日本語ってどうやって勉強するの?日本語学習のプロセスとハードル④~会話編「文化的知識」~

外国語学習には、その国の文化に関する知識も重要です。
日本語にも特有の言語文化があり、それを知らないと相手の意図が理解できなかったり、自分の発言が思わぬ誤解を生んでしまったりします。  今回は、日本語会話に欠かせない「文化的知識」について見ていきましょう。

【日本のコミュニケーション文化】

日本は、世界で最も「高コンテキスト文化」だと言われています。これは、言葉だけでなく、言外の意味や状況によってコミュニケーションが行われる文化のことです。すべてを言葉で言い表すのではなく、表情や身振りなど、言葉以外の部分でも多くの情報がやり取りされています。

例えば、日本語には次のような会話がよくありますよね。

 

明日までのあれ、もう送った?

 

 

あー、A社のリストですね。はい、送りました。

 

このように、日本語にはお互いにわかっていることをわざわざ言わない文化があります。つまり、状況から相手が理解してくれることを期待しているわけです。

一方で、何を言うかが重視され、情報が詳しく説明されるのが「低コンテキスト文化」です。
この文化を持つ人には、日本語の会話がとてもわかりづらいときがあります。アジアは高コンテキスト文化の国が多く、北米やヨーロッパは低コンテキスト文化の国が多いとされています。

これらのことを踏まえ、外国人人材が日本語の会話を理解する上でどのようなことがハードルになるのかを見ていきましょう。

ハードル①「あれ」が指すものがわからない

「あれ、やっといて」「あの件、どうなった?」と言われると、何のことかわからず困惑する人が多いようです。誤解を生まないためにも、「あれ」「あの件」が指すものを明確に伝えた方が良いでしょう。

ハードル②YesかNoかはっきり言わない

「この資料、今日中に作った方がいいですか?」「あー、明日の午前中には印刷したいんだよね。」 これは、日本語コミュニケーションに慣れている人ならなんとなく「今日中に作った方がいい」ということがわかりますが、そうでない人には、結局どっちなのかわからない可能性があります。

ハードル③直接的な言い方をしない

会議で発言したら、後で「言い方がきつい」と言われてしまった。こんな経験がある外国人人材も少なくないようです。「よくない」「意味がない」などの直接的な言い方ではなく、もっと柔らかい表現の方が好まれますね。このような言葉選びのスキルも重要です。

【非言語コミュニケーション】

ジェスチャーや表情、声の大きさやトーンなど、言葉そのものではないコミュニケーションを「非言語コミュニケーション」と言います。高コンテキスト文化では、非言語の役割も大きくなります。

例えば、以下はどちらの印象がいいでしょうか。

 

①精一杯がんばりますので、よろしくお願いします!

 

 

②精一杯がんばりまーす。よろしくお願いしまーす。

 

①の人は明るくやる気が感じられ、②の人は無愛想で失礼な感じがしませんか。このように、表情や声の調子は印象に大きく影響を与えます。
しかし、その印象は必ずしも世界共通ではありません。そのため、職場で苦労する外国人人材も多いようです。

では、具体的にどのようなことがハードルとなるのでしょうか。

ハードル①非言語の意味が異なる

例えば、親指を立てるサインやOKサインなどは日本ではポジティブな意味で使われますが、国によっては侮辱と捉えられる場合もあります。
また、日本では接客や電話対応の際に声が高くなりますが、高い声は「子どもっぽい」「信頼できない」と捉えられ、低い声が好まれる文化の国もあります。

ハードル②あいづちによる誤解

外国人社員が上司にある提案をした際、上司が「うんうん」と言いながら聞いてくれたので、自分の提案が認められたと思いました。しかし、上司は最後に「ちょっと無理かなあ」と言ったので驚きました。
この「うんうん」は、話を聞いているという意味を表すあいづちでしたが、外国人社員は「同意してくれた」と捉えたんですね。

 

ハードル③聞き返し方

日本人の同僚と話しているとき、わからない単語があったので「あ?」と聞き返した。すると、「え、怒ってるの?」と言われてしまった。こんなケースもあります。
「あ?」「は?」と聞き返す言語の国もありますが、日本では「怖い」「失礼」といったイメージになる場合もあるので注意が必要です。

【まとめ】

いかがでしたか。
会話には、語彙や文法といった言語知識のほかに、多くの文化的知識も必要です。その文化は国によって異なります。

ミスコミュニケーションをできるだけ少なくするために、外国人人材は日本語の文化的側面も学ばなければなりません。これは、会話や聴解、読解など様々な日本語能力の向上につながります。

また、外国人人材を受け入れる側も、常識を期待しすぎないようにすることが大切です。自分たちの常識が相手の常識とは限らないことをお互いが意識することで、思わぬトラブルを防ぎましょう。

 


明光では外国人人材の方が自学自習で効率的に日本語を学べるeラーニング教材『Japany』をご提供しています。

“教育のプロ”である明光グループが開発した、「日本語が職場で使えるようになる」ことを目指した学習教材です。

  • コンテンツレコメンド機能
  • 学習ポイントシステム
  • ランキング機能

など、学習のモチベーションを高め、自学自習をサポートする機能を搭載したJapanyで、自社の外国人人材の日本語力向上を目指しませんか。

ご興味のある方はぜひJapanyご紹介ページをご覧ください。