現代社会では、日本人の働き手が少なく、多くの企業で人材不足に悩まされています。その解決策の一つとして、外国人技能実習生などの海外から人材を雇用することで補っている会社も少なくありません。
外国人技能実習制度の目的は母国における経済発展であり、在留期間に制限が限られています。そのため、期間がすぎると新たな人材を探すことが必要になり長期的な雇用は難しいです。
しかし、特定技能2号を取得した外国人材であれば、在留期間の問題も解決でき、管理職や特定の技能を取得した即戦力として長期的な雇用を行うことができます。
今回は、特定技能2号とはどういったものなのか、資格取得要件、試験内容などについて解説します。出口の見えない「人材不足」への一つの回答となるでしょう。
特定技能2号とは
特定技能2号とは、熟練した技能を持つ外国人材に与えられる在留資格であり、特定の産業分野において高度な専門性を発揮することを期待される制度です。
この資格を取得することで、外国人材は長期的に日本での生活を安定させることが可能になります。特に、特定技能2号は在留期間の制限がなく、家族の帯同も認められるため、定住に近い形での生活が可能となる点が大きな特徴です。
一方、受け入れ企業にとっては、即戦力としての熟練技能を有する人材を確保する絶好の機会となります。なお、対象分野には制限があり、介護・自動車運送業・鉄道・林業・木材産業は特定技能2号の対象外となっているため注意が必要です。
特定技能制度とは
特定技能制度は、日本国内の深刻な人手不足に対応するため、2019年に創設された在留資格制度です。この制度は、特定の産業分野で一定の専門性や技能を持つ外国人材を受け入れる仕組みであり、即戦力となる人材の確保を目的としています。
特定技能制度には「1号」と「2号」の2つの種類があり、その中でも「特定技能2号」は、より高度な技能を持つ外国人材に与えられる在留資格です。特定技能2号では、外国人材が熟練した技能や指導力を発揮することが求められ、長期的な就労が可能である点が特徴です。また、この資格では家族の帯同が認められるため、外国人材にとって生活の安定が期待されます。
就労可能な職種は次の11分野に限定されています。
- ビルクリーニング
- 工業製品製造業
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
外国人技能実習制度との違い
外国人技能実習制度は、日本で学んだ技術や知識を母国へ技術移転することで、経済発展を担う人材を作る制度です。日本で活躍する人材の確保を目的とした「特定技能2号」制度とは目的が異なります。
人手不足を補うものではないため、在留期間にも制限があり最長でも5年です。永住権の取得もできません。人材育成に重きを置いた制度のため、特定技能2号のように「即戦力」として特定技能を有する人材の雇用にも期待できない点も大きく異なります。
特定技能1号との違い
特定技能には、「1号」と「2号」の2種類があります。
特定技能1号は、介護を含む特定産業の12分野で基礎的な知識や技術を持つ外国人材を対象としており、主に現場での実務補助を担います。一方、特定技能2号は、リーダーシップや管理能力を含む高度な専門性を持つ外国人材が対象で、責任ある役割を担うことを期待されています。
特定技能1号の在留期間は1年ごとの更新が必要で、最長5年までに制限されています。また、永住権の取得や家族の帯同も認められないため、長期的なキャリア形成には不向きです。
これに対し、特定技能2号は在留期間に制限がなく、条件を満たせば家族の帯同も可能であり、外国人材にとって安定した生活基盤を築ける資格です。
特定技能2号のメリット
特定技能2号を取得することは、企業と雇用される外国人材の双方にとってメリットが数多くあります。ここでは、在留期間の上限がないことや、家族帯同が可能など、代表的なメリットを4つ解説します。
- 在留期間の上限がない
- 要件を満たせば家族帯同可能
- 管理職につける
- 永住権取得の可能性がある
特定技能2号の取得はハードルが低くありませんが、キャリアアップを目指す外国人材にとっては魅力的な資格であり、近年では特定技能2号取得を目指す方も増えています。
在留期間の上限がない
他の在留資格とは異なり、上限なく滞在できることがメリットの一つです。在留期間は、最大3年、1年、または6ヶ月ごとに適切に更新し続けることで、長期的に日本での滞在が可能です。
就労ビザであるため雇用されていることが前提ではありますが、更新し続ければ実質的に永住することも可能です。企業側も、技能実習生や特定技能1号の外国人材のように、業務に慣れてきたころに人材が流出してしまうこともなく、双方にとってメリットがあります。
要件を満たせば家族帯同可能
特定技能2号では、特定技能1号では認められていなかった家族帯同が可能になります。配偶者や子どもの帯同ができるので生活の安定を図りやすく、何より精神面でのメリットが大きいといえます。
帯同が認められているのは、配偶者および扶養義務のある子どもです。外国人材は、経営状態が安定している会社で継続的に収入を得ることができ、長期的な雇用関係を維持できます。
管理職につける
職場で管理職として、責任ある役割を担える点もメリットの一つです。基礎的な技術を持つ外国人材が人材不足を補うことを趣旨とした特定技能1号とは異なり、特定技能2号人材は熟練した技術を持つ人材としてより高度な技術を有しています。
特定技能1号では、最大5年の在留期間かつ家族帯同も認められていないため、長期的なキャリア形成や管理職として定着するには向いていません。就労する外国人材にとっても、特定技能1号の制度ではなく、特定技能2号に変更することで日本における長期的なキャリアアップをイメージしやすくなるでしょう。
永住権取得の可能性がある
特定技能2号の大きなメリットの一つは、長期的な在留が可能なため、永住権の取得条件を満たしやすい点です。
日本で永住権を申請するには、「国益適合要件」を満たす必要があります。この要件には、国内で10年以上の在留歴があり、そのうち5年以上が就労または居住資格であることが求められます。
特定技能2号の在留資格は期間に制限がないため、これらの条件を満たすための土台となり得ます。一方、技能実習生や特定技能1号では在留期間が限られているため、永住権取得を目指すには特定技能2号への移行が不可欠です。
永住権を取得することで、外国人材は日本で安定した生活基盤を築くことができ、受け入れ企業にとっても長期的な人材確保のメリットが生まれます。
特定技能2号の現状
特定技能2号は技能実習制度や特定技能1号と比較してより多くのメリットがありますが、取得している外国人材の数は極端に少ないのが現状です。
2024年6月時点での「特定技能1号」の在留外国人数は25万1,594人であるのに対し、「特定技能2号」の取得者はわずか153人と少なく、取得が難しい制度であることがわかります。裏を返せば、現在取得している外国人材は習熟した技術と経験を持ち、管理職を任せられる優秀な人材といえるでしょう。
特定技能2号の対象分野別の試験内容及び申請要件
現在雇用している、もしくは雇用中の特定技能1号人材が、特定技能2号に変更するにはどうすれば良いのでしょうか?ここでは、11分野ごとの特定技能2号の申請要件や、試験概要を解説します。いずれの分野も、基本的に管理や指導といった実務経験が必要です。
建設業
在留資格申請には、建設分野特定技能2号評価試験(実施主体:JAC)、もしくは技能検定1級(実施主体:職業能力開発協会)に合格した後に、現場で班長または職長として国土交通省の定める実務経験期間、複数人を指導しながら作業に従事する必要があります。
実務期間は建設分野内の職種によりますが、半年〜3年となっています。
試験はPCを使用するCBT(Computer-Based Testing)方式で実施され、学科試験は40問、実技試験は25問です。合格基準は正答率75%以上です。
申請要件 | 試験内容 |
---|---|
・建設分野特定技能2号評価試験(実施主体:JAC)、もしくは技能検定1級(実施主体:職業能力開発協会)に合格 ・現場で班長または職長として国交省の定める実務経験期間、複数人を指導しながら作業に従事する必要がある ・実務期間は建設分野内の職種によるが0.5年~3年必要 | ・実施形式:PCを使用して試験を行うCBT方式 ・試験科目の言語:日本語(専門用語等については他の言語も併記) ・学科試験:40問 ・実技試験:25問 ・合格基準: -学科試験:合計点75%以上 -実技試験:合計点75%以上 |
外食業
在留資格申請には「外食業特定技能2号技能測定試験」に合格し、複数の従業員やアルバイトを指導・監督しながら作業に従事し、店舗管理を補助として2年間の実務経験が必要となりますが、外食業には、実務期間が2年に満たない場合でも申請可能となる救済措置があります。
試験科目は、衛生管理・飲食物調理・接客全般に店舗運営にかかわる知識を測定する「学科試験」と、計画立案試験などにより技能水準を測る「実技試験」の2つです。また、日本語能力試験(JLPT)N3以上を取得することが条件となります。
申請要件 | 試験内容 |
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・「外食業特定技能2号技能測定試験」に合格 ・複数の従業員やアルバイトを指導・監督しながら作業に従事し、店舗管理を補助として2年間の実務経験が必要 ・「日本語能力試験(JLPT)」N3以上の取得 ・実務期間が2年に満たない場合でも申請可能となる救済措置がある | ・実施方式:ペーパーテスト方式 ・試験言語:日本語(漢字にルビは付かない) ・学科試験:35問(衛生管理、飲食物調理、接客全般に店舗運営にかかわる知識を測定する問題) ・実技試験:20問(計画立案試験などにより技能水準を測る問題) ・合格基準:正答率65%以上 |
工業製品製造業
工業製品製造業には、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業の区分がありますが、申請する要件は同じで「特定技能2号評価試験ルート」と「特定技能ルート」の2つです。
「特定技能2号評価試験ルート」の場合は、「ビジネス・キャリア検定3級」と「製造分野特定技能2号評価試験」の合格が必要です。「特定技能ルート」の場合は、「技能検定1級」の取得が必要です。
※両ルートともに3年以上の実務経験が必要であることには注意が必要です。
特定技能2号評価試験は実技試験のみで、実施方法はCBT方式です。合格基準、正答率60%以上です。
申請要件 | 試験内容 |
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・「特定技能2号評価試験ルート」と「特定技能ルート」の2種類申請方法がある ・特定技能2号評価試験ルート:「ビジネス・キャリア検定3級」と「製造分野特定技能2号評価試験」の合格 ・特定技能ルート:「技能検定1級」の取得 ・両ルートともに3年以上の実務経験が必要 | ・実施方式:PCを使用して試験を行うCBT方式 ・試験言語:日本語 ・実技試験のみ ・合格基準:得点率60%以上 |
ビルクリーニング
ビルクリーニング分野は、申請する要件に「ビルクリーニング分野特定技能2号評価試験」または「ビルクリーニング技能検定1級試験」に合格と、現場を管理する実務経験が2年以上が必要です。
実務経験期間に、労働時間が週30時間以上必要であったり、技能実習生時代の実務経験が一部の場合にカウントされなかったり、細かな規定があります。試験内容は、現場責任者の知識を問う「学科試験」と、清掃業務、業務管理、人材管理および財務管理の能力を問う「実技試験」の2種類です。
申請要件 | 試験内容 |
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・「ビルクリーニング分野特定技能2号評価試験」もしくは「ビルクリーニング技能検定1級試験」に合格 ・現場を管理する実務経験が2年以上必要 ・実務経験には労働時間が週30時間以上必要や技能実習生の時期はカウントされないなど規定がある | ・実施方式:ペーパー試験 ・試験言語:日本語(専門用語等については注釈として他の言語を記載することもできる) ・学科試験:現場責任者として必要な身につけるべき知識を問う問題 ・実務試験:現場責任者として必要な清掃業務、業務管理、人材管理及び財務管理の能力を問う問題 ・合格基準: -学科試験:正答率65%以上 -実技試験:正答率65%以上 |
自動車整備
在留資格申請には2種類あります。
1つは「自動車整備分野特定技能2号評価試験」の合格と、地方運輸局長の認証を受けた事業場での3年以上の経験が必要です。もう1つは、「自動車整備士技能検定試験2級」に合格することが必要です。こちらは実務経験不問です。
評価試験内容は、自動車の一般的な構造や機能、保安基準などの知識を測る「学科試験」と、点検や調整および完成検査、一般的な修理や工具などの取り扱いに関する「実技試験」の2種類です。
申請要件 | 試験内容 |
---|---|
・申請方法は2種類ある ①「自動車整備分野特定技能2号評価試験」に合格と、地方運輸局長の認証を受けた事業場での3年以上の経験 ②「自動車整備士技能検定試験2級」に合格の場合は実務経験不問 | ・実施方式:PCを使用して試験を行うCBT方式またはペーパーテスト方式 ・試験言語:日本語(漢字にルビが付き、専門用語等については注釈として他の言語を記載することもできる) ・学科試験:40問(一般的な構造や機能、保安基準などの知識を測る問題 ・実技試験:3課題(点検や調整および完成検査、一般的な修理や工具などの取り扱いに関する問題) ・合格基準: -学科試験:正答率60%以上 -実技試験:得点合計60%以上 |
宿泊
在留資格申請には「宿泊分野特定技能2号評価試験」に合格し、宿泊施設において従業員を指導しながら、フロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の業務に2年以上従事した実務経験が必要です。
実務経験には救済措置があり、2023年6月9日の運用要領改正より前に在留していた期間も実務経験としてカウントすることができます。
評価試験の内容は、宿泊業務の専門的な知識と現場責任者としての対応に必要な知識、安全衛生を確保に必要な知識を測る「学科試験」と、宿泊施設利用者の求めに適切に対応するための知識を測る「実技試験」の2種類です。
申請要件 | 試験内容 |
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・「宿泊分野特定技能2号評価試験」に合格 ・宿泊施設において従業員を指導しながら、フロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の業務に2年以上従事した実務経験が必要 ・実務経験には救済措置がある(2023年6月9日の運用要領改正より前に在留していた期間も実務経験としてカウント可) | ・実施方式:PCを使用して試験を行うCBT方式またはペーパーテスト方式 ・試験言語:日本語(専門用語等については注釈として英語や試験実施国の現地語等、他の言語を記載することもできる) ・学科試験:50問程度(宿泊業務の専門的な知識と現場責任者としての対応に必要な知識、安全衛生を確保に必要な知識を測る問題) ・実技試験:「フロント業務」「接客業務」「レストランサービス業務」の3業務に関し、宿泊施設利用者の求めに応じ、適切な対応をとることができること) ・合格基準:学科試験及び実技試験それぞれの正答率が65%以上 |
漁業
漁業には「漁業」と「養殖業」の2区分がありますが、在留資格申請に必要な要件は同じです。
漁業には「2号漁業技能測定試験(漁業)」の合格が、養殖業には「2号漁業技能測定試験(養殖業)」への合格がそれぞれ必要です。どちらの区分も、日本語能力試験N3以上の取得が必須です。
また、作業員の指導もしくは管理者を補佐する者として2年以上の経験が必要となり、技能測定試験は漁業養殖業とともに、業務全般と安全衛生に関わる「学科試験」と業務上必要な実務能力を測る「実技試験」があります。
申請要件 | 試験内容 |
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・漁業と養殖業の2区分あるが、在留資格申請に必要な要件は同じ ・漁業の場合:「2号漁業技能測定試験(漁業)」の合格 ・養殖業の場合:「2号漁業技能測定試験(養殖業)」の合格 ・日本語能力試験N3以上の取得 ・作業員の指導もしくは管理者を補佐する者として2年以上の経験が必要 | ・実施方式:PCを使用して試験を行うCBT方式またはペーパーテスト方式 ・試験言語:日本語(ひらがな、カタカナ又はふりがなを付した漢字) ・学科試験:養殖業全般及び安全衛生に係る知識を測定する問題 ・実技試験:業務上必要な実務能力を測定する問題 ・合格基準:学科試験及び実技試験の合計得点が54%以上 |
造船・舶用工業
造船・舶用工業分野は、「溶接」「塗装」「鉄工」の3区分に分かれています。
在留資格申請要件には、「造船・舶用工業分野特定技能2号試験」と「技能検定1級」に合格し、複数の作業員を指揮・命令する監督者として2年以上の実務経験が必要です。
造船・舶用工業も実務経験には救済措置があり、2023年6月9日の運用要領改正より前に造船・舶用工業分野の特定技能1号として在留している方(「溶接」を除く)は、作業員で指揮等に関わっていなくても実務経験を満たしていることになります。
試験内は、各区分に必要な技術水準を確認する「実技試験」のほか、塗装と鉄工区分のみ管理能力等確認試験があります。
申請要件 | 試験内容 |
---|---|
・「造船・舶用工業分野特定技能2号試験」と「技能検定1級」に合格 ・複数の作業員を指揮・命令する監督者として2年以上の実務経験が必要 ・実務経験には救済措置がある(2023年6月9日の運用要領改正より前に造船・舶用工業分野の特定技能1号として在留している人(「溶接」を除く)は、作業員で指揮等に関わっていなくても実務経験を満たしていることになる) | ・実施方式: -学科試験:ペーパーテスト方式 -実技試験:作業試験 ・試験言語:日本語(必要に応じてルビが付き、専門用語については他の言語を併記することができる) ・学科試験: -管理能力等確認試験:10問 -安全衛生等確認試験:30問 ・実技試験: 1. 溶接 2. 塗装 3. 鉄工 ・合格基準:正答率が60%以上かつ安全衛生管理に関する問題、管理能力に関する問題それぞれの正答率が 50%以上 ・実技試験: 1.溶接:溶接された試験材に対し、以下を満足すること (1)外観試験:有害と認められる割れ、ピット、アンダーカット、その他欠陥があってはならない。 (2)曲げ試験又は放射線透過試験:有害と認められる割れ、融合不良、溶込み不良、その他欠陥があってはならない。 2.塗装:準備された試験体に対し、以下を満足することを合否の基準とする。 (1)各評価対象面が指定された膜厚範囲内で塗装されている。 (2)指定されたエッジ部が適正に塗装されている。 (3)塗膜表面にタレ、ゆず肌等の塗膜欠陥があってはならない。 3.鉄工:製作された製品に対し、以下を満足することを合否の基準とする。 ・試験問題「仕上がりの基準」に指定する製品寸法及び仕上がりの全項目を満たしている。 |
航空
航空分野は、2024年11月の時点で特定技能2号試験は行われていません。時期は未定ですが、決まり次第「出入国在留管理庁」のホームページで公表される予定です。
2024年12月現在発表されている申請要件は、技術要件は空港グランドハンドリング業務に関して「航空分野特定技能2号評価試験」、航空機整備業務に関して「航空分野特定技能2号評価試験」または「航空従事者技能証明」が必要です。
実務要件は、空港グランドハンドリング業務、航空機整備業務ともに3年以上の経験が必要です。
申請要件 | 試験内容 |
---|---|
・空港グランドハンドリング業務:「航空分野特定技能2号評価試験」の合格が必要 ・航空機整備業務:「航空分野特定技能2号評価試験」の合格または「航空従事者技能証明」が必要 ・空港グランドハンドリング業務、航空機整備業務ともに3年以上の経験が必要 | ・2024年11月の時点で特定技能2号試験は行われておらず、試験時期も未定。 |
農業
在留資格申請に必要な要件は、耕種もしくは畜産の「2号農業技能測定試験」に合格し、従業員を指導しながら工程管理をする者として2年以上、または現場において3年以上の実務経験です。
2号農業技能測定試験は、「学科試験」と「実技試験」です。耕種、畜産ともに、業務全般の技能と安全衛生管理などに関する問題が出題されます。
また、雇用形態は特定技能2号としては珍しく、直接雇用に加え派遣雇用も可能となっています。
申請要件 | 試験内容 |
---|---|
・耕種もしくは畜産の「2号農業技能測定試験」に合格 ・従業員を指導しながら工程管理をする者として2年以上、または現場において3年以上の実務経験が必要 | ・実施方式:PCを使用して試験を行うCBT方式 ・試験言語:日本語 ・学科試験と実技試験が50問程度:業務全般の技能と安全衛生管理などに関する問題 ・合格基準:公表されていない |
飲食料品製造業
在留資格申請の要件は、「飲食料品製造業 特定技能2号技能測定試験」の合格と、飲食料品製造業分野において複数の作業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者としての実務経験2年以上です。
実務経験には救済措置があり、2023年6月10日から数えて在留期限の上限まで2年6ヶ月未満の場合は、残りの期間から6ヶ月差し引いた期間の管理実務経験で申請できます。
試験は「学科試験」と「実技試験」の2種類です。学科試験は、一般的な衛生管理や管理職に必要な労働安全衛生の知識を問う形式であり、実技試験は「判断試験」と「計画立案」の2種類です。
申請要件 | 試験内容 |
---|---|
・「飲食料品製造業特定技能2号技能測定試験」の合格 ・飲食料品製造業分野において複数の作業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者としての実務経験2年以上が必要 ・実務経験には救済措置がある(2023年6月10日から数えて在留期限の上限まで2年6ヶ月未満の場合は、残りの期間から6ヶ月差し引いた期間の管理実務経験で申請できる) | ・実施方式:ペーパーテスト(マークシート)方式 ・試験言語:日本語(漢字にルビは付かない) ・学科試験:35問(一般的な衛生管理や管理職に必要な労働安全衛生の知識を問う問題) ・実技試験:15問(「判断試験」と「計画立案」の問題) ・合格基準:学科試験及び実技試験の合計点65%以上 |
特定技能2号の取得にかかる費用
続いて、特定技能2号試験の取得に必要な受験料、合格証明書などの手数料について解説します。
受験料金は分野ごとに設定されていますが、概ね1万円以上です。建設分野の受験料が一番安く2,000円となっています。最も高額なものだと、造船・舶用工業分野が96,800円です。
分野 | 受験料 | 合格証明書交付手数料 |
---|---|---|
建設 | 2,000円 | 結果通知書を印刷 |
外食業 | 14,000円 | 結果通知書を印刷 |
工業製品製造業 | 15,000円 | 15,000円 |
ビルクリーニング | 16,500円 | 11,000円 |
自動車整備 | 4,800円 | 16,000円 |
宿泊 | 15,000円 | 12,100円 |
漁業 | 15,000円 | 結果通知書を印刷 |
造船・舶用工業 | 96,800円(最低料金) ※一人当たり48,400円ですが、1回の受験料の合計が最低料金に満たない場合は受験料合計ではなく最低料金となります。 | 不明 |
航空 | ※不明(未実施のため) | 不明(未実施のため) |
農業 | 15,000円 | 結果通知書を印刷 |
飲食料品製造業 | 15,000円 | 結果通知書を印刷 |
資格取得に必要な費用には、受験料だけでなく、合格後に発生する合格証明書の交付手数料も含まれます。また、在留資格申請を行政書士に依頼する場合、その費用も加わるため、総額がさらに増える可能性があります。
受験者の収入や母国への送金事情を考慮すると、これらの負担は軽視できません。そのため、雇用する企業が費用の一部を支援するなどのバックアップが求められるでしょう。
特定技能2号試験の勉強方法
特定技能2号の試験を突破するには、各分野に共通する効果的な勉強方法を知ることが重要です。公式ホームページでは、試験対策に役立つテキストや問題集が公開されており、これらを活用することで効率的に準備を進めることができます。
しかし、特定技能2号は取得が難しい資格であるため、十分な計画を立てた継続的な学習が求められます。また、この資格は2023年から運用が開始されたばかりで、試験対策の具体的なノウハウや情報がまだ十分に整備されていない点にも注意が必要です。ここでは、各分野共通の勉強方法を解説します。
- 公式テキストを利用する
- 実務と実技試験を照らし合わせて技能を身につける
- 過去問題や模擬試験の問題を解く
公式テキストを利用する
特定技能2号の試験対策において、公式ホームページからダウンロード可能な公式テキストは非常に有効な学習ツールです。
このテキストには、試験範囲や出題形式、必要とされる具体的な知識や技能が詳細に記載されており、効率的に試験準備を進めることができます。また、無料で利用できるため、学習者の経済的負担が軽減される点も大きなメリットです。
ただし、このテキストはある程度の基礎知識があることを前提に作られているため、知識が不十分な場合には単独での利用では難しく感じることがあります。そのため、必要に応じて補足教材や実務経験を活用しながら学習を進めることが重要です。
実務と実技試験を照らし合わせて技能を身につける
公式テキストの活用だけでは、実務に基づいた練習が十分でない場合があります。そのため、試験範囲を日常業務と関連付けながら、実際の業務を通じて理解を深めることが重要です。
実務を併用することで、学んだ知識が試験対策だけでなく実践的な応用力として定着しやすくなります。また、実務の中で培った経験は記憶に残りやすく、本番での自信につながるでしょう。
特定技能2号の試験では、多くの分野で実技試験が課されるため、日常業務を通じて直接的に試験内容に対応するスキルを磨くことが求められます。
過去問題や模擬試験の問題を解く
過去問題や模擬試験を解くことは、特定技能2号の試験対策として非常に効果的な勉強方法です。これにより、出題傾向を理解するだけでなく、実際の試験形式に慣れることができます。
模擬試験を繰り返し解くことで、出題されやすい問題のパターンや重要なテーマを把握できるほか、時間配分の感覚を養うことも可能です。こうした準備は、本番での緊張を和らげ、自信を持って試験に臨むための助けとなるでしょう。
ただし、2024年現在、すべての分野で過去問題が公開されているわけではありません。その場合は、模擬試験や公式以外の問題集を活用し、試験範囲に即した学習を進めることが大切です。
企業が注意を払うべきポイント
特定技能2号人材に長期的に働いてもらうためには、企業側の配慮が重要です。特定技能1号に課されているような支援義務はありませんが、業務を提供するだけでは不十分です。雇用される側のニーズを的確に把握し、多角的なサポートを実施することで、企業と外国人材の双方が満足できる環境を整える必要があります。
これにより、優秀な人材を確保し、長期的な雇用の安定を実現できるでしょう。ここでは、優秀な特定技能2号人材に長く働いてもらえるよう、企業が注意を払うべきポイントを解説します。
- 特定技能2号は転職が自由
- 労働環境の整備が必要
- 試験の手続きには準備が必要・費用がかかる
特定技能2号は転職が自由
特定技能2号では、転職が認められており、労働条件に不満がある場合、外国人材は別の企業に移籍する権利を持っています。これは、技能実習制度では転職が一切許可されていないこととは大きく異なる点です。
技能実習制度は、特に欧米諸国から「強制労働に近いのではないか」との批判を受けてきました。このような背景から、特定技能制度では転職の自由が認められる仕組みとなり、外国人材の権利がより尊重されています。
企業としては、長期雇用を実現するために、働きやすい職場環境の整備や適切な賃金設定など、積極的なサポートが求められます。
労働環境の整備が必要
特定技能2号の外国人材がその能力を最大限に発揮するためには、快適で働きやすい職場環境を整えることが不可欠です。
外国人材は、それぞれの出身国によって価値観や文化、習慣が異なるため、言葉の壁や文化的な違いが誤解や摩擦を生むことがあります。これが放置されると、差別的な扱いと受け取られる可能性があり、職場の人間関係に悪影響を及ぼす原因にもなりかねません。
こうした課題を解決するためには、外国人材を一緒に働く大切な仲間として温かく迎え入れる姿勢が重要です。職場環境の整備を通じて、彼らが安心して働ける環境を提供し、長期的な雇用関係の構築を目指しましょう。
試験の手続きには準備が必要・費用がかかる
特定技能2号を目指す外国人材を支援するためには、必要な手続きや費用について、事前に計画を立てて準備することが重要です。
各分野の試験は特定技能2号取得の必須要件であり、試験の申し込みや書類の準備を企業側がサポートすることで、資格申請がスムーズに進む可能性が高まります。また、試験会場や日程の連絡、試験対策に必要な知識や技能の習得についても、企業の適切なフォローが欠かせません。
さらに、受験費用やテキスト購入費用に加え、場合によっては交通費や宿泊費が発生することもあります。企業側はこれらの費用を事前に把握し、予算を確保することで、外国人材の負担を軽減できるよう努める必要があります。
特定技能2号試験対策は明光グローバルにご相談ください
特定技能制度は2019年から始まったばかりの制度であるため、試験対策といっても何をすれば良いのかわからないという企業側も少なくありません。また、外国人材自身に試験対策を任せてしまうのも心もとないかもしれません。
明光グローバルなら、N5〜N1まで網羅したJLPT対策や、特定技能試験対策に使える外国人向けオンライン日本語学習ツール「Japany」など、魅力的なサービスを豊富に取り揃えています。
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明光グローバルとは
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サービス | 概要 |
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- ②カスタマイズ性:レッスンや各種試験対策講座、研修については、企業様毎にカスタマイズが可能。
- ③豊富な実績:累計導入社数100社以上、利用者数5万人以上を突破。
明光グローバルグループでは、これまで40年以上もの間、学習塾の「明光義塾」をはじめとする教育事業を行ってきました。そのため、明光グローバルでは、企業様の課題解決につながる実践的な学習コンテンツを豊富にご用意しています。学習した内容をすぐに現場で活かすことができるため、社員がモチベーション高く取り組むことができます。
また、特定技能2号試験対策については、「e-ラーニング(Japnay)」を通して自主学習ベースで学べるもの、そして専門講師がリアルタイムで指導を行う「特定技能2号試験対策講座」の2種類をご用意しています。企業様のご要望や、受講者様の日本語レベルや学習期間・費用に応じて適切なプランをご提供いたします。
まとめ
特定技能2号の試験内容について解説しました。
特定技能2号は、熟練した技能を持つ外国人材に長期的なキャリアの可能性を提供する一方で、企業にとっては即戦力となる人材を確保する絶好の機会となる制度です。取得の難易度は高いものの、在留期間に上限がなく、家族の帯同も可能であることから、多くのメリットが期待できます。
特定技能2号人材の活躍を最大限に引き出すためには、企業が取得プロセスを支援し、快適で働きやすい職場環境を整えることが欠かせません。計画的な準備と適切なサポートによって、外国人材の成功と長期的な雇用安定を実現しましょう。
明光グローバルは、外国人材に特化した豊富な知見とノウハウを持ち、採用から入社後の定着支援まで、包括的にサポートしています。外国人材の採用から特定技能2号の試験対策など、外国人材に関するお悩みがございましたら、ぜひ明光グローバルにお問い合わせください。