【特定技能評価試験】合格に必要な日本語学習(建設業)

人手不足が深刻とされている特定の分野において、外国人が即戦力として就労することができる資格とされる「特定技能」ですが、建設業もその特定分野の一つとなっています。
では、建設業の特定技評価試験とはどのようなものなのでしょうか。また、それに合格するにはどのような日本語学習を行えばいいのでしょうか。

1. 試験の概要

建設分野の特定技能1号は、19業務区分(18試験区分)に分かれていましたが、令和4年8月に「土木」、「建築」、「ライフライン・設備」の3つの業務区分に再編されました。それに伴い、特定技能1号教科試験も同じように「土木」、「建築」、「ライフライン・設備」の3つの試験区分に統合されました。

それぞれ学科試験と実技試験があり、どちらも65%以上が合格基準とされています。
学科試験では、分野の専門的な語彙はもちろん、正しく問題を理解して適切な答えを選ぶことができる日本語能力も必要です。
実技試験では、多くの場合、材料や工具を使って各職種の作業を適切に行うことができるかが問われます。一部職種では、機材や安全知識などに関する試験や、設備などに関する日本語での質疑応答がある場合もあるので、受験予定の職種の試験要綱をチェックして対策を行いましょう。

受験案内や各区分のテキスト、サンプル問題などはJACのウェブサイトをご参照ください。

2. 問題例

では、実際に出題されるのはどのような問題なのでしょうか。JACのウェブサイトからアクセスできる試験サンプルを見てみましょう。

以下の問題は「土木」分野の学科試験サンプル問題です。


以下の文章の( )に入る言葉を選びなさい。 

一般的には、朝礼の最後に、2人1組となって、声を出しながら、( )を行う。 

(いか の ぶんしょう の ( )に はいる ことば を えらびなさい。 いっぱんてき には、 ちょうれい の さいご に、 ふたりひとくみ と なって、 こえ を だしながら、( ) を おこなう。) 

1.あいさつ 2.体操(たいそう) 3.安全確認(あんぜんかくにん)

このように、ひらがなも併記されているため漢字が読めなくても解くことができます。

この問題の正解は3番の「安全確認」で、「2人1組」や「声を出しながら」という部分で「安全確認」の説明だとわかるかどうかがポイントです。このように用語を覚えるだけではなく、その用語の説明として使われる表現を頭に入れる必要があります

続いて、「ライフライン・設備」分野の実技試験サンプル問題です。

以下の文章の( )に入る言葉を選びなさい。 

施工管理とは、施工計画に基づいて、施工者が、所定の( )の工事目的物を完成させるために必要な管理のことである。 

(いかの ぶんしょうの ( )に はいる ことばを えらびなさい。せこ う かんり とは、 せこう けいかく に もとづいて、 せこう しゃの しょ てい の ( )の こうじ もくてきぶつ を かんせい させる ために ひつよう な かんり の ことで ある。) 

1.環境(かんきょう) 2.品質(ひんしつ)

実技試験には写真を見て答えを選ぶ問題などもありますが、このように日本語の説明を読んで用語を選ぶものもあり、このような形式の問題ではより日本語の知識が必要とされます。
この問題の正解は2番の「品質」です。問題文の表現はテキストの「施工管理」の説明として記載されているものとほぼ同じとはいえ、その文章を一語一句覚えるというのは難しいでしょう。
「環境」や「品質」といった語彙は特定技能で必須とされている日本語能力試験N4レベルでは未習の学習者が多いですが、受験者はこのような重要語彙の意味を正しく理解し、文脈からどの語彙が合うか判断できるようにする必要があります

3.  試験対策としての日本語学習

上述の例から分かるように、学科試験でも実技試験でも、問題文や選択肢を正しく理解するには相当の日本語の知識が必要になります。特定技能の資格取得に必須とされている日本語レベルとしては日本語能力試験でいうとN4以上ですが、建設業の評価試験問題やテキストにはそれ以上のレベルの表現や語彙も多く見られます

たとえその業界での就業経験があり、用語をある程度知っている場合でも、それを日本語で説明するとどうなるかというのは就業経験だけではなかなか身につくものではなく、対策試験が必要です。そういった点を踏まえ、試験対策としては以下のような学習を行うと良いでしょう。

  1. 各試験区分のテキストを読みながら、わからない語彙の意味を確認する
  2. 専門用語とともにその説明に使われる表現や語彙を頭に入れる
  3. 覚えたことを自分でテストする(用語を見てその説明をしてみるなど)

→できなかったものは覚え直して繰り返しサンプル問題を解いてみる

このように、まずは覚えるべき部分を確認し、インプット、アウトプットを繰り返して苦手を潰していくことが重要です。

4.  まとめ

今回は建設業の特定技能評価試験の対策としての日本語学習について考えてみました。業界未経験の受験者はもちろん、たとえ現場での経験や業界の知識がある場合でも試験対策として日本語の学習は必要になるでしょう。

ただ、試験問題はテキストの範囲内で出題されると考えられるため、テキストに沿ってしっかりと学習しておけば合格は難しいものではありません。