLPTはマークシート方式を採用していることもあり、受験日から約2ヶ月後に合否が判明します。合否結果通知書が発行されるのは約3ヶ月後となります。
そのため、在留期限までに余裕がない外国人材の多くは、再受験がしやすいJFT-Basicを利用しています。
受験料
国内における受験料はJLPTの方がやや安価となっています。
日本で受験する場合、JFT-Basicの受験料が10,000円、JLPTが7,500円となっています。なお、開催国によって受験料は異なります。詳しい受験料についてはそれぞれの日本語試験のウェブページから確認してください。
JFT-Basicを受験するメリット・デメリット
JFT-Basicを受験する主なメリット・デメリットをまとめると下の表のようになります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メリット | 開催頻度が高く、不合格になってもすぐに再受験ができる合否結果が通知されるスピードが早い |
| デメリット | 測定できる日本語レベルが限定的であり、利用目的が絞られる受験できる地域が少ない |
ここでは、JFT-Basicを受験するメリット・デメリットについて紹介します。
JFT-Basicを受験するメリット
JFT-Basicを受験するメリットは、在留期限までのスケジュールに余裕がない場合にも合格を掴みやすいという点にあります。
JFT-Basicは試験の開催頻度が高いため、仕事や生活が忙しい場合にも受験の予定を立てやすくなっています。万が一、不合格になってしまった場合にも、45日間あければすぐに再受験ができます。また、合否結果がすぐに判明し、通知書も受験からおよそ一週間で入手することができます。
こうした特徴から、特定技能1号や技能実習、2027年度から始まる育成就労など、在留できる期間に制限のある在留資格の外国人材にとって受験しやすい試験になっています。外国人材を雇用する企業側としても、受験結果に応じて採用や配属の予定が立てやすくなっています。
また、雇用している外国人材が不合格になってしまった場合にも、再受験の案内がしやすいです。
JFT-Basicを受験するデメリット
JFT-Basicを受験するデメリットは、測定できる日本語レベルと利用できる範囲、受験できる地域が限定的である点です。
JFT-Basicは、就労目的の外国人材の日本語能力を測定することを目的としています。そのため、就労目的で来日することが多いアジア地域を中心に試験が開催されており、ヨーロッパや北米などの地域では受験ができなくなっています。
また、試験で測定できる日本語能力はA2レベルまでであり、B1レベル以上については測ることができません。そのため、一部の分野における特定技能2号への移行や大学・大学院への留学、医師国家試験など、A2レベルよりも高度な日本語要件が課されている場合にはJFT-Basicを利用できなくなっています。
企業側としても、採用などの場面で外国人材に高度な日本語能力の証明を求める場合、JFT-Basicでは不十分なことがあります。
JLPTを受験するメリット・デメリット
JLPTを受験する主なメリット・デメリットをまとめると下の表のようになります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メリット | ・幅広い日本語レベルの測定に対応している ・国際的な知名度が高く、世界各国の会場で受験できる |
| デメリット | ・開催頻度が低いため、再受験までに時間がかかる ・合否結果が通知されるまでに時間がかかる |
ここでは、JLPTを受験するメリット・デメリットを解説します。
JLPTを受験するメリット
JLPTを受験するメリットは、国際的な知名度が高く、さまざまな用途で利用できる点です。
JLPTは、目的にかかわらず日本語を母語としない人の日本語能力を測定・認定することを目的にした試験です。そのため、2026年8月現在、国内外で最も知名度の高い日本語試験であり、受験者数も圧倒的に多くなっています。
また、CEFRレベルにおいてA1~C1レベルに該当する、N5~N1レベルまでの試験が用意されており、幅広い日本語能力を測定することができます。そのため、外食業や漁業分野など、特定技能2号への移行に高度な日本語要件が課されている場合にも利用することが可能です。
企業側としても、外国人材がJLPTの試験を受験している場合には、N3レベル以上の高い日本語能力を持つ人材をスクリーニングしやすくなります。
JLPTを受験するデメリット
JLPTを受験するデメリットは、開催頻度が低く、合否結果の通知に時間がかかる点です。
JLPTの試験は基本的に年2回しか開催されません。また、受験から合否結果通知書の発行までには3ヶ月程度の期間を要します。そのため、在留期限までに余裕のない状態で受験すると、不合格になった場合に再受験が難しくなってしまう可能性があります。
また、合格しているにもかかわらず、合否結果の通知が在留期限までに取得できないといった問題も生じかねません。在留期限ギリギリでのJLPTの受験は、在留資格関連のトラブルが発生するリスクが高くなります。
そのため、外国人材がJLPTを受験する場合、企業側の協力を得ながら、特に計画的な学習スケジュールを組むことが求められます。
受験する日本語試験を選択する際に重要なポイント
日本語試験を選択する際には、以下のポイントを確認することが重要です。
- 受験目的を果たすことができるか
- 受験会場の立地や開催時期などの都合が良いか
- 受験者にとって試験対策に取り組みやすいか
受験目的を果たすことができるか
最も重要なのは、受験者の受験目的を果たすことができるかです。
たとえば、JFT-BasicはB1以上の日本語レベルには対応していないため、高度な日本語要件が課されている場合には利用することができません。
しっかりと求められている日本語レベルを確認し、レベルに合った試験を選択することが必要です。
受験会場の立地や開催時期などの都合が良いか
受験者にとって負担がかからない試験かどうかも重要なポイントです。
たとえば、受験会場があまりにも遠かったり、開催時期が限定的で日程を調整しにくかったりすると、学習意欲やモチベーションの低下を招く可能性があります。
受験者が安心して試験対策に取り組めるようにするためにも、近隣地域における試験の開催状況を比較し、無理なく受験できる試験を選択しましょう。
受験者にとって試験対策に取り組みやすいか
試験対策に取り組みやすい試験かどうかも重要です。
JFT-BasicとJLPTを比較すると、試験の難易度には大きな差はありませんが、出題形式や試験の仕組み、対策教材などは大きく異なります。外国人材にとって相性が良く、対策がしやすい試験を選ぶことで合格率を高めることができます。
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JFT-Basic・JLPTの試験対策は明光グローバルにお任せください
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最後に、外国人材の日本語試験対策にお悩みの方に向けて、明光グローバルの概要と提供するサービスを紹介します。
明光グローバルとは
明光グローバルは、外国人材の就労機会の創出と育成を通して、日本企業の持続的な成長をサポートする教育系人材サービスです。
40年以上の個別指導の教育実績、そして10年以上の日本語教育の実績を持つ明光ネットワークジャパングループの知見を活かし、外国人材の育成と企業の人材課題解決に特化したサービスを提供しています。
早稲田EDU日本語学校、早稲田EDU日本語学校 王子校での豊富な教育ノウハウを活かし、特定技能試験対策から業界別の専門教育まで、幅広いニーズに対応しています。外務省からEPA事業を5期連続で受託するなど、高い信頼性と実績を誇ります。
明光グローバルの主要サービス
| 事業 | サービス |
|---|---|
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| 受講形態 | e-ラーニング |
| 対象者 | 企業に在籍する外国人籍社員・帰国子女など |
| プログラム・コース内容(一例) | ・日本語試験対策(JLPT・JFT Basic) ・せいかつの日本語 ・特定技能試験対策(1号+2号に対応) ・しごとの日本語(ITエンジニア、外食、介護など各業界のビジネス会話に対応) |
| 受講期間 | コースによって異なる |
| 料金プラン受講費用 | 初期費用:100,000円 月額費用:1名あたり1,000円~(受講人数に応じて変動) 年間契約費用:1名あたり9,500円~(受講人数に応じて変動) |
まとめ
JFT-BasicとJLPTは、それぞれ異なる特徴を持つ日本語試験です。外国人材の利用目的や学習環境などによっては、利用できる試験が限定されることもあります。どちらも選択できる場合には、メリット・デメリットを比較してより受験しやすい試験を選ぶことが必要です。
試験によって試験対策に使う教材や学習の進め方は異なります。そのため、外国人材の雇用や教育を担当している方の中には、試験対策の方法や教え方に悩まれている方も多いです。
明光グローバルの日本語eラーニング「Japany」は、JFT-BasicとJLPTの両方の試験に対応しています。途中から受験する試験を変更する場合にも、スムーズに対応することが可能です。
また、試験対策以外にも、ビジネス日本語や会話の日本語など、さまざまなシーンに求められる日本語を1つのツールで学ぶことができます。外国人材の日本語学習に課題を感じられている方はぜひ明光グローバルまでお気軽にご相談ください。
株式会社明光キャリアパートナーズ Global HR Division 教育研修チーム マネージャー
荷出 華子





